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6コメント6件(写真:ファミ通.com)
文・取材:ロマンシング★嵯峨 2018年12月にリリースされ、まもなく3周年を迎える、スクウェア・エニックスのスマートフォン向けRPG『ロマンシング サガ リ・ユニバース』(以下、『ロマサガRS』)。【この記事の画像をもっと見る】 リリースから2年半にわたって描かれてきたメインシナリオ1部が、2021年7月に完結し、この後メインシナリオはどうなるのか、ユーザーの注目を集めていたが……ついに、第2部が始動することに! なんと、物語の舞台は、メインシナリオ1部2章から25年後の世界。新主人公リアムと、新ヒロインのアーニャを含めた仲間たちが 、“ユニオンシップ”なる船に乗って冒険するという。 いったいメインシナリオ2部はどんな展開になるのか? 開発スタッフの皆さんに、さっそくお話をうかがった。シナリオチームの体制を整え、満を持して挑む新しい物語――まず、お話を聞いてびっくりしたんですが……メインシナリオ2部の舞台となるのは、1部のエンディングから25年後だそうですね!?市川 はい、25年後なんです。――1部の1章から2章に移るときに15年経ったのにもびっくりしたんですが、まさか、さらに25年経つとは。市川 メインシナリオ2部の詳しいお話をする前に、ちょっと開発体制のお話をしますと……そもそも、ポルカやリズのお話(1部1章)を作るときは、サービス開始より前に、1~2年の開発期間があったので、じっくり取り組むことができました。でも、サービスが開始した後に、運営しながらお話を作っていくのはなかなかにたいへんで、シナリオチームの作業がどんどん積み重なってしまいました。とちぼり メインシナリオがクライマックスに向かうにつれ、シナリオのボリュームも増えて、季節イベントや塔イベントに手が回らなくなってしまったという問題があり、2部をスタートさせる前に、それを解決したいという思いがありました。それが第一の課題です。第二の課題は、「ユーザーの皆さんに飽きられない物語にする」こと。これまで、1部の物語を2年半かけてやってきましたが、テレビ番組でたとえると、10クールもやっているんですよね。――10クールと言われると、かなり長く感じますね。とちぼり 皆さんが退屈しないように、世界観を一新しなければいけない、と開発スタッフたちも感じていたので、『ロマサガRS』シナリオ班のみんなで、「ああしよう、こうしよう」と議論しまして。じゃあ、つぎの主人公をどうするかというときに……自分が作る主人公って、ポルカにしろジョーにしろ、『エンペラーズ サガ』のセルマにしろ、共通する部分があるなと思っているんです。アクティブだったり、生まれたときから運命を背負っていたり。シナリオを一新するからには、自分以外のスタッフに託したほうが、新しい主人公が生まれるとも思って、市川さんに相談しつつ、新しいシナリオ体制を整えていきました。市川 これまでのメインシナリオは、とちぼりさんが書いていましたが、2部ではアカツキの凪ちよこさん(『ロマサガRS』クリエイティブプランナー)が書きつつ、とちぼりさんがサポートするという形になっています。そして、『サガ』シリーズキャラクターのフレーバーテキストや、シリーズにおける世界観の監修は、いままでどおり河津(秋敏氏。『サガ』シリーズ総合ディレクター)さんが担当されています。とちぼり さらに、シナリオ執筆をサポートするメンバーも用意してもらっているので、ゆくゆくは“アカツキのライターチーム”がシナリオを書いていく体制を作れればと思っています。――シナリオを書く方が増えれば、季節イベントなども充実させられますね。とちぼり そうですね。個人的には季節イベントが好きなので、どんどんやっていきたいと思っていたんですけれど。シナリオのテキストを用意してから、ドット劇が完成するまでには、1ヵ月半~2ヵ月半ほどかかってしまうので、1部後半ではどうしても手が回らなくなってしまいました。間島 季節イベントが見たい、原作のいろいろなキャラクターたちのお話が欲しいという声は、アンケートを通じていただいていたので、僕らとしても、たくさんのシナリオを出していきたいと思っていました。第2部からは、イラストのバストアップを使った会話イベントも含めながら、できる限り多くのシナリオをご提供できる体制を整えて、ガチャとシナリオもより連動させつつ、皆さんに喜んでもらえるものを作りたいと思っています。――では、新しい体制で手掛けていく2部の物語について、詳しくお聞かせいただけますか?とちぼり サービスを2年半続けてきた中で、シナリオに関する課題は変わってきたなと感じています。リリース前にテーマとして掲げていたのは、“往年の『サガ』ファンにプレイしてもらうこと”、そして“『サガ』を知らない人にもプレイしてもらえるような、ポップな作品であること”です。ある種、相反するテーマをふたつ持っていたと言えます。それを両立するために、ドット絵という表現を選んだのですが。――ドット絵は“ポップでありつつ懐かしい”ですもんね。とちぼり ポルカも、そのふたつのテーマを併せ持つキャラクターだったんですよね。サーカス団出身という、王道というか、昔懐かしいとも言える設定のキャラクターなのですが、倉持さんのイラストがすごくカラフルでポップで、新しさを感じるものになっていました。いま振り返ると、ポルカは相反するふたつのテーマに沿った、『ロマサガRS』を象徴する主人公だったのかなと思います。でも、サービスを2年半継続してきて、『ロマサガRS』に求められているものが変わってきたなと、自分も含め、シナリオ班のスタッフは肌で感じていました。そこで、25年後の世界で、新しい物語を展開することにしたんです。凪さんが作ってくれた新主人公は、自分からは絶対に生まれないキャラクターだなと思ったので、イラストや設定を見て、すごくワクワクしましたね。――25年後の世界ということもあってか、新主人公リアムはちょっとSFっぽい衣装を着ていたりしますね。間島 メインシナリオ1部で異界の戦士たちが来訪したことで、ほかの世界の文化が、この世界に吸収されていったであろうと考えまして。『ロマサガ3』の時代から、『ロマサガRS』1部1章の時代までに300年が経っているわけですが、その300年でバンガードがどれくらい進化したのかを目安にしつつ、異界の影響の流入も踏まえて、文明の進化具合をイメージしていきました。機械いじりが好きな主人公リアムと、謎めいた少女アーニャ――機械の研究なども進んだ世界で、新しい主人公のリアムはどんな立ち位置にいる子なのでしょうか。間島 リアムはふつうの男の子です。『サガ』シリーズは、いろいろなタイプのキャラクターがいるところが魅力で……『サガフロ』で言うと、アセルスのような運命を背負っているタイプのキャラクターもいれば、リュートのような、ふつうのキャラクターもいて。2部シナリオ担当の凪は、リュート編をプレイしたときに衝撃を受けたそうなんですね。無職で、 ラスボス戦に参加しなくたっていいという。“ファンタジーの主人公は、運命を背負っていなければならない”という常識が覆されたと感じた、と話していました。そういう、ふつうのキャラクターも主人公であってほしい、ということで、リアムはとくに特別な力は持っていません。手先が器用で、機械いじりが好きはありますが。彼は戦士と戦士をつないでいくキャラクターです。――ポルカやジョーとは対照的な位置にいるキャラクターですね。では、ヒロインのアーニャは?間島 アーニャに関しては、いまお話しできることがあまりないのですが……2部の冒頭でリアムと出会い、そこから「この子は何なんだろう?」という感じでお話が展開していきます。彼女の謎は、ちょっとずつ明らかになっていくと思います。――リアムとアーニャのデザインについてはいかがでしょうか。倉持 僕は、シナリオチームの会議には参加していないので、最初に「25年後の世界です。こういうキャラクターのデザインをお願いします」と言われたときは、純粋に驚きましたよ。「えっ、機械を出すの?」って。でも、驚きましたけど、楽しみでテンションが上がりましたね。キャラクターや世界観が一新されるということで、「思いっきりやらせてもらえる!」と。そこでじつは、スタッフの皆さんにお願いして、初めにユニオンシップからデザインさせてもらったんです。――キャラクターではなく、ユニオンシップから?倉持 はい。というのも、どこまでテクノロジーを進化させていいのかを計りたくて。船のテクノロジーのレベルに、キャラクターも引っ張られると思ったので、まずは船を思いっきり描かせてもらいました。ちなみに最初に出した案は、SFテイストが強すぎるということで、反応がよくなかったです。美しい宇宙船を描いたんですが、完成されすぎていると言われてしまって。結果、「がんばってパーツをつなげて作りました!」という、DIY感のあるデザインになりました。――船のあちこちからチューブが出ていたりするのは、手作り感を表現するためなんですね。ちなみにユニオンシップはどういう機能を持っているんでしょうか?間島 ユニオンシップのモチーフになっているのは、『サガフロ』のリージョンシップです。ですので、飛行船というわけではないんですよ。2部の世界では、“扉”というものが各地に生まれていて、その扉の中に入る手段として、ユニオンシップがあるんです。扉については、メインシナリオ1部でいう、塔をイメージしていただくとわかりやすいかと。倉持 ユニオンシップは、時空をすごい勢いで飛ぶというか、宇宙空間をワープするくらいの印象で描きましたね。そうして船を描いているうちに、「じゃあ主役の子は、作業服っぽい衣装にしよう、でもツナギそのままでは微妙なので、アメリカ空軍のイメージをさらにアレンジして……」と思いついて、リアムのデザインを考えていきました。あと、自分なりにリアムの設定を考えて、文章に起こしたりもしました。僕は発注を受けたら、すぐに描き始めちゃうタイプなんですが、リアムのときはぐっと我慢して、2週間くらい準備期間を用意しましたね。――かなりじっくり考えたのですね。倉持 リアムに関しては、「デザインを見てから名前を決めたい」と聞いていたこともあり、仲間たちを引っ張っていく主人公としてしっかりデザインするには、設定が必要だなと思ったんです。僕の中では、リアムはギリシャ神話のイカロス(※1)のイメージです。空を飛ぶことにとりつかれて、冒険や挫折を経験するということから考えました。それを受けて、アーニャは、同じくギリシャ神話のアリアドネ(※2)がいいなと。迷っている人を導くようなイメージを持ったので。※1 名工ダイダロスの息子。クレタ島のラビリンスから脱出するため、鳥の羽をロウで固めて翼を作り、空を飛ぶ力を得た。だが、空高く飛んで太陽に近づきすぎたためにロウが溶け、海へと落ちてしまった。※2 ラビリンスに挑む英雄テセウスに恋をして、ラビリンスから脱出するための手段として糸玉を渡した。――ギリシャ神話から着想を得たんですね。ところで、リアムのイラストを見ると、リアムのそばにロボットのような子がいますが……。倉持 これは僕が考えたメカで、リアムのバディのような存在です。リアムがユニオンシップに乗るときは、このメカをヘルメット状にして被るという設定なんです。――このメカや、ユニオンシップに描かれているマークも気になります。倉持 先ほど、リアムはイカロスをイメージしているとお話ししましたが、イカロスと言えば、彼をモチーフにした歌『勇気一つを友にして』が有名ですよね。このマークは、“勇気”を意味するギリシャ文字を組み合わせて作ったものなんです。勇気だけを持って飛び立つ……というイメージですね。――勇気を持ってユニオンシップに乗って、リアムとアーニャを中心に冒険していくんですね。SFっぽさが加わって、楽しそうです。市川 2部のメインシナリオには、『サガフロ』などのシリーズ作品を意識した展開もあるので、これまでの『サガ』ファンの人たちにも楽しんでいただけるんじゃないかなと思います。リアムたちの人気も出るとうれしいですね。3周年には「期待してほしい!」 物語もシステムも進化していく――新キャラクターたちの物語が気になる一方、ジョーやポルカといった1部のキャラクターの現在も気になるのですが……。間島 いまのところ、メインシナリオ2部にリン・ウッド家のキャラクターが登場する予定はありません。とちぼり あれから25年経っていますので、ポルカはもう50代とかになっているので……。ただ、お祭り的なイベントで登場することはあるかもしれません。それと、2022年1月27日に発売予定の書籍『ロマンシング サガ リ・ユニバース 3rd Anniversary 公式ストーリーアーカイブス ポルカ&ジョー編』で、バルテルミーとメリッサの出会いなどを書き下ろしていたりしますので、リン・ウッド家のことが気になる方には、そちらをご覧いただけるとうれしいです。――1部のメインシナリオは2年半かけて描かれましたが、2部の物語はどのくらいのボリュームを想定しているのでしょうか?間島 1年後、2年後も愛されていくようなストーリーにしたいと思ってはいますが、どのくらいというのは明確にはお伝えできないですね。運営しつつ、様子を見ながら調整していきたいと思います。とちぼり “リ・ユニバース”というタイトルなので、ゲーム自体がどんどん変化して世界を構築していかなきゃいけないと、チームメンバーみんなが思っているので。物語もシステムも、これからどんどん挑戦をしていくだろうと思います。先ほどお話ししたとおり、1部のころは、原作キャラクターにスポットを当てたコンテンツをあまり多くは展開できませんでしたが、シナリオチームの体制が変えることで、これからはキャラクターをフィーチャーした新しいコンテンツを増やせると思いますし。間島 これまでは、遊びの中心は“バトルを周回する”ことにありましたが、その枠にとらわれないバトルなども、来年以降、ご提供できればと思っています。――以前、島崎(清山氏。アカツキのクリエイティブプロデューサー兼エンジニア)さんも、新しいシステムを出す予定だとおっしゃっていました。島崎さん、最近は生放送でお見かけしませんが、お元気ですか?市川 元気ですよ! 島崎さんが言っていたシステムも、来年には実装できる予定です。――3周年以降も、ストーリーやシステムが充実していくようで楽しみです。市川さんも、先日の生放送で「3周年に期待していてほしい」と力強くおっしゃってましたし……。市川 3周年は本当に気合が入っていますし、ジュエルも配ります! 11月27日に予定している生放送は、お伝えすべき情報がかなり多くて、すごいボリュームになりそうです。――今後、生放送は、新設されたYouTubeの『サガ』公式チャンネルで展開していくのですよね。市川 『サガ』公式チャンネルを立ち上げた理由はいろいろとあるのですが……シリーズも30周年を迎えて、これまでの『サガ』のことを記録していかなければならないフェーズに入ったと思っているんです。――30年以上続く歴史を、皆さんに見える形でしっかりと残す、ということですね。市川 はい。過去のタイトルに関わった方のことだったり、当時の開発の模様だったり。それらを『サガ』公式チャンネルに残したいと思っています。もちろん、生放送はこれからもやっていきますし、ユーザーの皆さんとのコミュニティを、YouTubeも交えて作っていきたい。開発チームがどんなことを考えていて、どんな方向を目指していくのか、しっかり皆さんに伝えなければならないと思いますし、ユーザーの皆さんの熱を、どうプロジェクトに反映させていくかも考えていきたいので、ぜひご参加よろしくお願いします。『ロマンシング サガ リ・ユニバース』3周年を祝う公式生放送は11月27日19時スタート 『ロマサガRS』公式生放送第16回が、2021年11月27日19時より配信予定。メインシナリオ2部の詳細や、3周年にまつわるキャンペーン情報などが紹介される。 情報たっぷり、ユーザーへのジュエルプレゼントもたっぷり‥‥!? ということなので、お見逃しなく。
最終更新:ファミ通.com