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(前回からのつづき)良い点から挙げよう。IntelからARMへの移行は「レガシーな」IntelベースのMacアプリにとっては問題ない、ということだ。Appleによると、Rosetta 2エミュレーションの下で適切に動作し、多くの場合でIntelからARMへのXcodeの簡単な移行方法が用意されているという話だった。
開発者はMacのDeveloper Transition Kitsを使って、Intel MacアプリをARMに移行するにあたり5カ月の猶予があった。15年前にPowerPCからIntelへの切り替えがかなりうまくいったことを考えると、ほとんどの人がApple Siliconへの移行はーー少なくともmacOSユーザーにとってはーー同じようにスムーズになると予測している。
一方であまりよくない話もある。
Apple Siliconへのスイッチにより高い確率で発生する「Windowsとの完全な互換性の損失」をどのように処理するかという点だ。これについては現時点では不明で、同社はMacがWindowsをネイティブに実行できるようにするツールであるBoot Campを捨てようとしているのだ。
IntelマシンとなったMacの仮想化オプションとしては唯一のものだった。つまり、Intelプロセッサ向けに開発されたWindowsアプリは、Mac上でパフォーマンスを低下させる可能性があるということだ。残念ながら、仮想化したWindows環境を提供する可能性の高いApple、Parallels、VMWareの3社からは、このトピックについてほとんど語られていない。
ただやはり、もっと大きな問題は新しいARMベースのMacが「レガシー」なIntelモデルに対してどのような利点を持つかということだ。 AppleのチップリーダーであるJohny Srouji氏は、今年のWWDC20で2つの説明をしている。 まず、Srouji氏は15年前のPowerPC-Intelの動きについて、スティーブ・ジョブズ氏にならって、新しいMacは「はるかに高いレベルのパフォーマンスを実現すると同時に、消費電力を抑えることができる」と約束している。
第二にSrouji氏は、Apple Siliconには以下の5つの機能を含む「多くのカスタム技術」が搭載されるとしている。
確かにこれらの技術はどれも目新しいもの、とは言えない。これらはすべて何年も前からiPadやiPhoneに搭載されており、一部のMacにも搭載されているものだ。
ただその一方で、Appleがアクセルを踏めばこれらの技術はすべてMacプラットフォームにとって歓迎すべき進歩になるかもしれない。というのも、現行のiPad ProクラスのGPUでさえ、前世代のIntel製統合グラフィックスチップを搭載した低価格帯のMacでは、次世代のGPUによってグラフィックスのパフォーマンスを向上させる可能性があるからだ。
対照的に、専用のAIハードウェアについてはMacにとって初お披露目のものとなるだろう。QualcommのSnapdragon 8cxや、8c、7cのラップトップ・タブレットチップに見られるAIコアを反映させたものだ。(ちなみにAppleが5Gモデム技術について言及しなかったのは、Apple独自のチップに直接組み込む準備ができていないからかもしれないが、5Gの統合が将来のMacにとって重要になることは間違いない。)(次につづく)
【via VentureBeat】 @VentureBeat
【原文】
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