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ドコモ、新ブランド「docomo sky」でドローン事業を加速--SkydioもLTE通信対応へ - CNET Japan

 NTTドコモは11月18日、ドローンビジネス全体を示す新ブランドとなる「docomo sky」を発表した。

「docomo sky」事業イメージ

 これに伴い、ドローンの飛行準備、撮影、取得データの解析、レポート作成を一元管理できるクラウドサービスを「docomo sky Cloud」に名称変更。

 また、2022年度中に実現する見通しである「レベル4解禁」に向け、LTE上空利用の利用促進とドローンの産業利用拡大を目指して、新たなプログラムの提供を開始した。

「docomo sky セルラードローン パートナープログラム」とは

 今回の発表のメインは、「docomo sky セルラードローン パートナープログラム」だろう。docomoのLTEに対応したドローン(セルラードローン)を開発する機体メーカーが加入すると、セルラードローン機体開発支援、docomo sky Cloudとのシステム連携、相互の営業連携などを得られるというプログラムだ。セルラードローンとは、モバイル通信を活用したドローンを指した用語である。

 かつては、レベル1やレベル2といわれる、操縦者が目視の範囲内でドローンを飛行させて農薬散布、点検、警備や巡回を行う用途が主流だった。近距離を飛行させるため、Wi-Fi通信で対応していたが、いま規制緩和にともなってレベル3やレベル4といわれる、操縦者が目視外でドローンを自動飛行させる動きが加速している。Wi-Fiの電波が届く距離を超えてくると、LTEのようなモバイル通信が必須となる。

 ちなみに、レベル3とレベル4の違いは、飛行するエリアが無人か有人かという点で、現在はレベル3しか許可されていない。今後の航空法改正によって人の頭上をドローンが飛行するレベル4も2022年度中に解禁となる見込みで、レベル4解禁にともなう新たなドローン市場の立ち上がりと並行して、LTE通信の需要も高まってくるというわけだ。

 ドコモは、このような動きをとらえて、同社のドローンビジネス全体を示す新ブランドとなるdocomo skyを発表、重点的に狙う領域を明確にした。既存のドローン事業領域は、高度な操縦スキルを持つパイロットがシンプルな飛行役務を担っており、新規参入が相次ぎ競争環境が激化している。

 一方で、インフラを保有する事業者などからは、自社内でのパイロット育成や自動・自律飛行へのニーズが高まっている。またレベル4解禁後は数年かかけて、物流や災害対策といった長距離飛行をともなう新規事業が加速度的に立ち上がることが予想される。

ドローン事業で狙う領域

 ドコモは2021年7月に、ドローン専用の料金プラン「LTE上空利用プラン」の提供を開始し、電波法の規制緩和にも対応してきた。電波法上、送信電力制御と周波数制限を実施することが求められるため、ドコモ独自の技術によって、契約したSIMを対応端末に差し込むだけでこの2つが有効化されるネットワーク技術を実現したという。

ドコモ、新ブランド「docomo sky」でドローン事業を加速--SkydioもLTE通信対応へ - CNET Japan

 ドコモはこの独自技術によって機体メーカーの開発の自由度に貢献する構えで、docomo sky セルラードローン パートナープログラムへの加入を呼びかけている。

 現在、プログラムに加入している機体メーカーは6社で、国産メーカーが目立つ。老舗のACSL、イームズロボティクス、固定翼ドローンも手がけるエアロセンス、エンルートからの事業引受で設立したNTT e-Drone Technology、Airpeakが話題のSONY、そしてNTTドコモベンチャーズが出資して協業に至った米国発のドローンメーカーSkydioだ。

 すでにLTE対応の機体を開発済みのメーカー、今後順次対応していくメーカーも含まれるが、Skydioが本プログラムに参画した意義は大きい。

加入メーカー

「セルラードローンパッケージ」とは

 docomo sky セルラードローン パートナープログラムに加入した機体メーカーとのパートナーシップのもと、「セルラードローンパッケージ」という新サービスも提供を開始した。今回は先行して、「医薬品配送」と「広域災害対策」という、2つのプランが発表された。

「セルラードローンパッケージ」概要

 セルラードローンは、長距離を飛行できる一方で、価格も非常に高価で、扱いも難しい。このため、エリアの通信状況確認やパイロット確保などを経て、実際に飛ばしてみなければ、購入まで至れないというハードルの高さが課題となっている。

 セルラードローンの導入を検討する企業や自治体向けに、特定の産業や用途に特化した「セルラードローンパッケージ」を提供することで、セルラードローンの検討から利活用をワンストップでサポートする。レンタルで使えるトライアル型も用意したという。

セルラードローンのラインアップにSkydioが登場

 米国発のドローンメーカーSkydioの機体は、6つの魚眼レンズで障害物を避けながら自律飛行できることが特徴で、橋桁の下や屋内などのGPSを受信しづらい環境でも、安心して飛行できると話題の機体だ。

 また、3Dスキャン機能を備えているので、構造物を自動認識して3Dモデル作成のための撮影を自動的・自律的に行うことができる。2020年7月にドコモ・ベンチャーズが出資、11月からドコモが法人向けに機体の取り扱いを開始した。

 ドコモは、Skydioが「docomo sky セルラードローン パートナープログラム」に加入したことを受けて、今後さらなる連携強化を図っていく。Skydioの機体のLTE通信対応はこれからだというが、先がけてSkydio新パッケージが発表された。近接撮影や3Dスキャンなどの機能を手軽に試せるプラン、屋内環境での自動巡回飛行を支援するプランだ。

Skydio新パッケージ

今後の「docomo sky」の展開

 今後のdocomo skyの展開についても、トピックスが発表された。Skydioの産業用専用機体として「Skydio X2」の取り扱いを、近日中に開始する予定だ。これは、赤外線カメラを搭載して夜間撮影もできる機体で、アメリカではすでに提供開始、非常に注目されているという。

「Skydio X2」概要

 また、農場や牧草地をドローンで画像撮影し、画像認識で雑草や病気を把握して、位置情報をトラクターや農薬散布用のドローンに飛ばしすことで、必要なところに必要なだけ農薬散布できる「農業ドローンパッケージ」や、ドコモが自社開発して、東京五輪のイベントでも活用された浮遊球体ドローンディスプレイを用いた「エンタメドローンパッケージ」の提供も間近だという。

 今後もレベル4解禁に向けて、さまざまなソリューションがドローン市場拡大を後押ししていくことが期待される。

提供予定のパッケージ 今後の展開イメージ