Arm:運転支援・自動化テクノロジーの...

25
09

Arm:運転支援・自動化テクノロジーの採用拡大に向けて、 車載向けイメージシグナルプロセッサーの新製品を発表

「Cortex-A78AE」CPUおよび「Mali-G78AE」GPUと組み合わせることで、Mali-C78AEは先進運転支援システム(ADAS)の完全なビジョンパイプラインを実現し、パフォーマンスを最適化して消費電力を最小限に抑えつつ、機能安全に対する一貫したアプローチを提供する。これにより、ADASのマスマーケット展開を次の段階へと推し進めることを支援する。

 Strategy Analytics社が最近発行したレポートによると、車載カメラ市場の価値は、2020年から2025年にかけて19%以上の成長が予想されるなど、自動車が周辺状況について判断するために必要なデータを提供する上で最も重要なタイプのセンサーとなっている。

 Armのオートモーティブ/IoT事業部門、オートモーティブ担当バイスプレジデントのチェット・バブラ(Chet Babla)氏は、次のように述べている。「車載カメラが増加し高度化が進む中、膨大に生成される画像データを効率的かつ安全に変換して、マシンビジョンとヒューマンビジョンの多様な要件に対応した出力を得るためには、より高い演算能力が必要とされています。Mali-C78AEは、画像処理に対する新しいアプローチに対する業界のニーズに応え、ADASや自動運転における新しい機能を実現します」

■ヒューマンビジョンとマシンビジョンの両方で、安全性は最優先事項 Mali-C78AEは、多くのADAS機能で必要とされるヒューマンビジョンとマシンビジョンの両方の安全対応アプリケーション向けに特別設計され、最大4台のリアルタイムカメラもしくは16台の仮想カメラからのデータを処理することが可能。

 Mali-C78AEは、ハードウェアの安全メカニズムと診断ソフトウェア機能を採用する形でゼロから開発され、これによりシステム設計者は「ISO 26262 ASIL B」の機能安全要件に対応できる。Mali-C78AEは、フレームデータの不正確な処理をもたらす可能性のある、単一のカメラフレーム内の障害の阻止・検知を試む。そのため、Mali-C78AEでは380以上の障害検知回路を採用し、連続組み込みセルフテストにも対応し、接続カメラのセンサーとハードウェアの障害を検知できる。

Arm:運転支援・自動化テクノロジーの採用拡大に向けて、 車載向けイメージシグナルプロセッサーの新製品を発表

■視覚情報はデータ量が多く、ワークロードも高負荷に 安全性やユーザー体験と同様に、処理速度もまたMali-C78AEの重要な要素である。センサーで画像を取得し、ISPからGPUまでの処理を行い、運転者向けにディスプレイ表示するまでのプロセスは、150ミリ秒で終わらせる必要がある。これを超えると、パーキングアシスト時などで、運転者が遅延を認識してしまう。マシンビジョン・アプリケーションの場合、カメラ画像の取得から意思決定処理に渡されるまでの走行距離の許容範囲は250mm。これを超えた場合、マシンビジョン・システムはあまりにも遅く、正確かつタイムリーな判断が求められる運転状況への対応は不可能となる。

 運転者とマシンが最善の意思決定を行えるよう、ADASカメラは、各フレームから最も関連性の高い情報を収集する必要がある。Mali-C78AEは、高度なノイズリダクション技術とダイナミックレンジ管理を採用し、フレーム内の過度に暗い領域や明るい領域を調整することで、各フレームのクリアな表示と適切な露出を保証する。Mali-C78AEは、高解像度・高フレームレートの最大4台のカメラを通じ、カメラデータのリアルタイム処理を実行することで、メモリ、通信、処理の要件を大幅に軽減して、より効率的なシステムを実現する。

 車線逸脱警報などのマシンビジョン・アプリケーションの使用カメラは、サラウンドビューなどのヒューマンビジョン向けの画像の生成には対応していないため、現時点で複数のADAS機能を実装するにはカメラを個別に設定する必要がある。こうした複数のADAS機能の実装コストを削減するため、Mali-C78AEでは、マシンビジョンに最適化されたセンサーの出力のダウンスケールと色変換を行い、人間の目に合わせた画像を生成することで、カメラセンサーを両方の目的に対応させる。カメラとそれに付随する電子回路や配線の重複が排除されることで、OEMはコストを節約して複雑性を低減できる。多種多様な車種を対象にカメラベースのADAS機能をより幅広く導入することで、これまで以上に安全で優れた運転体験を実現できる。

■業界のパイオニア企業が、ADAS向けの強力なビジョンパイプラインを採用 車載向けビジョン・セーフティ技術のパイオニアであるMobileye社は、同社の次世代EyeQテクノロジー向けに、業界に先駆けて新型Mali-C78AE ISPを実装した。MobileyeがMobileye EyeQ UltraとEyeQ6Hの開発に着手した際、画像データを効率的に処理するために採用したのがMali-C78AEだった。そして、本製品をMali-G78AE GPUと組み合わせることで、こうしたアプリケーションの厳格な要件に対応する上で必要となる、安全対応でスムーズな、リアルタイムの直感的なグラフィックス・レンダリング機能が実現する。

 Mobileyeのエンジニアリング担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるElchanan Rushinek氏は、次のように述べている。「ArmのISPおよびGPUテクノロジーの組み合わせを採用した当社のサラウンドビュー可視化機能によって、集中管理型の演算ソリューションが実現し、最先端のADASとパーキングアシストシステムを単一のSoCで提供できます」