Surface Headphonesレビュー:ボイス...

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Surface Headphonesレビュー:ボイスチェンジャーでした

静寂と轟を行き来するダイヤル。

東京は渋谷。このノイジーなコンクリートジャングルに息づく一員として、たまにこう思うのです:耳にもまぶた欲しいよねって。だって、見たくないものが視界に入ったら、まぶたを閉じればいいですけど、音(と匂い)は問答無用で脳にダイレクトヒットしてくるんです。

だから、空調のボォーや人混みのワチャつきなどの雑音がダイヤル一回しで聞くも聞かぬも自由ですとうたうワイヤレス・ノイズキャンセリング・ヘッドホン「Surface Headphones」がMicrosoft(マイクロソフト)から発表されたときは、まさしくコレじゃないか、と期待しました。しかも3万9938円(税込)というお高めなプライスを鑑れば、いちヘッドホンとしてもナイスなはず!と。

そんなわけで、マイクロソフトが作ったダイヤル操作ヘッドホンは「耳のまぶた」なのか? ヘッドホンとしてもグッドなのか? Surface Headphoneとはなんなのか?レビューしました(動画にもまとめました!)。

結論からうと「ボイスチェンジャー」かも。

Surface Headphones

これはなに?:Microsoft製のワイヤレス・ノイズキャンセリング・ヘッドホン

お値段:3万9938円(税込)

好きなところ:音量とノイキャンがダイアルで操作できるところ、細かいノイキャンが得意なところ

好きじゃないところ:フィットが微妙なところ、環境音拡大モードで中高音が聞こえないところ

条件付きNo.1のノイキャン性能

耳のまぶた足りうるシロモノかどうか。それはSurface Headphonesの性能と、その使いやすさに左右されます。なかでも耳のまぶたとして「閉じた」ときのノイズキャンセリング性能は最重要項目ですよね。そこで、Surface Headphonesのノイキャン性能を編集部で試してみたところ……予想以上にキャンセルしてくれてかなり驚きました。

素晴らしいノイキャン性能です。でも、せっかくのレビューを、これで済ませてはいけない気もするわけで……。ドンドンパフパフ。ノイキャン選手権を開催。

招待選手は2名。ノイキャン大御所のBoseからQuietComfort wireless headphones IIを招待し、ノイキャン王子のソニーからはWH-1000XM3が参戦。ネーミングセンスはSurface Headphonesの勝ちですね。

ちなみにこの3選手の比較は開封レビューでもしていて、そのときはSurfaceのノイキャンの威力がソニーとBoseに比べて弱いと感じていました。が、実際にそれぞれを数日かけてしっかり使ってみると、なんやかんやで「一長一短かな」といった感じでほぼどっこい。この事実だけでもSurfaceがかなり「閉じられている」ことが伝わるかと思います。

どれも素晴らしいノイズキャンセリング性能だったからこそ、比較でもしないとスゴさがわからないくらい、どれも高いノイキャン能力を発揮していました。Surfaceブランドとしては初のプロダクトカテゴリなのに、一発目からスゴイですよね。

なので、はい。Surface Headphonesはしっかり「閉じられています」。ナイスノイキャン性能。

まぶた開く? いえ、そんな次元じゃなかったです

耳のまぶたとして評価する際の、もう一方の側面が「開いた」状態の性能です。これだけでなにを言っているのかわかる方はさすがですね。開封レビューを見てくれたのでしょうか。

どういうことか説明しますと、Surface Headphonesには「環境音拡大モード」というノイキャンの真逆の補聴器みたいな機能があるんです。これを使うとヘッドホンを付けたままでも外の音が聞こえるので、毎度のように外す手間が省けるという寸法。

で、実際に付けたままいろいろな環境に行ってみたんですが……その結果あまり使えないことが判明してしまいました。なんかね、世界が声変わりしたかのように轟くんです。低音が凄まじいレベルで拡大された状態で。

誰も彼も、なんでも、みんな声変わりしちゃって可笑しくなります。会話が難しくなるほど低音がゴワンゴワン響いてきて、2日もしないうちに使うことを諦めました。環境音拡大モードは改善の余地が大いにありですね。

Surface Headphonesレビュー:ボイスチェンジャーでした

というわけで、残念ながらSurface Headphonesは「うまく開く」とはいい難いです。いうならばこれは、開くとボイスチェンジャーになるヘッドホンかも(ただしそのエフェクトは自分ではなく環境に適用される)。

ダイアル操作はめちゃくちゃイイ

すでに「開かない」とわかっている中でノイキャンと環境音拡大モードが切り替えやすいか=耳のまぶたとして開け閉じしやすいかどうかの話に持っていくのは気がひけますが、そもそもなぜSurface Headphonesをこんな切り口でレビューしようと思ったのか。という大事なスタート地点のパートがここにあるので紹介させてください。

このダイヤルのせい(おかげ)なんです。

Surface Headphonesの左右のイヤーカップにはダイヤルがありまして、これを回すと音量やノイキャンのレベルをコントロールできるようになっています。右側が音量ダイヤルで、左側がノイキャン・レベルのダイヤル。

そのおかげで、Surface Headphonesは音量もノイキャンレベルも自由自在に調整できて最高、というだけでなく、なんとノイキャン・ダイヤルを一番下まで回すだけでさきほどの環境音拡大モードにも切り替わるんです。

だから僕の頭の中では「ノイキャン・ダイヤルをキュッと回すだけで『閉じ』と『開く』を自由に行き来できるぞ! 開け閉じしやすいぞ!」という結論を予定していたんですが、この有様。でも悪いことばかりじゃなくて、いざ使ってみたら音量ダイヤルは非常に重宝しました。別のヘッドホン・イヤホンを使っているときも、音量をコントロールしようとして右手を耳にもっていきそうになるくらい、クセになる操作感でした。

あとは環境音拡大モードがどうにかできればイイんですけどね…。アップデートとかでなんとかならないかなぁ。

人(というか耳)を選ぶ着用感

3万円超えともなるとワイヤレスヘッドホンとしてナイスかどうかも当然問われますよね。ということで、ここからは使い勝手と音質のレビューです。使い勝手にもいろいろありますが、今回注目したのは操作感と装着感。

まず操作感はかなりGOODです。ダイヤルのおかげで音量とノイキャンが直感的に調節できるのはもちろん、「音量アップ」「音量ダウン」「ノイキャンオン・オフ」の操作がボタンじゃないことで、操作まわりがスッキリしています。

「再生・一時停止」「次のトラック」「前のトラック」は、イヤーカップの側面をタップすることで可能で(1回、2回連続、3回連続タップ)、「音声アシスタントの呼び出し」はカップ側面を長タップでOK。ジェスチャーよりも安定して操作できましたし、ボタンを押すよりも神経を使わなくて楽でした。

残されるは「電源のオン・オフ」ですが、ここは良し悪しあり…。電源ボタンがこれなんですけど、

小さい上に出っ張りも減っこみもなくて、非常に押しにくかったです。ブラインドタッチでSurfaceを使いたいならボタンのポジションを体に覚え込ませるしかないですね。ただ覚えさえすれば、あとは最高でした。起動時には「バッテリー残量は、約14時間です」と、人間にもわかりやすい単位で教えてくれますし、電源オフ時にはコルタナボイスが「さようなら」とご挨拶してくれます。あぁ…コルタナさん! 第一線から退いてしまうのが悲しいよ!!

でも装着感は……ビミョーです。頭の上や耳周りへの圧迫感は適度なものですが、なぜかイヤーカップ内部からも圧迫感があったんです。というのも、装着したときに耳がイヤーカップの内部に触れてしまう設計だったんですね(個人差はあるかも)。なので、装着してから10分と経たないうちに耳に不快感を覚えてしまい、ちょっと残念なインプレッションを受けました。

耳がとっても小さい・平たい方にとっては割と快適なヘッドホンかもしれませんが、基本的には…NOTオススメ。

好みは分かれそうな重低音

でもって問題は音質ですね。好みに左右されるところが大きいですし、曲や音源、音量によっても変わってきます。こんなふんわりした主観的なことがらをどう評価して言葉で伝えればいいのか…。なんて身構えていたら拍子抜け。Surface Headphonesは良くも悪くも、けっこう特色のある音を出すタイプで言葉にしやすかったです。

一言であらわすと「低音が膨らんでいる」感じ。ベース大好きっ子御用達のBose QuietComfort wireless headphones IIと比べてもベース強めな気がします。QuietComfortがディテールを損なわない程度にデンデンいわせているのに対して、Surfaceはドゥンドゥン強めに鳴らしてライブ感を演出しているイメージ。

ベースが強めに強調されているほかは、不思議とフラットな音感です。ソニーのWH-1000XM3だと女性ボーカルがめちゃくちゃクリアに聞こえますが、Surface Headphonesだとそんなことはなく。でも聞こえなさすぎることもなく。しいて言えば、もう少しディテール感やメリハリ感が欲しかったくらいの感想です。

低音がお好きな方はぜひBoseと聴き比べてみてください。いや、低音よりバランスだよ、という方はソニーかも。4万円クラスのノイキャン・ワイヤレス・ヘッドホン、なんだか再び盛り上がってきましたね。


ということで、Surface Headphonesはまぎれもない「耳のまぶた」でした(ただし閉じる限定)。

そしてワイヤレスヘッドホンとしてもなかなかの出来で、どういうわけか世界を声変わりさせるボイスチェンジャーとしても機能します。

低音が好きで、大きなノイズ源がまわりにない方なら、これはWantガジェット! でも耳が小さくなく、クリアな音がお好きなら、Stay……というかソニーかも。

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https://www.gizmodo.jp/2018/09/sony-wh-1000xm3-review.html