太陽光も生かす「電動」飛行機、2割の...

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太陽光も生かす「電動」飛行機、2割の費用で飛ぶ:自然エネルギー(1/2 ページ)

 太陽電池で発電し、リチウムイオン蓄電池と組み合わせてモーターを回し、飛行する「太陽光発電飛行機」。米Aero Electric Aircraft(AEAC)は、このような特徴を備えた練習機「Sun Flyer(サンフライヤー)」を開発してきた。2016年5月には、米コロラド州デンバーのCentennial空港で、コンセプト実証機を初公開(図1)*1)

 今後、コンセプト実証機の性能データを用いて量産機の仕様を確定し、米連邦航空局(FAA)の認証を得る予定だ(図2)。米国で認証の一番乗りを目指すという。

*1) 2014年にAEACを創立し、現在CEOであるGeorge Bye氏は、小型無人観測機(UAV)の開発を行うBye Aerospaceの創立者兼CEOでもある。今後も練習機と無人機を並列して開発するとした。

図1 「Sun Flyer」コンセプト実証機の外観 出典:AEAC図2 Sun Flyer量産機の飛行イメージ 出典:AEAC

環境に適合し、運用コストが低い

 内燃機関を搭載した航空機と、太陽電池を搭載した電動航空機の違いはどこにあるのだろうか。Sun Flyerが二酸化炭素を排出しないことは当然として、その他にも多くの違いがあるのだという。

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 最も分かりやすい利点は運用コスト(燃料費)だ。内燃機関を搭載した同型の練習機と比較すると、運用コストを5分の1に抑えることができる。AEACによれば、飛行時間1時間当たりの電力料金は(充電したとしても)わずか1米ドルだという。

 第2の利点は静粛性。モーターを駆動中でも騒音レベルは55デシベル(dB)と低い。静かに走行する乗用車の社内や普通の会話、デパートの店内よりも音が小さいことになる。訓練機は空港のそばで何度となく離着陸を繰り返す、人口密集地で運用したとしても、近隣住民が騒音で悩まされにくいのだという。

 第3の利点は運用しやすいこと。エンジンを搭載した通常の練習機では、ガスの混合比やエンジン内のシリンダ温度などをパイロットが監視しなければならない。Sun FlyerではECU(Electric Control Unit)が蓄電池内の電力の監視とエンジン出力を統合して制御する。電気自動車(EV)と同じ考え方だ。操縦に専念できる。

 Sun Flyerには、設計上の利点もあるのだという。

 図1の左中央に写っている通り、Sun Flyerの機首はほっそりしている。これはエンジンよりもモーターの方が本体の寸法を縮小できることによる。エンジンに必要不可欠な冷却用の空気取り入れ口(インテイク)も不要だ。両方とも空気抵抗を減らす効果があるため、「燃費」が高くなる。さらに、エンジン搭載機よりもプロペラの面積を増やすことができ、プロペラの推進効率が高くなるという。

 Bye氏はSun Flyerのモーター効率が95%、プロペラ効率は85%に達するとした。

欠点は飛行時間なのか