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穴の開いたユニークなデザインの完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds WF-L900」がソニーから発売されました。リング型ドライバーを採用し、ドーナツ状のユニットとすることで、外音が取り込めるうえに蒸れにくく、長時間の着用に際してもストレスが少ないのがウリです。
XSからXLまで5種類のフィッティングサポーターが用意されており、多くの人で、高い装着性を実現するとしています。
ケースや筐体は、同社のWF-1000XM4と同様、艶消しの樹脂製で再生プラスチックが使われているようです(生産時期などによって再生プラスチックを使用しない場合があるとのこと)。
WF-1000XM4と同じV1チップ採用で高音質な音楽環境を実現
LinkBuds WF-L900にはWF-1000XM4が採用する統合プロセッサー「V1」が搭載されています。
そのV1のパフォーマンスですが、WF-1000XM4では「日々の生活の中で最高の音楽を楽しみたい」という方向に使われたとすると、LinkBuds WF-L900では独特の形状や制限の多い新型ドライバーで良質なサウンドを実現することや、環境ノイズの中で自分の声だけを抽出する「高精度ボイスピックアップテクノロジー」などの演算にその性能を割り振っているように感じました。
また、ソニーの高音質化技術「DSEE Extreme」や、会話を検知して自動で楽曲の再生を停止する「スピーク・トゥ・チャット」、外音に応じたボリューム調整を行う「アダプティブボリュームコントロール(自動音量調整機能)」、イコライザーによる調整、タップ機能の割り当て、360 Reality Audio設定、ヘッドホンを外したら音楽を自動で一時停止するなどの機能も備えます。これらの機能はアプリによってON/OFFできます。
リング型ドライバーの効果の程は?
噂サイトのリーク画像などで最初に中空のリング状パーツを見たときは、音を伝達する機構なのかと思いましたが、実際はドーナツ状のドライバーユニットということで「それドライバーなんだ!」と驚きました。ユニークな形状ですが、実際に装着するとフィット感は良く、傍目にも目立たない装着感です。
一方で特に耳の小さい人にはソニーのロゴが入ったユニット部が大きく感じでしまうこともあるようです。これはユニットそのものの大きさというよりも、リング型ドライバーの穴を活かすため8の字状に配置されたユニットが結果として自分の耳の形状に合わず大きく感じるということかと思います。この点はフィッティングサポーターでは解決しにくい部分なので、心配な人は試着をしてから購入したほうがいいかもしれません。
実際に音楽などを再生した場合の外音の聞こえ方についてですが、他の完全ワイヤレスイヤホン、インイヤーイヤホンなどと比較すると聞こえはするものの、ボリュームを上げていると話しかけられたとしても何を喋っているのか内容まではわからないという印象でした。
今回試したiPhoneにおいては、ボリュームが三分の一くらいまでですと話しかけられても内容は理解できますが、半分を越えるあたりから話しかけられてるのはわかものの聞き取りが不明瞭という状態です。
とはいえ、実際の使用シーンでは会話を検知して自動で楽曲の再生を停止する「スピーク・トゥ・チャット」をONにしておけばいい感じ。話しかけられたと気付いて、返事をすればスムーズに会話に移行できるでしょう。
肝心の音質は、バイオリンのソロ曲やピアノ弾き語りなど、中高域が豊かな楽曲が得意かなという印象を受けました。作業中に音楽やYoutube動画をBGM代わりに再生する人もいるかと思いますが、そういった作業用BGM視聴環境としてベストだと思いました。
なお、BGMにあわせて曲を口ずさんでしまう人は、「スピーク・トゥ・チャット」をOFFにしておかないと会話を検知して再生が止まってしまいますので注意が必要です。
もう一つ便利な機能として「ワイドエリアタップ機能」があります。イヤホン近くの顔の周囲をタップしてイヤホンの操作ができるというもので、タップ機能に準じた操作が行えます。設定はアプリでカスタマイズでき、左ユニットにダブルタップで楽曲の再生・停止、トリプルタップで曲送り(スキップ)、右ユニットにダブルタップで音量アップ、トリプルタップで音量ダウンを割り当てたところ、問題なく行えました。
LinkBuds WF-L900はかなり小型で、耳に装着した場合の露出部が少ないのでイヤホン部をタップしようとすると耳輪(じりん、耳の外周の出っ張った部分)などの耳に触れてしまい、ボディそのものに触れないこともあります。そんな時でも誤タップとならず作動しますし、耳輪や頬骨(耳穴寄り)のあたりをタップするなどしても反応しますので操作がより直感的に行える印象です。また、タップを検知すると音声でフィードバックされるので、わかりやすいです。
一方で、カバンのストラップを肩から外すとか、ニット帽を脱ぐなど顔や耳付近に触れる動作の際にワイドエリアタップ機能が作動してしまうこともありますので、使い方や使用シーンに合わせて機能をON/OFFするのがよいでしょう。
気になる音漏れに関しては、外音の状況によって変化します。家庭内の生活音レベルの場合、話しかけられた際に相手の声が判別できるくらいの音量が、他人への音漏れが気にならないくらいの音量とほぼ同じくらいかなという印象でした。「アダプティブボリュームコントロール」を使用した場合は外音の環境に応じて再生音量も上がる可能性がありますので、意図せず音漏れが激しくなる可能性もあり得ます。
ほぼ1日中WF-L900を装着して音楽を聴いたり、オンラインミーティング、通話を行ったりしましたが、冬の季節で乾燥しがちということもあり、長時間の装着でも耳の中が汗ばんだり湿気が篭る感じはほとんどありませんでした。耳穴が開放されているということで、圧迫感や閉塞感もなく、違和感のない、着けているのが苦にならない状態でした。
かなりつかえる「高精度ボイスピックアップテクノロジー」
今回、LinkBuds WF-L900で実装された機能の一つ「AIを活用した高精度ボイスピックアップテクノロジー」を試すために、TV番組や映画などの音声を通常レベルで流した状態で、そのスピーカーの前で通話するテストをしてみました。
比較としてスピーカーフォンの状態と、iPhoneそのものでの通話も行ってみたところ、結果は高精度ボイスピックアップテクノロジーを使用した通話において、最も話者(LinkBuds WF-L900の装着者)の声が明瞭に聞こえる結果が得られました。話者が話をしている以外では、映像の音声(特に人の話し声)を拾いますが、喋り始めると他の音声がすっと消えて話者の声が際立つという印象です。
もう一つ、空気清浄機の送風口(空気吹き出し口)付近(送風を顔に受ける状態)で通話するテストでも、LinkBuds WF-L900着用時が最も送風ノイズを消してくれました。強風下で通話しても、自分が喋っている間は風切り音などに邪魔されない(喋ってない間は相手には送風ノイズは聞こえている)ことが期待できます。
新型コロナウィルス蔓延状態の現在、LinkBuds WF-L900は、自宅でリモートワークをしながら家族の呼びかけに反応したり、長時間デバイスを装着したままリアル会話と通話やオンラインミーティングをシームレスに行き来したりするような新しい生活、働き方にマッチしているように思います。
オフィスへの出勤が主となった場合でも、リアルとオンラインが頻繁に切り替わる状態になることが高まることも予想されますので、そういう利用シーンでは高い効果を発揮するのではないでしょうか。
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