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こうした前例のない寂しいゲームショウとなったのは当然理由がある。会場である幕張メッセ側から、1日あたりの入場者数を5,000人以下に抑えるように要請されていたためだ。この時点で、オフラインイベントが小規模になることは必然だった。
要請に従うために一般入場を断念し、その代わり、メディアに加えて、ゲームと比較的親和性の高いインフルエンサーを招待する形に切り替えた。ブース規模は各社最小限とし、出展内容はステージイベントを避け、ゲームの試遊をメインにする方向で調整。結果として「それではオフラインで出すメリットがない」と判断し、オンラインのみの出展を決断するメーカーも相次いだ。
【出展メーカー(一部)】KONAMIセガ/アトラスコーエーテクモゲームスカプコンバンダイナムコエンターテインメントハピネットMONSTER ENERGYイケアAmazonわかりやすい例では、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)、スクウェア・エニックス、ガンホー・オンライン・エンターテイメントといったメーカーがオフラインでの出展を見合わせ、そのほかMicrosoft(Xbox)やUbisoft、Electronic Artsといった欧米メーカー、CygamesやDeNAといったモバイルゲームメーカー、YouTubeやOculusといったプラットフォーマーなど、挙げれば切りがないが、多くのメーカーが出展を見合わせていた。
ただ、出展見合わせの理由が、必ずしも新型コロナの影響だけではない事に注意が必要だ。特にSIEは、ソニーと一体化してからというもの、グローバル戦略の中でゲームショウへの出展について大幅な見直しを図っており、E3は毎年出展を見合わせている。仮に今年フルスペックのTGSが開催できていたとしても、SIEは出展を見合わせていた可能性がある。
スクウェア・エニックスは昨年に続いて自社配信を実施。メーカーとしては最大規模の配信で、同社は以前からTGSやE3などでオンライン配信を実施してきたこともあり、こなれた感すらある。例年、「FFXIV」をはじめとした体験重視のコーナー、大型のステージによるイベントを重視してきた同社にとって、今年のオフライン会場は魅力的に映らなかったのだろう。
【TGS2019のスクエニブース】「FFXIV」名物のプロデューサーレターライブはいつも大賑わいになる「FFXIV」体験コーナー」もともとゲームは、オンライン配信と相性が良いこともあり、昨年の東京ゲームショウで、奇しくも多くのメーカーがゲームショウがオンラインで成立してしまうことに気付いてしまった。今年は出展見送りの理由に「新型コロナの影響」という理由が付けられたが、本当のところはどうだったのか、それは来年以降に明らかになるだろう。