ソニーのワイヤレスイヤフォン「WF-10...

18
08

ソニーのワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」は優れたノイズ低減と高音質を両立させたが、たったひとつ“気になる点”がある:製品レヴュー

ノイズキャンセリング機能自体は、ほかの追随を許さない。これはソニーの素晴らしい信号処理と、ポリウレタンフォーム素材のイヤーピースの設計のおかげだ。

このイヤーピースは、耳の中に入れるとすぐに耳の形状に合わせてぴったりフィットする。おかげでユーザーは静寂に浸ることができる。実際に試した際には、周りの人の声を聞くために、音楽が流れていないときでさえ「アンビエントサウンドモード(外音取り込み機能)」をオンにしなければならなかった。

要するに、これは21世紀の強力な“耳栓”なのだ。イヤフォンを着けて音楽を流すと、全世界が消えたような感覚になる。髪の毛でイヤフォンが隠れてしまうので、家の周りをぶらついているときに話しかけられても、その前を通り過ぎて言っていることすべてを聞き逃してしまうことがよくあった。

どのノイズキャンセリングヘッドフォンでもある程度そうなのだが、空調設備やジェットエンジンのような低い低周波音は、まだ漏れ聞こえてくる。しかし、このイヤフォンでは、こうした音の音量が大幅に小さくなり、音楽やポッドキャストが再生されている際にはささやく程度になる。

ペアリングや、好みに応じた設定も非常に簡単だ。これはAndroidとWindowsの両方に対応したクイックペアリング機能と、iOSとのノーマルペアリング(つまり、高速だがすぐにではない)のおかげである。また、ソニーのヘッドフォンアプリでイコライザーを調節したり、ノイズキャンセリングからアンビエントサウンドモードに切り替えたり、声を発すると音楽の再生を停止する「スピーク・トゥ・チャット」機能をオンにしたりもできる。この機能では声を発すると感知して音楽が停止するので、話し相手の声を聞けるようになる。

ソニーのワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」は優れたノイズ低減と高音質を両立させたが、たったひとつ“気になる点”がある:製品レヴュー

アプリはすべてが非常にシンプルで、簡単に操作できる。しかし、個人的にはタッチコントロールが好きではない。長い髪(特に運動して汗をかいている場合)にもタッチコントロールが作動しがちだなので、物理ボタンだけにしてくれたらいいのにと思う。

音声マイクは通話やZoom会議に使えるが、ずば抜けて素晴らしい品質とは言えないだろう。また、IPX4相当の防滴性能をもつが、ランニング中に使用するにはかさばりすぎる。自宅でウェイトトレーニングをする際に使用したところ、気にならなかった。

サウンドは素晴らしいが……

WF-1000XM4の際立った音質は、オーヴァーイヤー型ヘッドフォン「WH-1000XM4」とよく似ている(ソニーの製品名は本当に紛らわしい)。低音域は力強いが、新しいドライヴァーユニット(スピーカー)が耐えられるサブベースはさほどでもない。音質は中高音域でピークになり、高音域になると急に低下する。

実際にアーマッド・ジャマルのライヴ盤のようなダークなジャズの場合は、特にアプリのイコライザーセクションで高音域を少し調整するのが個人的には好きだ。ブリトニー・スピアーズの「Toxic」のようなポップヴォーカルに合わせる場合は、高音域が自然に薄くなっていることで、大音量で彼女の声を聞いたときにときどき聞こえる2000年代前半のような音割れを抑えることができる。

聴いている音楽にかかわらず、WF-1000XM4はその他多数のソニー製オーディオと同様に、非常にクリーンでフラットなインナーイヤー型イヤフォンだ。このイヤフォンは、Bowers & Wilkins(B&W)やCambridge Audioのような最高の音質で知られるブランドと遜色ないサウンドを実現している。