アマゾンが発売する家庭用の“警備ドロ...

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アマゾンが発売する家庭用の“警備ドローン”は、いま本当に必要とされているのか?

わたしたちの物の見方は、コロナ禍を経て極端ともいえる転換を遂げた。おかげで2020年に発売されるハイテク製品に関して言えば、それが自分にとって本当に必要かどうかの判断が普段より難しくなっている。

人々のニーズが大きく変化した時期に、そのガジェットが自分の生活にフィットするかどうか考えなければならない。それに今年発売される製品の大半は実際のところ、19年かそれ以前に発案されたものだろう。

当時のテック企業は違う未来を思い描いていた。もしくは少なくとも、20年の製品マーケティングにおける「ライフスタイル」がどのようなイメージになるのか、まったく違う考えをもっていた。わたしたち全員がそうだったのだ。

家の中を監視するために自律飛行する監視用ドローンを、あなたは必要としているだろうか。現時点では、わたしは「ノー」と答える。それでも14カ月ほど前にアマゾンの誰かが、家の中の部屋から部屋へと飛び回って頭上からわが家を監視するニーズがあると考え、複数のカメラを搭載したドローンの未来という“プレスリリース”を書いたのだ。

このドローンは、このほどアマゾンが開催した新製品イヴェントで発表された。このイヴェントは通常なら、スマートスピーカー「Amazon Echo」の新製品やAIアシスタント「Alexa」のアップデート、そしてときにはしゃべる電子レンジのような風変わりなガジェットを次々に公開する場だった。

そして今年のアマゾンのイヴェントは、オンラインで開催されたことを除けば例年と同様だった。球体になった新しいAmazon Echoシリーズ、ユーザーを追ってディスプレイが回転する「Echo Show」といった製品が発表されている。

アマゾンが発売する家庭用の“警備ドローン”は、いま本当に必要とされているのか?

だが、今回のイヴェントの主役は、アマゾン傘下のセキュリティ企業リング(Ring)のドローンだった。なぜならこのドローンは、アマゾンがあなたの家の中のあらゆる空間に入り込むために、どこまでやろうとしているかを示していたからだ。

その名称の由来

このドローンの名は「Ring Always Home Cam」で、アマゾン傘下のRingのブランドで販売される。このドローンを「Always Home」と名付けたのは、ドローンがいつも家の中にあるからなのか、それともいまわたしたちがいつも家にいるからなのか──。アマゾンでハードウェア部門を統括しているデイヴ・リンプに尋ねてみた。

するとリンプは、どちらかと言えば前者であり、自分が不在のときでもそこにいるというリングの精神にちなんだものであると答えた。耳障りな音を立てるこのテクノ・ディストピアの産物は年内に出荷され、249ドル(約26,300円)であなたのところにやってくる。

Ring Always Home Camについてどう感じるかは、恐らく自宅にリングのカメラをもつことに対してどのように感じるかによるだろう。というのも、それは謳い文句の一部でもあるからだ。

「プライヴァシー上の理由ですべての部屋にカメラを設置することは避けたいという方や、設置したい場所に電源がないという方、あるいはすべての部屋にカメラを設置する金銭的余裕がないという方の声がヒントになりました」と、リンプは言う。「これは難問を解決する方法として、面白いように思えたのです」

ちなみにリングの創業者のジェイミー・シミノフは『The Verge』のインタヴューで、このドローンについて「つくるのが非常に難しい、わかりやすい製品」と説明している。

映像が警察に提供される?

このドローンは家の中で何らかの異変を検知するとドックから離陸し、侵入者やアライグマなどがいるところへ飛んでいくのだとリンプは言う。これはすべて、より壮大なアマゾンの戦略の一環である。風変わりな製品をコンセントにつなぎ、飛ばして回転させ、必要な場所に出現させる。音声アシスタントの「Alexa」が事実上あらゆる場所に現れ始めたのと同じようなものだ。