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レンズを付け替えることで撮影が便利になったり、多彩な撮影表現が可能になる“レンズ交換式デジタルカメラ”。その魅力を堪能するためには、レンズの種類やそれぞれの特徴を知り、撮影シーンや被写体に応じて適切なレンズが選べるようになると良いでしょう。この記事では、一眼レフやミラーレス一眼といったレンズ交換式デジカメで使えるレンズの基礎知識を紹介します。
レンズは主に“機能”と“焦点距離(※)”で種類分けできます。まずは、ズーム機能の有無。レンズには焦点距離を変えられる「ズームレンズ」と、焦点距離が一定な「単焦点レンズ」があります。
■ズームレンズ:1本のレンズで焦点距離を変えられる、ズーム機能がついたレンズ。様々な撮影シーンに対応し、レンズを付け替える手間も少なく済む。ズームできる範囲はレンズごとに異なり、「24-70㎜」といったように記載される。
■単焦点レンズ:ズーム機能がないレンズ。焦点距離が一定のため、レンズの特性をつかみやすい。また、開放F値が小さいものが多く、美しいボケ感を得られたり暗所での撮影も便利。
様々なシーンで撮影したい場合はズームレンズがあると便利ですが、撮りたいものがある程度決まっている場合は単焦点レンズでもさほど不便ではありません。単焦点レンズの美しいボケ感もぜひ試してみてほしいです。
※焦点距離……カメラのセンサーからレンズの主点までの距離。“そのカメラで写せる画角(範囲)の目安”と考えると良いでしょう。
【参考】レンズを換えて、カメラをもっと楽しもう!〜レンズの種類とその特長〜(オリンパス)
どんなレンズを使えばいいの? 初心者必見、レンズの選び方講座(キヤノン)
レンズの種類は、焦点距離ごとに分けることもあります。
■広角レンズ:主に焦点距離35㎜以下を指し、広い画角(範囲)を写せる。広大な風景・空間を写すのに便利。遠近感が強調されるので、被写体に寄ればダイナミックな写真が撮れる。
■標準レンズ:焦点距離50㎜。人間の肉眼に近い画角で撮影できる。スナップ写真など、自然な雰囲気の写真を撮りたい方におすすめ。
■望遠レンズ:画角が狭く、遠くのものを大きく写せるレンズ。遠近感が少ないため、被写体の形を歪みなく撮影できるので、物撮りやポートレートにおすすめ。また、被写体と背景の距離が近く見える「圧縮効果」が得られる。70~135㎜前後は「中望遠」、それ以上は「超望遠」と呼ぶことも。
このほか、マクロレンズや魚眼(フィッシュアイ)レンズなどの特殊効果が得られるレンズもあります。
なお、カメラ本体のセンサーサイズによって、同じ焦点距離のレンズを使っても画角(写る範囲)が変わります。そこでレンズについて紹介する際に混乱しないよう、フルサイズセンサーを基準に焦点距離を統一して表記することも。これを「35㎜(フルサイズ)換算」と呼びます。APS-Cサイズのセンサーはフルサイズの約1.5~1.6倍、マイクロフォーサーズは約2倍で算出します。
【参考】フルサイズ、APS-Cの違いって?買う前に知っておきたいカメラのセンサーサイズの基礎知識
下の写真は被写体とカメラの位置を固定し、広角(左/24㎜)・標準(中央/50㎜)・望遠(右/200㎜)でそれぞれ撮影しています。望遠側になるほど被写体が大きく写っています。
そして下の写真は、画面に対して被写体の大きさが同程度になるようにカメラの位置を変えて撮っています。
広角(左)は歪みが大きく、ぬいぐるみの耳が隠れています。一方、望遠(右)は歪みが少なく、さらに背景が大きくボケています。もちろん人物を撮る場合も、望遠レンズを使ったほうが顔の歪みが少なくなります。
レンズとカメラ本体のマウント(接合部)が異なると、レンズを装着することができません。本体とレンズが同じメーカーでも、機種によってマウントが異なる場合があるので注意。サードパーティー製のレンズを買う場合も、自分のカメラのメーカーに対応している製品を選びましょう。
なお、使いたいレンズとカメラのマウントが異なる場合、マウントアダプターを使うという方法もあります。ただし、異なるメーカー間でアダプターを使用すると適切に動作しないリスクがあるので、メーカー純正のアダプターを使いましょう。
大手メーカーのレンズは中古品が多く出回っているので、価格を抑えてレンズを購入したいなら中古品も選択肢としてアリでしょう。特に型落ち品の中古は安く購入できる傾向があります。
中古品はどこに不具合があるかわからないので、なるべく自分の目で状態を確認しましょう。レンズのキズ・カビの有無、コーティングの状態(剝がれやクモリはないか)、マウント部の摩耗などは必ず見ておきたいポイント。オートフォーカスにズレがないかなどの動作確認も必須です。
インターネットショップ等で注文する場合は、状態に関して詳しく書かれているものを選びましょう。
「気になるレンズがあるので試してみたい」という方も多いでしょう。カメラ屋に自分のカメラを持ち込んでレンズを試すという手もありますが、それではイマイチ使い心地がつかみにくいかもしれません。
そこでおすすめなのが、レンタルサービスです。気になる機材を一定期間使用できるというもので、イベント撮影など一時的に使いたいレンズがある時にもおすすめです。サービスごとに特色があるので、比較検討してみましょう。下記以外にも様々なサービスがあります。
【参考】カメラレンタル専門店 ワンダーワンズ
GooPass
Rentio
レンズと一緒に入手しておきたいアイテムに、レンズフィルターやレンズフードがあります。これらはレンズを守るためにぜひとも持っておきたいアクセサリーです。
レンズフィルターには様々な種類がありますが、保護フィルター(プロテクトフィルター)はぜひつけましょう。
傷やホコリ、指紋の汚れからレンズを守ります。また、カメラをどこかにぶつけてしまった時も、レンズが傷つくリスクを大幅に減らせます。
【参考】どういう時にどうやって使う?覚えておきたいカメラレンズフィルターの選び方と使い方
種類・価格帯ともにラインナップが豊富な、国内最大手のレンズフィルターのメーカーKenko(ケンコー)。「PRO1D plus プロテクター(W)」は対応フィルター径37mm~82mmの保護フィルターです。
表面には高い透過率で反射を抑えるデジタルマルチコートを採用し、面反射0.5%を実現しています。
【参考】ケンコー公式サイト製品詳細ページ
撮影時に太陽光や街灯などの強い光が入ると、フレアやゴーストといった余分な光が発生することがあります。レンズフードを取り付けると、帽子のように横からの光をカットしてくれます。
また、レンズフードがあることで、レンズが人や物とぶつかった時に傷つくのを防いでくれたり、指紋の汚れや雨、埃などからレンズを守ってくれます。
レンズが汚れていると写りが悪くなってしまうので、マメに掃除しておきましょう。
掃除の基本的な方法は以下の通り。レンズフードやキャップもブロアーで吹いて埃を落としましょう。
[1]外装部をブロアーで吹いたあと、ブラシで埃やゴミを落とす。ズームレンズの場合はレンズを繰り出した状態にする。[2]ブロアーでレンズ前玉の埃を飛ばす。[3]クリーナーとクリーニングペーパーを使ってレンズ表面を拭く。中心から円を描くように、外側に向けて優しく拭く。[4]後玉でも[2][3]を行う。[5]マウント部を綿棒で乾拭きし、クリーニングペーパーで拭く。
レンズのクリーニングに必要なアイテムは、セットで買ったほうがお得です。
ハクバ「カメラクリーニング6点セット」は、ブロアー、ブラシ、クリーナー、クリーニングペーパー、クロス、綿棒といった必要なグッズが一度に手に入ります。
【参考】ハクバ公式サイト製品詳細ページ
レンズ内にカビがついてしまうと写りに大きく影響したり、売る時に買取価格が下がってしまう恐れがあります。多くの場合、カビを取るにはレンズを分解して掃除する必要があるので、初心者には難易度が高くなります。専門業者に掃除を依頼する場合も、ある程度費用がかかる可能性があります。
カビを防ぐために、日頃からカメラ本体やレンズの管理には気を遣うようにしましょう。
レンズのカビを防ぐためには、適切な湿度で保管する必要があります。「防湿庫」があると管理がラクですが、値段もそれなりな上にスペースも必要です。簡易的なドライボックスでも良いので、レンズは適切な湿度で保管しましょう。
【参考】大切なカメラをカビから守って保管する防湿庫おすすめ6選
ナカバヤシ「DB-8L-N」はプラスチック製で、フタの周囲に発泡ポリエチレンやシリコンゴムを用いているため気密性が高く、簡易の湿度計も備えています。
容量は8L/11L/27Lの3種類、本体カラーはクリア(ホワイト)/クリアブラック(グレー)の2タイプ(※画像製品の内容量は8L/グレー)。
【参考】ナカバヤシ公式サイト製品詳細ページ
ハクバのソフトドライボックス「KDSB-LBK」は、バッグに入れられて持ち運びも可能です。
開閉部はロールトップ型となっているので気密性が高く、防カビ剤や乾燥剤を併用できるよう、内部にはメッシュポケット付の仕切りがあります。
【参考】ハクバ公式サイト製品詳細ページ
以上、カメラレンズの選び方や保管のポイントをご紹介しました。表現したいものや被写体、撮影シーンに応じて適切なレンズを選べるようになりましょう。
※データは2021年2月下旬時点での編集部調べ。※情報は万全を期していますが、その内容の完全性・正確性を保証するものではありません。※製品のご利用、操作はあくまで自己責任にてお願いします。
文/bommiy