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どうもこんにちは!MVNO事業部 山添です。
この度、期間限定で『IoT事業部』と兼務することになりました!
IIJでは現在セレクトジョブという制度が導入されており、自分の興味がある部署を兼務することができます。普段はMVNO事業部でモバイルサービスの開発をしていますが、この制度を利用して期間限定で『IoT事業部』と兼務することになりました!IoT事業部を選んだのは、IoTの技術に興味があったことはもちろんですが、なにより現場を知り今よりももっとユーザの目線でサービスを開発したかったからです。
そして、兼務早々IoT事業部でのミッションが…「空知スマートアグリシンポジウム2021」に参加すること!今回はそんなIoT事業部での初ミッションで参加したリアルイベントをレポートしたいと思います!
イベントレポートに入る前に、まずはIIJがどのくらい農業に力を入れているかを簡単に紹介します。これまでも本ブログで何度か紹介していますので、すでにご存知の方はここを読み飛ばして↓イベントレポート↓をご覧ください。
IIJではIIJを含めた複数社で構成した水田水管理ICT活用コンソーシアムが国の支援を受け、水管理に係るコストを1/2程度削減するため「LoRaWANによる水田管理システム」を構築し日本で最大の実証実験をしていました!
水田センサーはとてもシンプルな構造で工具を使わず簡単に設置が可能です!さらに単3電池2本でワンシーズン動作します。IIJと一緒に本プロジェクトへ参画していた笑農和様の自動給水弁と組み合わせることで実証実験の結果、水管理の時間を7~8割減少させることに成功しています!
静岡の実証実験を経て「IIJスマート農業 MITSUHA」というシステムを2019年 12月より販売開始しました。
LoRaWANに準拠していれば、1台の基地局でいろんなセンサーのデータを受けることができます。LoRaWANは、飛ばすことのできるデータ量は小さいのですが、その代わり1km以上、条件によっては5km程度飛ばすことができます。家庭用電源で動かすことはもちろんですが、屋外で電源が取れない場所でもソーラーパネルとバッテリーを用いて動作させることが可能です。
センサーで取得した情報はスマホアプリでバッチリ監視できます。
こちらは導入事例の紹介となります。
水田センサー「MITSUHA」導入事例。有限会社スタファーム編(富山県高岡市)
スタファーム様では、スマート農業をとても効果的にご利用いただいています。担い手不足により管理が行き届いていなかった、富山県高岡市の倉庫から30分ほど離れた飛び地のほ場を地域を守る使命感で引き受けられましたが、簡単に人を増やせず管理に悩んでおりIIJスマート農業MITSUHAの導入を検討いただきました。これまでは毎日、それも休日も朝と夕方決まった時間に見回りに行かなくてはならなかった作業がIIJスマート農業 MITSUHA の導入後では、2~3日に1回しか行かなくて良くなり、休日がちゃんと休めるようになったとお喜び頂けています。
昨年12月にリアルイベント、北海道 岩見沢市で「空知スマートアグリシンポジウム2021」を開催しました!
北海道空知総合振興局様および日本農業情報システム協会( JAISA)様との共催で実現したシンポジウムで、水田水管理の「スマート農業」に取り組む企業や団体が一堂に会しました。
会場内には最先端のサービスや事例の紹介、パネルディスカッションなどがあり、展示ブースにて実物のIoTデバイスに触れることができます。
本会場の様子
展示ブースの様子
今回のシンポジウム開催にあたり、IIJとしての単なる宣伝や、いわゆる「スマート農業の将来」といった現実から遠い議論ではなく、農家様目線の課題をしっかりと議論できる場になるようにと今回のシンポジウムにかける想いは本気でした!
場所は北海道岩見沢市!
お米、小麦、果物などの日本有数の産地で第一産業がとても盛んなエリアで沢山の農家さんに来ていただけました!
当日はYouTubeでの生配信も実施!コロナ対策での人数制限により来場できなかった方やリアルイベントへの参加を躊躇される方にもIIJや北海道空知総合振興局様の思いが届いたはずです。アーカイブも残っています!
空知スマートアグリシンポジウム2021
このイベントではIIJの配信技術を駆使したYoutube配信をしています。本格派IIJエンジニアが配信するYoutubeとは!?本ブログ続編で詳しく解説しますのでご期待ください!
本プログラム前半は基調講演となり、各地域の課題やスマート農業への取り組みの状況などをご説明いただきました。
滝川市 農政課の 高嶋 秀治様より、たきかわ版ほ場水管理システムの構築に向けて講演がありました。滝川市は基幹作物である水稲生産の省力化ついて、農業関係機関だけでなく地域の工業高校も交えて、地域ぐるみで取り組んでいるとのことでした。
美唄市 経済部農政課農務係 巽 健様より、美唄市のスマート農業検証事業と今後の展開について講演がありました。美唄市では高齢化に伴う農家戸数の減少が問題視されており、特にトマト農家は顕著のようでした。そのためICT農業推進協議会を設立し、農作業の省力化や効率化を地域で検討・推進されているそうです。
新十津川町 産業振興課 政所 正人様 / 渡辺 恵介様より、高品質・良食味米生産を目指すスマート農業について講演がありました。新十津川町でも農家様の高齢化が課題となっており、労働力が不足しているそうです。その解決方法として新十津川町スマート農業技術の開発・実証プロジェクトを立ち上げ実施されるとのことでした。
本プログラム後半はパネルディスカッションでした。
テーマは、“地域で進めるスマート農業~空知における水田水管理の省力化を考える”。
~スマート農業を用いた水田水管理の省力化について~昨今スマート農業と言えば「トラクター」、「水田管理」、「ドローン」の注目度が高いですがその中でも空知で現在注目されている「水田水管理」にフォーカスを当て討論を行いました。「これからの空知エリアの水田水管理のスマート化について」生産者の方を中心にディスカッションをさせていただきました。
当日のパネリストは本会場の他、北海道内の意見だけではなく他の地域の情報も参考にしていただきたいという狙いからZoomを活用し、宮城登米市から武山様、静岡県から原様、伊熊様にもご参加いただきました。
まずは自動給水弁や水田センサをどのように利用しているか、導入されている方の利用方法や使用感についてお聞きしました。
「朝早くから、夜遅くまで人手でやっていた作業がなくなり、時間の確保ができるようになった」「水田センサの精度もよく田んぼに行く機会が減った、時間削減ができるようになり肉体的な疲れが減った」
と言った時間帯の制限がある中で、水位の見える化によって作業が効率的になったという意見を多く聞くことができました。
また使ってみた課題について、「自動給水弁のごみ詰まりによる動作不良」など、実際に現場に設置しなければ分からなかった生の声をいただくことができました。その他にも「操作感が難しかった、水田センサの設置の仕方が慣れるまでが難しかった」と言ったユーザビリティ向上のご要望をいただきました。しかし、総じて農業者の多くの方に導入効果があり、スマート農業を導入することでコスト意識が芽生え、無駄な移動を減らすなどの効果が見えました。また、Zoomを用い様々な地域のご意見を伺うことで、各地域や営農スタイルによって水管理システムをどう活かしていくのかという課題が浮き彫りになりました。耐久性、コスト、操作性などに関する現場の声を聴けたからこそ、今後のサービス改善につながりそうなヒントを沢山拾うことができました。
株式会社 インターネットイニシアティブ
IIJは弊社が開発した水田センサーと、笑農和様の自動給水弁のセットになったデモキットを中心に展示しました。
株式会社 笑農和 様
笑農和様の自動給水弁!IIJが開発した水田センサーとセットにしたデモキットを中心に展示いただきました。
株式会社 ナイルワークス 様
株式会社 ナイルワークス様は農業用国産ドローンを展示いただきました。完全自動飛行機能や、自動薬剤散布、タブレットでの簡単操作など私はその技術力の高さと多機能さに興味深々でした。
展示ブースは大盛況!大変多くの方に興味をもっていただけました!!
展示内容の説明をすることや、実際の農家様の声を生で聞き、より深い議論をすることは本シンポジウムに求めていたことだったため、弊社スタッフも力が入っていました!
会場の皆様にアンケート用紙を事前にお配りし、当日マイクが回らなかった参加者のご意見、ご経験、ご感想を伺うことができました。参加者の声を一部ご紹介します。
[全体に関して]
[展示ブースに関して]
もちろんイベントに関しても「もっとこうしたほうがいい」などの改善要望や次回に期待することなど貴重な意見をいただき、今後のIIJの取り組みに活用し、より良いものにしたいと思います!
「まずは現場(利用者)を知る!」私がサービスを開発する際に最も意識することです。今回IoT事業部の初ミッションはIIJ開催のシンポジウムに参加することでしたが農家さんのリアルな声や、スマート農業のリアルを追求していきたいというIIJの情熱がぶつかり合って12月の北海道の寒さを忘れるほどの熱気に包まれていたように感じとても貴重な経験ができました。最後になりますが開催の機会をいただいた北海道空知総合振興局様、日本農業情報システム協会( JAISA)様に対し、この場を借りて御礼申し上げます。
日本の農業には、農業従事者の高齢化や人手不足といった課題があります。IIJはスマート農業への取り組みにおいて「スマート農業の将来」のような現実から遠い議論ではなく、現場目線での課題をしっかりと認知し、課題解決に向けたプロセスを考えていますので今後とも注目いただけると幸いです!
IIJ IoTビジネス事業部は、開発エンジニアとそれをビジネスに繋げる企画担当の混成チーム。時には泥にまみれてIoTシステムの開発に取り組んでいます!そんな、様々な活動を「IoT Magazine」としてまとめています。