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Engadget Logo エンガジェット日本版 NASAの太陽接近観測機、初めて「太陽にタッチ」。コロナ内部の様子を観測

2021年4月、NASAのParker Solar Probeが初めて太陽の表面から650万マイル(約1046万km)にまで接近し、その外層大気、つまりコロナを横切りました。もう8か月も前のできごとですが、探査機からのデータが地球に届くまでに数か月かかり、その後データの分析にさらに数か月を要しため、この時期の発表となりました。

3年前に打ち上げられたこの探査機は、できるだけ太陽に接近してそのコロナを横切り、熱シールドの影に配置された観測器で太陽の様子を調べます。コロナを横切る際に、探査機は猛烈な熱と放射線に耐えなければなりませんでした。しかし、その試練を乗り越えたことで、科学者らは太陽の仕組みについて新しい洞察を得ることができました。

Parker Solat Probeは4月28日に、非常に高温な太陽のコロナが、その外縁部で太陽風に変わる「アルヴェーン臨界面」と呼ばれる一帯を通過しました。これまで、研究者たちはアルヴェーン臨界面の正確な位置がわかりませんでしたが、カリフォルニア大学バークレー校のスチュアート・ベール氏は、探査機のデータから、機体は5時間の間に3度、臨界面の上部と下部を通過したことが示されていると述べ「コロナ内部では太陽の磁場が非常に強くなり、粒子の動きを支配するようになった。そのため探査機は、まさに太陽と接触している物質に取り囲まれていたと言える」と述べています。

そのメカニズムはまだ謎ですが、この領域では電子、陽子、重イオンなどの荷電粒子の外向きの流れが、突然、超音速の太陽風となって加速される現象が発生しています。しかし太陽風を生み出す物理現象の痕跡は、地球に到達するまでの間に失われてしまいます。Parker Solar Probeが臨界面を通過することで、そこで何が起こっているのかを知ることができると、ジョンズ・ホプキンス応用物理学研究所のヌール・ラウアフィ氏は説明しました。

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エンガジェット日本版 NASAの太陽接近観測機、初めて「太陽にタッチ」。コロナ内部の様子を観測

研究者らは、コロナは太陽表面から約430万〜860万マイルにあると推定しています。そして、Parker Solar Probeは、太陽から約810万マイル(約1300万km)の距離のところで、コロナとされる特定の時期や粒子の状態を観測しました。そしてアルヴェーン臨界面は全体に太陽表面から一律の距離にあるのではなく、ランダムな凹凸があることがわかったとしています。

このミッションではこれからも幾度かコロナを通過することが計画されています。そして探査機は太陽にこれまで以上に近づき、最終的にはその表面から600万km以内に到達することが期待されています。次回のフライバイは2022年1月が予定されており、再びコロナを通過する可能性があるとのことです。

ちなみに、Parker Solar Probeは太陽に最も接近した人工物というだけでなく、史上最高の速度で飛行する人工物にもなっています。現在の速度は69.2万km/hに達するとのこと。

Source:NASA