長野県伊那市・白鳥孝市長に聞く「最...

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長野県伊那市・白鳥孝市長に聞く「最先端の取り組みをしていると、自ずと人々の目が向いてくる」[首長に聞く!インタビュー 第4回|EICネット]

伊那に生きる、ここに暮らし続ける

功刀専務(以下、功刀)― 本日は、伊那市の白鳥市長にご登場いただきました。どうぞよろしくお願いいたします。さっそくですが、市長から地域全体についてのご紹介をお願いしたいと思います。

白鳥市長― 南アルプスと中央アルプスの真ん中に天竜川が流れていまして、それと南アルプスの仙丈ケ岳から流れてくる三峰川(みぶがわ)が伊那で合流しています。そのほかにも中小河川がいくつも中央アルプスや南アルプスから入ってきていまして、自然環境としては非常に恵まれた地方都市だと思っています。私も朝晩に山を見ながら出勤をしていますので、そういう点では、本当に豊かな自然だなと思うんですね。一方では、地方創生と昔から言われているんですけど、全然完成に近づいていないと思っています。なぜかというと、食べるものを自分たちの力で生産し、飲み水にしても山の手当てをしてそこから出てくる水を農業にも飲料水にもする。それから地域で生み出すエネルギー、これらが自活できないと地方創生は成り立たないと思うんですね。そうしたことを考えると、エネルギーも木質バイオマスや小水力などの再生可能エネルギーを使って、しかも使う電気も照明をLED化するなど必要以上には使わないという生活スタイルがまずベースにあって、その上に製造業だとか福祉、医療などがのっかってくる。その一番大事なところがないと、地方創生はうまくいかないだろうというのが私の考えなんですね。それを実践するうえにおいては、伊那にはアルプスもあるし、農地や森林資源も豊かにありますので、具現化するための一つのよいパターンになるんじゃないかなと思っています。

功刀― 今お話のあったエネルギーですけど、昔は輸入したエネルギーしかないと思っていたのが、今は小水力や木質バイオマスなど従来ではあまり考えられなかったエネルギーが使えるということが、地方にとっては逆に有力な武器になると考えてもよろしいのでしょうか。

長野県伊那市・白鳥孝市長に聞く「最先端の取り組みをしていると、自ずと人々の目が向いてくる」[首長に聞く!インタビュー 第4回|EICネット]

白鳥市長― ええ。ただ、第一次、第二次オイルショックがあった時には、イルミネーションも消したりと、結構象徴的なことで皆さんアクションを起こされたんですが、今の時代はそういうことをあまりやっていないんですね。エネルギーも化石燃料だけに頼っていた時代から徐々に脱却してきていますから、使う側の取り組みも強化していく必要があります。

功刀― 自分たちのところで作っているんだから、それを無駄にしないで、ある範囲のところでうまく使うという形に持っていかないといけないんじゃないかということでしょうか。

白鳥市長― そうですね。農業や林業も後継者不足や高齢化が常に付いてまわっているんですけど、それを上手に置き換えて解決するものが、今の新産業の技術だと思うんですね。だから、私にしてみると非常にタイミングよく新しい時代がやってきたなと思うんです。

功刀― なるほど。いきなりだいぶ核心のお話に入ってきていますね。

南アルプスと中央アルプスに抱かれ、天竜川や三峰川をはじめとする大小多数の河川が流れる豊かな自然と歴史文化に育まれた「未来を織りなす 創造と循環のまち 伊那市」(左:早春の西箕輪から望む仙丈ケ岳、右:満開の桜と残雪の西駒ケ岳)