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待望のApple純正完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」の魅力に迫る - ケータイ Watch

 「iPhone7」と同時に発表されたアップルの新プロダクト「AirPods」が先日、ついに正式に発売されました。今回は、同製品の使用感と魅力を可能な限り、余すところなくご紹介します。

 まず「AirPods」について軽くおさらいしましょう。同製品は、アップル謹製のBluetoothワイヤレスイヤホンです。特徴は何と言っても、左右のイヤーピースが独立した完全ワイヤレス型であること。Bluetoothイヤホン自体は昨今さほど珍しい存在ではなくなりましたが、「AirPods」のような左右完全独立ワイヤレス型の製品は、ちょくちょく見かけはするものの、まだ物珍しい存在と言って良いと思います。

AirPodsの箱開封したところ。Apple製品ではおなじみの産地表示マニュアルの下に充電ケース。Lightningケーブルも同梱

 「AirPods」という製品は、イヤーピース×2と、これらを収納・充電するケースのセットで構成されています。充電ケースそのものがバッテリーを備えており、未使用時にはイヤーピースをケースに格納しておくことで充電できる仕組みになっています。なおケースへの充電はLightning端子経由で行います。

【お詫びと訂正 2016/12/20 10:03】 記事初出時、付属品の写真キャプションでLightningケーブルが付属しないと記述しておりましたが、正しくは付属します。お詫びして訂正いたします。

充電ケース。下部には充電用のLightning端子を備える小さなボタンは再ペアリング用だが、あまり使わない(理由は後述)充電ケース開封。「AirPods」の本体が隙間なくぴっちりと収まる

 イヤーピースそのものの形はアップルの純正イヤホン「EarPods」と同じです。事前の予想通り、大きさもほぼ同一でした。筆者は「EarPods」が耳の形に合わず、特に右耳のイヤーピースがポロリと外れてしまうのに悩まされていたのですが、AirPodsは軽量な上にイヤーピースを引っ張る「線」そのものがないので、意外と外れにくいという発見がありました。

AirPodsのイヤーピースを正面から。黒い丸は接近センサー。末端にあるのは充電端子背面から。小さな孔はマイクと思われる有線イヤホン「EarPods」との比較。事前に予想はしていたが、大きさも形もほぼ同一iPhoneとのペアリング。フタを開いて接近させるだけ

 iPhoneなどのiOS端末とのペアリングは、あらかじめiOS端末のBluetooth機能をオンにした上で、「AirPods」の充電ケースを開いて本体同士を接近させるだけ。あとは画面に表示されるダイアログ上の「接続」ボタンをタップすれば完了、と簡単です。Bluetooth機器のペアリング時にありがちな、「ペアリング操作を行っているはずなのに接続設定画面上になかなかデバイス名が現れない」といったもどかしさがほとんどありません。

 なお「AirPods」とのペアリング情報はiCloud上で同期されます。つまりiCloudアカウントの同期下にある機器同士であればペアリング操作が不要なのです。マルチペアリングと何が違うのかというと、まず「AirPods」側で1つ1つの端末と接続を確立する操作が必要ありませんし、さらに接続先情報の数に限りがありません。iPhoneで使用していた「AirPods」を、家に帰ってきたからMacで使うといった操作が一瞬で完了するのは、面倒くさがりな筆者にとって大変便利に感じました。

ペアリング済みであれば、以降充電ケースのフタをあけると、充電ケースとイヤーピースの充電状態が見られますイヤーピースをケースから取り出すと、自動的にイヤーピースの充電情報のみに表示が切り替わるペアリング情報はiCloud上で同期されるので、同期下にある機器なら簡単に接続を切り替えることができる。これが便利!

 接続設定が完了した状態でイヤーピースを耳に装着すると、静かなアラーム音が聞こえてきて準備できたことが分かります。あとは機器側で音楽なりラジオなりを再生すれば、何の障害もなく「AirPods」から音声が再生されます。なお音質は筆者にとっては必要十分。音量をMAXにしても容易に割れませんし、低音もかなりしっかり出ているように感じます。

 それよりも感動したのは、Bluetoothイヤホンに付きものの「遅延」がほとんど無い事です。映画やアニメなどを観ても、台詞と口の動きのズレが気になるような事はありませんでした。ただ「ほとんど無い」と書いたように、全く無いわけではなく、厳密に音声とタイミングを合わせた操作が求められるようなゲームには不向きです。平たく言うと「AirPods」で「デレステ」をプレイするのはオススメできません。

音楽再生時、出力先選択画面を開くと、独自アイコン付きで充電状態を確認できる設定はiPhoneのBluetooth機器一覧画面から「i」アイコンをタップすると呼び出せる。名前の変更や、イヤーピースをダブルタップしたときの動作を設定可能実際に装着したところ。イヤーピースの本体のほぼどこでも、ダブルタップ操作を受付可能

 ほかにも「AirPods」は興味深い機能を備えています。そのうちの一つが、イヤーピースのダブルタップ操作です。これはイヤーピースを指先でトントンと叩くと、音楽の再生/停止、あるいはSiriの呼び出しを行うことができるというもので、設定はiPhoneのBluetooth接続機器情報から切り替えられます。筆者はこれまでSiriをあまり使っていませんでしたが、トントンとイヤーピースを叩いてから、特に画面を見ることなく「音楽再生」とか「音量下げて」とか指示を出すとその通りになるのが非常に楽しい。

待望のApple純正完全ワイヤレスイヤホン「AirPods」の魅力に迫る - ケータイ Watch

 また、イヤーピースが備える接近センサーによる「イヤーピースを耳から離すと自動的に音声再生を止める」という機能もあります。これが思っていたよりも敏感で、ちょっとイヤーピースを外すだけでも即座に音声再生が止まり、再度装着すると停止時点から再生が始まります。職場で人に話しかけられた時など、さっと外すと即座に再生が止まるのは便利です。

Andoird端末でもBluetoothイヤホンとして利用可能。Nexus7(2013) Android OS 4.4で試用

 ちなみに、当然のようにiPhoneやMacなどのApple製品とペアリングして試用してきましたが、他の機器、たとえばAndroid端末とも接続できるのだろうか? と思いついて実際にやってみました。可能です。充電ケース背面にあるボタンを押してペアリング待機状態にし、Android OS側でペアリングを確立すれば普通のBluetoothイヤホンとして利用できました。おそらくAndroid端末だけでなく、PS4/PS VitaなどBluetoothを備える機器であれば利用できると思われます。ただ、Androidでは、タップ操作による音声再生・停止は行なえるものの、耳から離したときの自動停止は動作しませんでした。

 音楽・音声再生のことばかりに触れてきましたが、マイク付きヘッドセットとしても利用できます。ちょっと面白いのが片方のイヤーピースだけでも使用できるという点。片方を充電ケースに入れっぱなしにして、もう片方を耳に引っ掛けたらどうなるのかな? と思ったら接続が確立されて、音楽再生もできますし電話通話も行えました。マイクは両方のイヤーピースに備わっており、どちらを使用するかは自動切り替えなのですが、設定から片方に固定することも可能です。

イヤーピースを片方だけケースから取り出すと、右(R)/左(L)それぞれの情報が見られる。表示はすべて自動的に切り替わるAirPodsのマイク設定。片方だけ耳にひっかけてヘッドセットとして利用することも可能です

 と、これまで激賞してきましたが、難点がないわけでもありません。

 その最たるものが「落としそうな不安」です。「AirPods」を装着した状態で少し外出してみたところ、カナル型イヤホンとは異なりイヤーピースを耳に引っ掛けているだけの状態が何とも不安に感じました。正直、「AirPods」の上から耳あてでも付けない限り、装着したまま外出する気にはなれません。

 耳から外すとすぐに音声再生が止まる機能も、スーパーやコンビニのレジに立った際などとても便利ではあるのですが、取り外したイヤーピースの処遇に困りました。イヤーピースを片方だけ外して手の中に握り込んでいると、接近センサーが反応して再生が始まってしまったりもします。かといって指先に持ったままだとやっぱり落としそうだし、両方のイヤーピースを外してポケットの中に突っ込むと後で探すのに苦労するしで、「外したAirPodsを首にひっかけたままにしておくヒモをアクセサリとして出してくれないだろうか」などと本末転倒なことを考えたりもしました。

 なお、先日筆者が寄稿した「『AirPods』の登場に備え『EarPods』の装着感を高める製品を試してみた」でご紹介した方法は、結論から言うと「タッチ操作ができなくなる」「接近センサが働かなくなる」「イヤーピースが充電ケースに入らなくなる」という数々の難点により挫折しました。残念無念。

 最後にアレコレ不満を並べましたが、それらを差し引いても大変魅力的な製品ではあると筆者は思います。外出時に不安を感じるなら、まず家の中だけやオフィスの中だけで使うという選択もありかなと考える次第です。第一に、この価格でこの性能と利便性を備えている点が何よりも革新的であると言えるのではないでしょうか。

 iPhoneやMacをお持ちで、ちょっとカッコいいワイヤレスイヤホンを求める方なら「買い」で間違いないと、オススメさせていただきたい一品です。

製品名販売元価格
AirPodsアップル1万6800円(税抜)