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一昨年の年末頃から、お店で一度印刷済みのレシート用紙(感熱ロールペーパー)に後から写真を重ね印刷するという遊びにハマっていた。レシートが感熱紙なら印刷済みでも熱転写プリンターを使ってその上に重ね印刷が出来ることを利用したものだ。
パソコンやスマホとUSBケーブル一本でつながる安価でコンパクトな熱転写プリンターを使っても同じことができるが、感熱ロールペーパーを使うトイカメラのフィルム代わりとして短くカットされた印刷済みレシートを使って、重ね撮影することでより面白い効果が期待できる大人の遊びだ。
最近はレジの感熱ロールペーパーを印画紙に使うトイカメラが人気だお店で受け取ったレシートに撮影画像を重ね印刷すると面白い仲間内ではそういうレシートをプリンター用紙として使えるトイカメラを“レジプリカメラ”と呼んでいた。筆者が今も愛用しているのは、名前もはっきりしない中国製のブルーとイエローのツートンカラーの子豚デザインのトイカメラだ。
筆者が長く愛用してる中華製の安価なトイカメラ(左)と今回のケンコー・トキナーのモノクロインスタントカメラKC-TY01今回は、昨年の9月に発売された同じテクノロジーを採用するケンコー・トキナーの“モノクロインスタントカメラKC-TY01”を入手したので早速いろいろ使ってみた。ご存じの方も多いとは思うがケンコー・トキナーは60年以上の歴史ある日本の光学製品の専門メーカーだ。
同梱品はカメラ本体とストラップ、お試し用の感熱ロール紙、充電用USBケーブルそして取説だ。フラッシュを搭載し、暗所でもそれなりに撮影できる。背面に液晶ファインダーは搭載しておらず、旧来ののぞき窓だけで見る廉価版チェキスタイルだ。
同梱品の中ではストラップだけが目を引くレンズは実はレンズではなく、右側の白いフレームの中の一番上にある実はレンズのように見える部分は飾りで、フラッシュのすぐ下にある小さな丸いスマホのカメラのように見える部分が実際に機能するレンズだ。
印画紙にあたるロールペーパーは前面からレンズを押し下げて蓋を開け装填する。背面には電源オンオフ・ボタンと、フラッシュのオンオフ・スライドスイッチ、撮影と同時に印刷するフレームの選択ダイアルの3つだけが配置されている。
フィルム代わりの感熱ロールペーパーは正面から入れてなんちゃってレンズを覆うように排出される一般的なPOSレジスター用の標準感熱ロールペーパーが使えるので入手は簡単パッと見、全体的なイメージはレガシーなフィルムカメラの様相だ。フィルム代わりのトイレットペーパーみたいなロールペーパーは、その直径にさえ注意すれば、純正以外のハンディターミナル用や店頭で見かけるPOSレジ用の幅58㎜の標準品が使えるので入手は簡単だ。
充電が終わったので、早速、撮影をやってみた。昨今では、背面には必ずと言ってよいほど液晶画面を搭載しているデジカメやスマホカメラに慣れてしまっていると、素通しのビューファインダーだけのカメラは、被写体のサイズや配置、アングルによる見え方のイメージを全く捉えることができないのでかなり不安だ。
残念ながら背面にありそうな液晶モニターは無い。左上のビューファインダーを使って撮影する。けっこう不安フレーム撮影を行う際にこのダイアルでお好みのフレームを選択する。液晶モニターが無いので、印刷完了するまで出力のイメージは分からないここは雰囲気優先で、素通しのビューファインダーを覗いて一気にシャッターボタンを押してみる。撮影が終わると正面のなんちゃってレンズ上にロールペーパーに印刷された写真がトイレットペーパーのように前方に押し出されてくる。ラップやセロテープのように斜めに引きちぎると印刷した写真1枚だけ切り取れる。
今回は、筆者が愛用している子豚のトイカメラとケンコー・トキナーのモノクロインスタントカメラの印刷を比べてみた。どちらもそれぞれが備えているフレームを付けて撮影してみた。見てすぐわかるのは、前者は16:9近辺の広角デジタル世代スタイル、後者は4:3のアナログ世代といった感じだ。これは好みの問題でどちらが良いという問題ではない。
室内撮影ではそれほど両者の差は顕著には感じないが、心持ち子豚のトイカメラの方がコントラスト比は良さそうだ。屋外の写真撮影になると、この差は如実に分かるようになる。
上野駅コンコースの屋内通路と御徒町駅アメ横信号前で全く同じ条件で撮影した両者の写真を見ればそのコントラスト比は明らかだった。
屋外の撮影では圧倒的に”子豚のトイカメラ”に軍配が上がる印刷出力は90度異なるが優劣は無し心持ち”子豚のトイカメラ”(右下)の方がコントラストが綺麗だ販売時期には1年ほどのズレがあるが、ほぼ同じ価格帯の2つのカメラ。表面上の販売者は国内のカメラ関連メーカーと中国のおもちゃ商社の違いはあっても、いずれもレジ用の感熱ロールペーパーを印画紙代わりに利用し、いずれも原産国は中国であることに変わりはない。
子豚のトイカメラは、液晶ビューファインダー付き、microSDスロット搭載でデジカメとしての機能も備えている。一方、国内カメラ関連メーカーの老舗であるケンコー・トキナーの販売するトイカメラは、デジカメ機能は一切無く、感熱ロールペーパープリンターにレンズが付いた超シンプルな商品だ。そしてこの両者はほぼ同じ価格帯だ。
素人の筆者は、やっぱり背面の液晶モニターが欲しい超シンプルな潔さに惹かれる心も少しはあるが、現代なら多くの人は子豚のトイカメラの方を選択するだろう。それほど時期の違わない2台のカメラ、いずれも原産国は中国。2台の差は、コストなのか、MOQ(最低発注数量)の差なのか、事前の市場調査なのか、輸入販売する企画の人の目利きの差なのか、部外者の筆者にはよく分からないが、この手の商品が増えることには大歓迎だ。
スペックも違うが、外観デザインも大きく異なる2台のトイカメラ。読者はどちらを選ぶだろうか製品名 | 発売元 | 購入価格 |
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モノクロインスタントカメラ KC-TY01 | ケンコー・トキナー | 9880円 |