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2021年11月中旬に、ソニーから新作スマートフォン“Xperia 5 III”が発売される。こちらの端末は今夏発売されたフラッグシップモデル“Xperia 1 III”とほぼ同等の機能を備えつつも価格を抑えたプレミアムスマートフォンとなっており、手頃にリッチな体験を得たいというユーザーから注目を集めている。
前述した“Xperia 1 III”はゲームに特化したスマートフォンとしても話題を集めており「使うだけで有利になる」と言われるほどの性能・機能を保有している。それとほぼ同等のスペックを持つ“Xperia 5 III”も、ゲームシーンにおけるハイパフォーマンスが期待されるが、実際のところはどうなのだろう? 細かなスペックの差により、なにか違いは生まれるのだろうか?
最新スマートフォン“Xperia 5 III”を借り受けることができたので、そういった点に注目しつつ、ゲームに特化した機能をレビューしていこう。レビューにはアプリ『CoD:Mobile』を使用していく。
また本記事ではレビューのほか、“Xperia 1 III”をゲームシーンで実際に使用しているというプロゲーマーLaFius(チームSCRAZ『CoD:Mobile』部門所属、読み:ラフィアス)さんに、ゲームに特化した数々の機能の有用性を語ってもらったので、それも紹介していこう。
【LaFius】
プロチームSCARZのCALL OF DUTY MOBILE部門に所属。6人のメンバーの中でもSMGの武器を
なお今回レビュー用にとお借りした“Xperia 5 III”と、LaFius選手が使用している“Xperia 1 III”とのおもな差分はつぎの通りとなる。
・3D iToFセンサー Xperia 1 IIIにのみ搭載
・サイズ Xperia 1 III:約71mm×約165mm×約8.2mm(約188グラム) Xperia 5 III:約68mm×約157mm×約8.2mm(約168グラム)
・ディスプレイ解像度 Xperia 1 III:4Kディスプレイ(約6.5インチ/有機EL) Xperia 5 III:FHD+ディスプレイ(約6.1インチ/有機EL)
・RAM/ROMメモリ(1 III:12/256GB 5 III:8/128GB) Xperia 1 III:12GB(RAM)/256GB(ROM) Xperia 5 III:8GB(RAM)/128GB(ROM)
⇒Xperia 1 III公式サイトはこちら ⇒Xperia 5 III公式サイトはこちら
“Xperia 5 III”には、“Xperia 1 III”に引き続き“ゲームエンハンサー”というシステムが搭載されている。ゲームエンハンサーとは、端末のパフォーマンスはもちろん、ディスプレイ機能やサウンドの機能までをもゲームに特化した形にカスタムできるようにし、ゲームのプレイ環境をユーザーに合わせて整えてくれるオリジナルのシステム。
数々の機能を有したシステムとなっているが、まずはもっともわかりやすく差が生まれる画質、ディスプレイに関する機能を確認していこう。
▲ゲームエンハンサーはゲーム中から呼び出し&設定が可能。
まず取り上げたいのは、ローガンマレイザーというディスプレイのガンマ値を調整し、暗所を明るく描画してくれる機能だ。「暗所を明るく描画できるようになる」と語るだけで、とくにFPSユーザーならばそれがどれほど有用かは理解していただけることだろう。
通常なら暗いステージ、暗いマップでは敵やオブジェクトを視認しにくくなり、それが起因して勝負で後手に回ってしまうこともある。しかしローガンマレイザーを使えば、暗所に潜む敵の影を視認しやすくなるため、戦いで遅れを取ることも減るだろう。
※スクリーンショットにはローガンマレイザーの設定が反映されないため、実機を直接撮影。
▲プレビュー機能を使えば、実際のゲーム画面をしっかり確認しながら設定を調整できる。
続いて確認しておきたいのがゲームモードで設定できるリフレッシュレートの設定。リフレッシュレートとは1秒間に画面が更新される頻度のことで、この数値が上がるほど映像がなめらかに描画されることになる。一般的には60Hz(秒間60回の画面更新)が基本的な設定値となるが、これはゲームシーンにおいては高い数値とは言えない。もちろん常用している中であれば、これで不便を感じることはないだろう。
しかしゲームでは敵が激しい動きをしたり、またそれに合わせてプレイヤー視点を大きく動かすことも少なくない。そんな状況下だと、60Hzだと画面に残像が残ったり画面がちらついて見えてしまう。
“Xperia 1 III”、および“Xperia 5 III”では、そんな問題も解消できる。ゲームエンハンサーの設定で、最大240HzというPC向けの高額なゲーミングモニターでないと実現できない描画性能を発揮してくれるのだ。
▲リフレッシュレートの詳細設定画面はゲームエンハンサー内のゲームモードから、カスタム設定を選択すると確認できる。
『CoD:Mobile』をプレイした際には、その恩恵を強く感じられた。敵の残像がちらつくことがないので、視認性が上がりエイムを合わせやすくなったのはもちろん、目が疲れにくいのだ。とくに視認性の向上は大きく、カジュアルプレイヤーでも明確にその差を感じられるほど。ただ残念ながらこの差は画像や映像では伝えられないので、本端末が店頭に並んだ際には実際に手にとって実感していただきたい。
ディスプレイ関係をレビューする上で、もうひとつ忘れてはならない要素がある。ディスプレイそのもののサイズだ。“Xperia 5 III”は約68mm×約157mm×約8.2mmという大きすぎず手に馴染むサイズ感となっているが、特徴的なのはその縦横比(アスペクト比)。21:9というアスペクト比を持ったディスプレイは、横持ちにしたときにそのポテンシャルを感じさせてくれる。
一般的なディスプレイよりも横に長い視野角を確保できるようになるので、単純に情報量が増えるのだ。もちろん、このアスペクト比に対応したゲームでないとこの恩恵は受けられないが、幸いにも『CoD:Mobile』はこのワイドディスプレイでの描画に対応しており、ほかの端末でプレイしているときより広い視野角を確保できた。
▲画像内の赤枠が16:9のディスプレイサイズ。描画範囲が明らかに違うのが確認できる。
通常なら「画面外から敵が近づいてきた!」と感じるような場面でも、このワイドディスプレイなら画面内での出来事に収まってしまうのだ。このアドバンテージは大きい。
【プロゲーマー・LaFiusさんによる画質&ディスプレイのレビュー】
僕はゲーム用に“Xperia 1 III”を使用しているのですが、ゲームエンハンサーの画質設定とディスプレイ機能には満足しています! とくにタッチレスポンスの良さや高いリフレッシュレートへの満足感が高いですね。
以前は、とあるハイスペックなタブレット端末をゲーム用に使用していたのですが、“Xperia 1 III”のタッチレスポンスの良さと高いリフレッシュレートを体験し、ここまで違いがあるのかと驚いたほどです。
私は『CoD:Mobile』でSMGという近距離用武器をよく使用しているので、なによりも反射速度が重要なんです。“Xperia 1 III”ではそんな僕のニーズに応えてくれるレスポンスの良さがありますし、高いリフレッシュレートによって近距離で敵が激しく動いても残像が出ず視認しやすいので、“Xperia 1 III”の存在そのものが武器になっていると感じます。
21:9のワイドディスプレイも魅力的です。『CoD:Mobile』では5本の指を使って操作をしているのですが、ふつうのスマートフォンで5本指操作をしようとすると、指で画面が隠れてしまい大事なところが見えなくなってしまいます。しかしこのワイドディスプレイなら、視認すべきエリアを確保した状態で指を配置するエリアも確保できるのでプレイが阻害されません。
タブレットはただ映像を引き伸ばしているだけなので、やはり指で見たいところは隠れてしまうことがありました。画面が横に広がるだけで、これほどまでプレイ体験が変わるというのは驚きでした。
ローガンマレイザーやホワイトバランスの設定も活用しています。ちなみに『CoD:Mobile』ではローガンマレイザーのレベルは1に、ホワイトバランスは7500で設定しています。暗いところは見やすく、でも明るいところで白飛びしない、個人的にお気に入りの設定なので、ゲームエンハンサーが搭載された端末で『CoD:Mobile』を遊んでいる方はぜひ試してみてください。
続いて、音に関する機能にも注目していきたい。ゲームエンハンサーにはオーディオイコライザーが搭載されており、特定の音域のボリュームだけを上げ下げできるようになっている。
音に関する知識や設定の経験が乏しいので、手探りでこの機能を触ってみたのだが、たしかに特定の音域のボリュームを調整することで銃声や足音が聞き取りやすくなった。またふだんのプレイでは気付けない音を捕捉できるようになったので、さらに深堀りをしていけばプレイパフォーマンスに大きな影響を与える可能性はあるだろう。
このようにオーディオイコライザーも注目の機能ではあるのだが、個人的に取り上げたいのはイヤホンジャックの存在。ワイヤレス技術が広く流通したことで最近の端末では廃止される傾向にあるイヤホンジャックが、“Xperia 5 III”、そして“Xperia 1 III”には実装されているのだ。
遅延の少ないワイヤレスイヤホンというのは市場に多く流通してはいるが、やはり有線接続と比べてしまえばそこには明確な差がある。そしてゲームにおいてはこの差が致命的なミスの原因にもなるのだ。とくに対戦ゲームではもちろん、アクションゲーム、リズムゲームでは音の重要度が高いので、これらをプレイするなら可能な限り有線での音声出力をしたい。“Xperia 1 III”と“Xperia 5 III”はこのニーズにも応えてくれているのだ。
ゲームエンハンサーにはボイスチャット時におけるサウンドバランスを最適化してくれる機能もあるのだが、こちらは個人でレビューするのは難しい。なので、これについてはLaFiusさんが実際にチームで本機能を使用してみての感想を聞いてみたので、そちらを参照してほしい。
【プロゲーマー・LaFiusさんによるサウンドシステムのレビュー】
オーディオイコライザーには、大きな可能性が秘められています。うまく設定をすれば発砲音や足音がより明確に聞き取れるようになります。まだ新しい音質設定に耳が慣れていない、というこれまでのデフォルトの音質に耳が慣れすぎていたので、先日参加した予選ではこの機能は使いませんでした。しかしこの機能によってアドバンテージが取れる可能性は十分にあると思うので、もう少し研究を進めてみたいですね。
サウンド関連でいうと、やはりイヤホンジャックの存在は大きいです。『CoD:Mobile』において音が持つ情報量というのは非常に大きいのですが、遅延が少しでもあると音が持つ情報の価値は一気に薄れてしまいます。遅延により反応も遅れてしまえば、最悪それが敗因になることもあります。これまでに様々なワイヤレスイヤホンを、それこそ高機能と謳われているものも使ってきましたが、やはりどんなに優れていても無線ではラグが生じます。そういった経験から、ゲームで勝ちたいなら無線は論外だと思っていたので、こうして有線のジャックが付いているのは本当にありがたく思います。
ボイスチャット(VC)時におけるサウンドバランスを最適化は、VCを聞く側にメリットのある機能なのでXperiaを使っている本人からその良さは気付けないのですが、チーム内では非常に好評を得ている機能です。先程も申し上げた通り『CoD:Mobile』は音も重要な情報になるのですが、それと同等以上にチームからの情報共有も重要になります。うちのチームメンバーは全員“Xperia 1 III”を使っているので、声がくぐもって聞こえることもなく円滑な連携が作れています。ゲーム音量とボイス音量とのバランスもいいので、地味ながらすごく利便性の高い機能だと感じています。
映像と音のほかにも、ゲームエンハンサーで注目しておきたい機能がある。RTレコードという録画システムだ。
こちらは通常の録画用システムではなく、RTレコードを起動した時点から最大30秒さかのぼって録画ができるというもの。Android OSのデフォルト機能を使い、つねに録画をオンにした状態でゲームプレイをすると端末のパフォーマンスが低下する恐れがあるが、この機能を使えばそういった心配もなくなる。ゲームをコミュニケーションツールとして活用している人にとってもありがたい機能と言えるだろう。
▲録画ではゲーム音はもちろん、プレイヤーの声も収録できる。
フォーカス設定という機能もありがたい。こちらは、ゲーム中のOSの動きをコントロールするもので、通知のオフやメモリの開放などが行えるようになっている。これらも非常に便利な設定なのだが、個人的に注目したいのは“[明るさ自動調節]の無効化”だ。
最新のスマートフォン端末では、環境に応じてディスプレイの明るさを自動調節してくれるようになっている。バッテリーの省電力化や目へのストレス低減という点では非常にありがたい機能ではあるのだが、ゲームプレイをジャマしてくることもある。たとえば周囲の明るさを探知するセンサーに手がかかった際、端末が「部屋が暗くなった」と誤認し、急にディスプレイを暗くすることがあるのだ。
こうなってしまうと、さすがにプレイに影響が出る。しかし“[明るさ自動調節]の無効化”の設定をオンにしておけば、こうしたストレスにさらされることはなくなる。ありそうでなかった、ゲーマー向けの便利な機能と言える。
プロゲーマー・LaFiusさんが語ってくれている、タッチレスポンスの良さも注目しておきたいポイント。ゲームエンハンサーを通じた設定の中には、タッチしてからの反応速度を調整できる項目がある。こちらも画質設定と同様に設定内容を確認しながら細かくカスタマイズできるようになっているので、実際にゲームを触りつつ自分好みの設定を探していける。
またゲームエンハンサーの枠外にある機能になるが、HSパワーコントロールという独自システムもピックアップして紹介しておきたい。こちらを端的に紹介すると充電をしながらゲームプレイをしてもバッテリーが熱を持ちにくくなるというものだ。
誰しも、充電をしながらゲームをプレイした経験はあると思う。このときバッテリーは電力の入力と出力を同時に行なうため負荷がかかり、どうしても熱を持ってしまう。しかしHSパワーコントロールは、アダプタから入力された電力を、バッテリーを介さずゲームの処理にまわしてくれるのだ。これによりバッテリーからの発熱が抑えられるので、端末が熱を持ちにくくなるのだ。バッテリーの劣化も防げそうな気がする。
【プロゲーマー・LaFiusさんによるその他の機能へのレビュー】
RTレコードは僕もよく使っています。手軽にクリップが作れるのはいいですよね! あと「いまの瞬間は録画しておきたかった!」というモヤモヤから開放されたのはメンタルにいい影響を与えていると思います(笑)。
僕は“Xperia 1 III”をゲーム専用端末として使っているため、通知などが来る心配はしていないのですが、ボタンひとつでメモリ開放をし、通知と明るさの自動調節機能をオフにしてくれるのはすごく便利なのではないかと思います。やっぱり集中してゲームをしている中での通知はジャマでしかないので(笑)。
それとプロゲーマーという立場もあって長時間ゲームをプレイすることが多いので基本的には充電をしながらプレイするのが通常になっているのですが、HSパワーコントロールのお陰か、端末が熱を持ちにくくなっているのも嬉しいポイントですね。手汗をかくことなく遊び続けられるので、そういった点もユーザーフレンドリーだと思います。
ざっと“Xperia 5 III”の性能や実際に使ってみての感想を述べてきたが、総評としては、これはもうゲーマー向けスマートフォンと言える。実際にはそのほかのニーズにも対応できるよう、カメラ機能など特筆すべき点は多々あるのだろうが、“ゲーマー向け”と言えるくらいゲーマーに向き合って設計されているのを感じた。
“Xperia 1 III”と比較をしようとも思ったのだが、ディスプレイサイズ以外の違いを感じることができなかった。「“Xperia 1 III”のメモリ(RAM)が12GBであるのに対し、“Xperia 5 III”のメモリ(RAM)は8GB」という情報は確認しているが、少なくとも『CoD:Mobile』をプレイした限りでは明確な差は体感できていない。
リッチな映像表現がなされる『CoD:Mobile』をプレイしても差が感じられなかった以上、そのほかのゲームでも不便を感じることはないだろう。メモリ(RAM)以外の“Xperia 1 III”と“Xperia 5 III”との主だった違いは、そのほかカメラ機能のみとなっているので、カメラ機能にもこだわりたいのであれば“Xperia 1 III”を、カメラ機能に別段こだわりがない場合は“Xperia 5 III”を選ぶのがよさそうだ。
【プロゲーマー・LaFiusさんによる総括】
“Xperia 1 III”、そしてそれと同等のスペックを持つ“Xperia 5 III”はまさしく“ゲームに特化したスマートフォン”だと思います。
私はゲームエンハンサーの中では冒頭に語った、タッチレスポンスのよさと高いリフレッシュレートをとくに気に入っているのですが、このふたつは本当にプレイに大きなプラスの影響を与えてくれていると感じます。現在最高峰のスペックと言われているタブレットでも叶わなかったレスポンスと視認性が得られるというのは、本当に大きなことだと思います。
カジュアルプレイヤーの方でもこの2点の違いは感じられると思うので、勝ちにこだわる人には是非オススメしたいスマートフォンですね!
そんな“Xperia 5 III”を購入した人を対象としたキャンペーン“Xperia™で好きを極める!体験クーポンプレゼントキャンペーン”が開催されているので、最後にこちらも紹介しておこう。
“Xperia™で好きを極める!体験クーポンプレゼントキャンペーン”は、“Xperia 5 III”を始めとする対象商品を購入し、本キャンペーンに応募した人全員に、今回レビューにも使用した『CoD:Mobile』のゲーム内ポイント(5000円分)や、音楽配信サービス“Amazon Music Unlimited”の3ヶ月無料クーポン、プロレベルの写真加工が可能なサブスクリプションアプリ“Adobe Lightroom”の2ヶ月無料クーポンがプレゼントされるというもの。
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⇒Xperia 1 III公式サイトはこちら ⇒Xperia 5 III公式サイトはこちら
撮影:岡 千里