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現状、国内でドローンを操縦するのに、免許や国家資格のような公的なものはありません。
その代わり、民間団体が独自で定めた認定資格が存在しています。その民間団体の下で、様々なドローンスクールが認定書を発行する仕組みになっています。
したがって、法律さえ守っていれば、ドローンは誰でも飛行させて大丈夫です。
免許も資格も存在しないということは、ドローンを使用する際に必要なことは「機体を持っていること」だけです。なぜなら、業務でドローン飛行を行う上で『この基準を満たす人』といった法律上の義務は存在しないからです。無免許・無資格でも法律違反にはなりません。極端な話、『ドローン操縦士』という職業も、単なる肩書として誰でも名乗ることが出来ます。
よく『ドローンの資格』として見かけるものは、民間団体が発行している「認定資格」になります。
建築士、弁護士、公認会計士などの職業は、国が発行する公的資格が必要な職業です。こうした職業は、それぞれ免許・資格が存在し、試験に合格して資格を得ることで初めて業務を行うことが可能になります。逆に、無免許・無資格の場合は法律違反として捕まってしまいます。これは自動車免許に関しても同様です。
一方で、認定資格とは「一定の知識と経験を保有している」という「能力が認められた」ことを意味する資格になります。あくまで第三者である民間団体が認めたという資格なので、法律上の効力はありません。法律による線引きが無い以上、各操縦士が個人でどれだけ知識を勉強したか、飛行経験を積んだかが結局のところ重要です。
しかしながら、この「能力の証明」として認定資格が必要なシーンは数多くあります。何を目的にして、どのレベルの操縦技術を目指すかというのは人によって異なりますが、業務でドローンを利用する場合には、有資格者であることを求められることがほとんどです。
例えば、あなたが会社の中で『ドローン担当』のような立場を任される機会があったとします。その際に無資格の状態だと、「昔からやっています」「10時間の飛行経験があります」「週末はよく飛ばしに行っています」といった説明しか恐らく出来ないでしょう。空撮動画のポートフォリオを持っているなら別ですが、相手に知識が無い場合は、少なからず不安に思われても仕方ありません。
しかし、もしあなたが有資格者の場合は、『DJIスペシャリストの資格を持っています。』という一言で、正しい知識や操縦方法を習得していることを証明できます。我々空撮パイロットがクライアントから仕事を受注する際にも、「有資格者であること」が求められることが多いです。このように、特に業務利用の場合では、自分の飛行実績を対外的に証明してくれる資格を保有しておくことは非常に有利に働きます。
更に具体的に申し上げると、資格・認定証を取得することには3つのメリットがあります。
このように、ドローンスクールは世間的に見て「操縦士の信頼」を最低限保障してくれます。
国土交通省は、「無人航空機の講習及び管理団体一覧」を掲載しており、ドローンの操縦に関する資格を認定している民間団体のリストの一覧を公開しています。
今回は、その中でも管理団体として最も代表的な3つの認定団体を紹介します。
ドローン最大手メーカーDJI JAPANが主催する、ドローン講習プログラムで、合格すると「DJIスペシャリスト」として認定される。実際の運用は、DJI JAPANの認定を受けた「DJIインストラクター」が在籍する企業によって各県で講座が開催されている。
審査項目としては、正しい知識、正しい操縦方法、そして飛行モラルを習得しているかが評価される。
*DJIスペシャリスト資格取得者はドローン保険料も割引になるなど、特典もある。
正式名称は、「一般社団法人ドローン操縦士協会」。特徴として、各省庁の次官経験者などが、集まり設立されている。設立目的として、ドローン運用の国家資格化とその整備をあげており、「DPA技能認定資格」を発行している。
主要都市を中心に、認定ドローン教習所を複数開校しており、特徴として都内にも「大規模なドローン飛行場」を同時開設している点が挙げられる。
東京都内、大阪などでも本格的なドローン操縦訓練を行えるのは非常に強み。
正式名称は「一般社団法人日本UAS産業振興協議会」で、2014年7月に設立されました。東京大学大学院 鈴木真二教授が理事長、ブルーイノベーション(株)相談役の熊田氏が相談役を務めています。裏側は、ブルーイノベーション(株)が取り仕切っており、JUIDA事務所と同じビルにオフィスがあるようです。
団体では一番古くからあり、業界としても知名度が高いです。一方スクールがかなり乱立してきており、「講師陣や授業内容」での質の担保が少し厳しい現状だと見受けられます。
修了生から直接伺った話として、「10時間の飛行時間」を授業内で保障すると唄っていますが、「おもちゃのドローンを用い室内訓練で修了」、「見学していて飛行時間は数十分のみ」という状況のスクールも多々あるようで、厳しいと思いました。この点について、業界の操縦士の質の低さには、JUIDAにも大きく責任があると言えます。
*2018年5月現在は、改善されている様子は伺えません。
これらの管理団体に加えて、最近加盟校を増やしつつある団体をご紹介します。
正式名称は、「無人航空機操縦士養成協会」。DPTAは空撮や産業、農業分野までを含めて将来性のあるドローンのパイロットの養成を掲げて設立されました。「無人航空機操縦士養成協会 技能認証」を発行しています。
現在、大阪・京都を中心に加盟校が増え続けており、上記に挙げたような他の管理団体からの乗り換えも発生しています。JUIDAやDPAのように、入会費や年会費が高額ではない点も良心的です。
講師陣は、航空法や気象を担当するセスナなどの航空機のライセンスをもっているインストラクターや、CMや企業案内用動画を撮影しているプロのドローン操縦士が教育に当たっています。また、京都にドローン飛行条件+ヘリポートのある「北京都飛行場」を用意しており、そこを中心にドローンコミュニティーが形成されているようです。
正式名称は「公益財団法人 日本航空教育協会」。元々はパイロットやキャビンアテンダントや、航空整備士となるための『航空検定』を事業の中心に、航空高校といった学校も日本に数カ所展開していたようです。
ドローンスクールとしては、実機操縦訓練カリキュラムを無人航空機操縦訓練に応用し、無人航空機の運航に当たっての安全性・信頼性を高めていくと共に、実務レベルに必要な知識と技術を習得できることを標榜しています。
以上、各スクールの特長について説明してきました。
しかし実は、これらのスクールで行う内容自体はいずれも似通っています。むしろスクール運用者側の「知識・技術・経験・モラル」が重要であり、各団体の特徴とともに、実際に受講するスクール自体を調べていくことも重要です。
最初に『ドローンは免許や資格は不要。誰でも飛行させて大丈夫』と申し上げましたが、それには『法律を守っていれば』という条件が付いていました。つまり、趣味でドローンを楽しむ人も、ドローンを仕事に使用しているプロも、必ず守る必要のある法律は同じです。
『ドローン 免許』や『ドローン 資格』と調べたことのある方は、「免許や資格を持っていないと、気付いたら自分が法律違反になっているのではないか」と考える注意深い方が多いはずです。免許や資格は必要無いと分かったとしても、ドローンに関連する法律で気をつけるポイントはたくさんあります。
その中でも、特に初心者が気をつけるべき法律をピックアップしてみました。
なお、これ以外にもドローンに関する法律はまだまだあります。 詳しくはこちらを参照してください。
【ドローン関連法総まとめ】19つのドローン法から規制状況まで【徹底解説】
特に最も気にするべきは、今や有名になった人口集中地域での飛行禁止です。 これは、国土地理院図の人口集中地区を確認して頂ければと思います。赤いエリアで飛行させると法律に触れてしまいます。
認定資格はあくまで、最低限の知識レベルがある、といったものなので、「ドローン資格取得」=「優れたドローン操縦士」では決してありません。
例えば、ドローン空撮でいえば、「ドローン×カメラの知見」が必要ですから、空撮映像や操縦者の人柄を重要視すべきでしょう。
現状は、簡単に「ドローン操縦士」と名乗れてしまいますし、資格を取得していることが必ずしも技量の担保に繋がるわけではありません。ただ「初心者のドローン運用の第一歩」として、ドローン教習所は非常に有用ですし、世間的には「操縦士の信頼」を最低限保障してくれます。
よって、ドローン資格に過度な期待をせずに、「第一歩を正しく学ぶ」という適正な期待値で、受講されることが大事なのではないでしょうか?
本記事を読まれて、ただスクールを卒業しただけでなく、「ドローン操縦士」として実務レベルに達する方が一人でも増えることを望みます!
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