増え続ける生体認証サービス。次は「...

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増え続ける生体認証サービス。次は「外部解放」

Amazon Oneを試す

Amazon Oneにまつわる詳細は別誌の連載記事でまとめているが、この仕組みが導入されている店舗では次の3つの入店方法が選択できる。

Amazon One導入店舗では従来のAmazon Goアプリが利用できなくなった代わりに、Amazonアプリ上で表示できる2次元コードで入退店が可能だ。

正確にはAmazon Oneの装置の横にあるコードリーダー装置を利用するのだが、ここにAmazonアプリの当該画面を読み込ませると従来のAmazon Goのように入場できる。ただし、Amazonアプリは紐付けたアカウントのリージョンによって動作が変わるため、例えば日本のアカウントを登録してしまうと画面構成が変わってしまい、Amazon Goの入退店に必要な2次元コードが表示できなくなる。

ゆえに、普通の日本人旅行者が今後Amazon Goのような店舗を利用する場合、1番目の“手のひら”認証か、3番目の「クレジットカード」による入場を選択することになる。入場時にAmazon Goの装置にクレジットカードを挿入するとゲートが開き、退店時にはそのカードに請求が行なわれる仕組みだ。

増え続ける生体認証サービス。次は「外部解放」

“手のひら”認証については、ゲートに設置されたAmazon One装置、あるいは当該店舗の入り口に設置されている登録専用の機械を使って、クレジットカードと“手のひら”情報の紐付けを行なう。

登録作業はまずクレジットカード挿入後、右と左の順番に“手のひら”の情報を読み込ませ、最後に電話番号を入力すれば完了だ。この時点ではAmazonアカウントとの紐付けは行なわれていないが、最後に入力した電話番号にSMSのショートメッセージが届き、そこに記載されたリンクをクリックするとAmazonアカウントと紐付けするためのサイトへと遷移する。これにより、Amazon Oneでの利用記録の確認などがサイト上で行なえるようになる。

Amazon Go 1号店に設置された“手のひら”情報登録専用のAmazon One装置

Amazon OneはAmazon Goのほか、「Amazon 4-star」「Amazon Books」「Amazon Fresh」といったAmazonブランドを冠する系列店のほか、子会社のWhole Foods Marketでの会計に利用可能だ(有人レジのみ)。

また、先日米ニューヨーク市内にオープンしたばかりのStarbucks Pickup店舗では、無人決済システムの「Just Walk Out」が標準で装備されており、イメージ的にはStarbucksとAmazon Goが合体したような営業形態になっているが、ここで利用可能なのもAmazon Oneだ。このように、Amazon Oneは「Amazon」というグループブランドを越えて少しずつ利用範囲を拡大しつつあるといえるかもしれない。

Whole Foods Marketの一部店舗ではAmazon Oneの“手のひら”情報で決済が可能先日ニューヨーク市内にオープンしたStarbucks Pickupの新店舗では、Amazon Goライクな「Just Walk Out」と「Amazon One」が体験できる(出典:Starbucks)

ただ、前回の記事の動画をご覧になった方なら分かるかと思うが、Amazon Oneの“手のひら”認証はなかなか認識が行なわれずにストレスが溜まる。

Amazon Oneを利用してAmazon Fresh店舗を入退店してみたところ

動画は何度もリトライしたうえで、“かなり”慣れた状態で撮影したものなので比較的スムーズにいっているが、最初にAmazon Oneの登録を行なったときは、なかなか“手のひら”情報が読み込まれずに、登録作業だけで10分近くかかってしまった。Whole FoodsではAmazon Oneの装置に、認識で必要な「10cmほどデバイスから手を浮かせる」という状態を簡単に維持させるために、ガイドのような突起が据え付けられているのが確認できるだろう。

この認識の“遅さ”は大きな課題だが、それよりも問題なのがAmazon Oneのもつ「個人情報管理」の仕様だ。これは先ほど紹介したリンクの記事でも詳しく触れているが、Amazon Oneでは本来登録していないはずの情報を先方が認識して、その旨を画面に通知してしまう。

今回のメインテーマはここの部分となる。