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Engadget Logo エンガジェット日本版 AirTagのストーキング悪用、本当の問題は「警察が真剣に対応しないこと」との報道

アップルの落とし物追跡タグAirTagがストーカーに使われた疑いが何件か報告されてきましたが、こうしたトラッカー製品の悪用は今に始まったことでも、またアップルに限ったことでもありません。本当の問題は、警察など法執行機関が十分に対応できていないことだと報じられています。

本来AirTagは自分の持ち物に付けて見失った・落としたときに場所を探し出すための小型ガジェットです。が、昨年末までに人のストーカー行為や、自動車泥棒があとで(車本体や部品などを)盗み出すための追跡に使われているとの報道が相次いでいました。

12月30日付けのThe New York Times誌にも、AirTagでストーキングされたと考える7人の女性らの証言が掲載されています。

彼らがAirTagが悪用された可能性に気づいたのは、iPhoneから見知らぬAirTagが一緒に移動していると警告されたからです(iOS 14.5以降)。またAirTagはペアリングしたデバイスから離れると一定時間で音を出して存在を知らせるしくみもあり、当初は3日間でしたが後に8~24時間のランダムな時間に変更されています。

とはいえAirTagは小さいため、音が鳴っても見つけるのが難しい場合があります。じっさい車のどこかにあるらしき警告を受け取った女性の通報により、警官が車を徹底的に調べてみたが結局は見つからなかったケースもありました。

電子フロンティア財団(デジタル世界での市民の自由を守ることを目的とする団体)のエヴァ・ガルペリン氏は、AriTagは自分が持っていないアップル製品を使って細かく正確な位置情報を追跡できるため「他に類を見ないほど有害」だと述べています。AirTagが数億台のアップル製デバイスが作り出す巨大な「探す」ネットワークを使っているのは、アップル自らが謳っていることです。

しかし米AppleInsiderは、他社の製品も追跡のため巨大なネットワークを使っていることは大差がないと指摘。たとえばGPS信号が届かない場所でもトラッキングできるよう、LTEネットワークを使っているデバイスもあります。

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それら他社製品のほとんどにはストーカー対策の仕組みは一切なく、追跡されていることを検知・発見する方法もありません。まだしもAirTagはiPhoneやiPadを通じて警告する・音を鳴らすなどの対策を講じており、特別に危険とは言えないというわけです。またアップルが犯人捜しのために法執行機関に積極的に協力していることも、複数のメディアが伝えてきました。

そして一部の警察署も真剣に取り組んでいますが、大半はそうではないようです。たとえば被害者の1人は警察に(iPhoneからの)通知は緊急性のないものだと言われたとのこと。それに加えて警察署に疑いあるAirTagを持ってくるよう言われたと語っています。

また別の女性は、警察にiPhoneの通知では十分な証拠にならないと言われ、誰かが自宅に現れた場合にのみ被害届ができると言われたそうです。悪用されたAirTagの持ち主に関する情報を求める法執行機関の要請に対して、アップルが直ちに応じている事実を考えると、こうした対応は危険で無責任なことと言えそうです。

アップルの広報担当者も、顧客の安全を「非常に真剣に」受け止めており、「自分の安全が危険に晒されていると感じた場合、アップルと協力して未知のAirTagに関する利用可能な情報を提供できる地元の法執行機関に連絡することをお勧めします」との声明を出しています。

もちろんアップルに対しても不審なAirTagを見つけやすくする・Android向けのAirTag検出アプリを使いやすくするするなど安全対策の強化が期待される一方で、法執行機関の側にも21世紀的なストーカー事件に対処する努力が求められそうです。

Source:The New York Times

via:AppleInsider