Shokzの「OpenRun Pro」は、骨伝導イ...

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Shokzの「OpenRun Pro」は、骨伝導イヤフォンを“使いたい”と思える水準に引き上げた:製品レヴュー

Shokz(旧AfterShokz)の骨伝導イヤフォンが掲げてきた謳い文句は、ずっと魅力的なものであり続けてきた。耳の穴に入れることなく音楽を聴けるので、周囲の音も聞こえてくる、という触れ込みである。だが実際のところ、そこまで気に入っていたわけではなかった。

それも、これまでの話だ。Shokzの最新の骨伝導イヤフォン「OpenRun Pro」(日本では2022年3月発売)で初めてShokzのイヤフォンを心から好ましく思い、日常的に使いたいと思うようになったのである。

これまでのShokzの製品のみならず、ほとんどの骨伝導イヤフォンにとって長所と短所は表裏一体だった。というのも、骨伝導イヤフォンは音が出る部分を耳に直接入れる構造ではなく、頭部の骨を振動させて音を伝える仕組みになっている。それがうまくいかないと、かなり妙に感じられることがあるのだ。

以前のAfterShokz時代の骨伝導イヤフォンを『WIRED』US版で評価した際には、頭の中で小さなうなり音がして我慢できなかったことがある。むしろ何も装着しないほうがいい、という声すら出ていた。

だからこそ、新モデルのOpenRun Pro(以前は「Aeropex」と呼ばれていた)は印象的な製品といえる。今回のテストでは、前のヴァージョンで指摘されていたような問題点は、まったく気にならなかったのだ。旧モデルでうなり音の問題を指摘していたエディターも、初めて「(音楽などを)楽しむために」装着するようになったという。

Shokzの「OpenRun Pro」は、骨伝導イヤフォンを“使いたい”と思える水準に引き上げた:製品レヴュー

骨伝導イヤフォンのテストは個人的には今回が初めてだが、旧モデルの問題について聞かされるまでは構造的な問題について考えもしなかった。この事実こそが、OpenRun Proにとって何よりの賛辞といえるかもしれない。

慣れると気にならない使い勝手

初めてOpenRun Proを試したとき、聞こえてくる音に慣れるまで少し時間が必要だった。聞こえてくる音は深く豊かで装着感も快適だったが、音がほんの少しだけこもっている感じがある。たくさんの軟骨と骨を伝わってから音が内耳に届くので、多少は音の響きが変わって当然だろう。

だが、そうした違いはわずかなもので、いったん慣れるとまったく気にならなくなった。普段使いのイヤフォンを使ったときに、OpenRun Proでは音がこもることを思い出した程度である。

仮に音質の違いがもっと気になり続けるものだったとしても、それに見合う価値はあったと思う。通過するクルマや近くにいる人々が出す音が聞こえるので、街なかでのランニングや散歩の際に周囲の様子を感じ続けることができたのだ。レジでのやりとりもスムーズだし、少なくとも一度はイヤフォンをつけていることを忘れたまま友達と話し込んでいたほどである。

音の面で唯一の大きなマイナスポイントは、自分が聴いている音が驚くほど簡単にほかの人にも聞こえてしまう点だろう。友人に装着してもらってソファで並んで座ったところ、音量が中程度でも何の曲を聴いているのかわかってしまった。