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「どんなスタイルにするかは、その日の気分で決めます。ほとんど毎日、黒い服ばかり着ていた時期もあったし、1カ月くらい前に髪を染めてからは、たくさんの色や柄を組み合わせるようになりました。好きなブランドは特になくて、ただ、好きなものを着ているんです」
260万人ものTikTokフォロワーを持ち、モデルとしてのキャリアも順調にスタートしているティロシュのここに至るまでの道のりは、旅に彩られていた。メキシコシティから南東に2時間ほどのプエブラで生まれたティロシュは、3歳のときに両親の仕事の都合でイスラエルに移り、そこで5年ほど暮らした後、ベラクルス州の沿岸地域に戻ってきた。ここで彼女は初めてフォトグラファーに声をかけられ、イタリア版『VOGUE』が主催する新たな才能発掘のためのプラットフォーム「PhotoVogue」に応募する写真のための被写体になってほしいと言われたのだ。
これを機に、ティロシュはメキシコシティのモデル事務所と契約することになった。同じころ、彼女はパンセクシュアルでノンバイナリーであることをカミングアウトし、思い入れのある名前「ハダッサ」に改名する。
「私が本当の自分の姿を世界に見せようと決意したのは、たった1年半前のことです。今の私は偏見やタブーを打ち破るためにこの世界にやってきた『ハダッサ』。ハダッサとは、『いつでも花が咲いていて、決して枯れない木』という意味です」