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前モデルの「DA-200」が発売された2010年と言えば、96kHz/24bit対応だ、こちらは192kHz/24bit対応だと、対応データの豊富さを各社が競っていた時期。そして、小規模メーカーが開拓したUSB DACやPCオーディオ市場に、ラックスマンのようなピュアオーディオメーカーが本格的に参入し始めようと動き出した時期でもある。
「DA-200」は約15万円と、ラックスマンとしては低価格なモデルとして登場。PCMは96kHz/24bitまでの対応で、DSDにも非対応だったが、音の良さで話題となり、人気モデルになった。なんと、発売から1年ほどは受注残、つまり注文を受けたが品薄で納品ができない状態が続いたというから驚きだ。
下段が従来モデルのDA-200、上段がDA-250筐体のサイズは同じだが、ディスプレイが2段表示になり、ボリュームやセレクタのツマミもより回しやすいタイプに進化しているDA-250は電源ボタンまわりがくぼんだデザインに開発本部本部長の長妻雅一氏ポータブルオーディオやテレビなどのAV機器と違い、高価なモデルを少量販売する事が多いピュアオーディオメーカーにとって、沢山の注文が殺到するというのは珍しい事だ。「日々、沢山の箱が出荷されて、営業マンがお店にうかがうたびに“今日は何個”と注文をいただけるというのは新鮮な経験で、会社にとっても良い刺激になりました。“大量生産・大量販売というのは、きっとこういう感じなんだろうなぁ”という気持ちが味わえました」と笑うのは、開発本部本部長の長妻雅一氏。以前も開発現場で音へのこだわりを伺った、“ラックスマンの音を担う”マイスターだ。
注文が殺到したという事は、ラックスマンが従来からメインターゲットとしている、専用オーディオルームにフロア型スピーカーをドンと設置するような、いわゆる“ピュアオーディオファン”ではない層にも広く受け入れられた結果だ。ユーザー層の拡大という意味では万々歳だろう。しかし、それゆえ想定外の事も多くあったという。
長妻氏(以下敬称略):DA-200はヘッドフォンアンプも備えたUSB DACですが、使われ方としては、オーディオシステムに単体DACとして組み込む、ライン出力がメインになるだろうと考えていました。比率としては単体DACとしての使用が7割、ヘッドフォンが3割程度と予想していたのです。
しかし、蓋を開けてみれば真逆、なんと約7割のユーザーがヘッドフォンアンプとして活用。フジヤエービック主催の「ヘッドフォン祭」では、若いヘッドフォンファンがラックスマンブースに集まり、以降ヘッドフォンまわりを中心に、様々な要望が寄せられる事になったという。
長妻:DA-200の後継モデルを開発しようと1年以上前から動いていましたが、こうして寄せていただいた沢山の要望に応えていくだけでも、まったく別物になるくらいの変更点がありまして(笑)。苦労しましたが、DA-250はかなりユーザー様の期待に応えられるモデルになったと自負しています。
開発スタート前に作成された、ユーザーの要望に応える「マインドマップ」