ロシア・ウクライナ危機で難しいかじ...

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ロシア・ウクライナ危機で難しいかじ取りを迫られるトルコ|ARAB NEWS ロシア・ウクライナ危機で難しいかじ取りを迫られるトルコ – ARAB NEWS

メネクセ・トキャイ

アンカラ:ロシアがウクライナに空爆と地上攻撃を開始したことで、NATO加盟国のトルコは両国との良好な関係を維持する上で微妙な立場に立たされることになった。

トルコはこのような危機において重要なルートとなるボスポラス海峡とダーダネルス海峡を管理しており、西側諸国にとって不可欠なパートナーとなっている。

ウクライナは24日、両海峡をロシア船に対して閉鎖するようトルコに要請した。

ウクライナ、ロシア両国と海上の国境で接しているトルコは、1936年のモントルー条約により、両海峡を管理する法的権限を与えられており、黒海に接する国に属さない軍艦の通行を制限する独占的権利を有している。

戦時中や侵略の脅威がある場合は、トルコはすべての外国軍艦の海峡通過を禁止することができる一方、船舶の派遣に際しては、黒海沿岸以外の国ならば15日前、沿岸国は8日前に、トルコ政府に通知しなければならない。

ワシントン研究所トルコ・プログラムのディレクター、ソネル・カガプタイ氏は、もしトルコ政府がロシアに対して黒海への海軍のアクセスを拒否すれば、このエリアがトルコとロシアが共有する海洋上の統治地域となっていることからしても、事態の悪化は避けられないと見ている。

「そうなれば、ロシアはモントルー条約の見直しを求めるでしょうし、トルコは二度と(モントルー体制と)同程度の条件を得ることはできないでしょう。トルコ政府が現行の条約に違反しないのはそのためです」と、カガプタイ氏はアラブニュースに語った。

トルコが海峡の門番的役割をどう果たしていくかは、ロシアとウクライナに対する同国の中立姿勢の限界を試す試金石となるだろう。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は23日の記者声明で、トルコはロシアとウクライナのどちらも見捨てることはしないと述べている。

「トルコはここ数年、両国と重要な戦略的関係を築いており、現在ウクライナやロシアとの関係を犠牲にできる立場にはありません」と、ロシア・トルコ関係専門家である、イスタンブールのマルマラ大学のエムレ・エルセン教授はアラブニュースに語っている。

「ですから、トルコは紛争の即時外交的解決を求め続ける可能性が高いと思われます。」

同時に、トルコ政府はモントルー条約の条項を厳格に履行しようとするだろうともエルセン氏は見ている。この条約が、現在の危機においてトルコがどちらかの側につくことなく中立を保つ与えてくれているからだ。

難しい立場に置かれているトルコは、防衛産業においてウクライナと密接な関係にあり、自国製のドローンをウクライナに販売したり、共同製造に関する取引を現在行っている一方、ロシアにはガスや防衛調達の面で大きく依存している。

トルコは天然ガスの約33%、小麦の約66%をロシアから調達している。

間もなく観光シーズンが来ようとしているが、ウクライナとロシアからの観光客は伝統的にトルコの総観光客の5分の1近くを占めている。

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しかし、トルコ政府は、ウクライナに対するロシアの行動は受け入れられないと公式に述べてはいるが、イブラヒム・カリン大統領報道官が最近「役に立たない」と述べたロシアに対する制裁は一切行わない立場をとり、外交手段や対話による段階的緩和を目指している。

アンカラ在住のロシア情勢のアナリスト、アイドゥン・セゼル氏は、トルコはこれまでウクライナ危機に対して、当事国に常識に従うよう促すという穏健な姿勢をとってきたと見ている。

「しかし、この1年間、トルコは明確な親ウクライナ的立場をとってきました。このため、ロシアはトルコの外交的動きに対して、より慎重で懐疑的な姿勢をとるようになるでしょう」とセゼル氏はアラブニュースに語っている。

セゼル氏によると、もしトルコが黒海への水路を西側諸国の艦隊に開放したり、ウクライナに対する空からの脅威について西側諸国と情報を共有したりすれば、ロシアはそれを開戦事由(casus belli)、つまり戦争を正当化する理由とみなすだろうとのことである。

トルコ外務省は24日の声明で、ロシアに対し「不当かつ不法な行動」を直ちに停止するよう求め、ウクライナの領土の保全を強調した。

モントルー条約では、空母もボスポラス海峡とダーダネルス海峡を通過する際にはトルコ政府の許可を得ることになっている。

しかし、エルセン氏の見方では、2008年のロシア・グルジア戦争(南オセチア紛争)に比べれば、トルコがロシアと西側の間で中道的な政策をとることははるかに困難になるという。

ロシアによる2008年のグルジアへの軍事介入の際には、トルコはモントルー条約に基づき米軍の大型艦船の黒海への入港を拒否した。

「トルコと同盟関係にあるNATO加盟諸国は、トルコ政府にロシアとの特別な関係を見直すよう圧力を強めることは間違いありません。このことは、特にシリア内戦やロシア製ミサイルS-400といった厄介な問題に関して、トルコとロシアの関係に大きな影響を与える可能性があります」とエルセン氏は指摘した。

ロシアの防衛システムを購入したことでNATOとの関係が緊張したとはいえ、トルコはウクライナへの支援に関しては、諸国との同盟の中での重要性を取り戻したのである。

英国王立防衛安全保障研究所のアソシエイトフェロー、サミュエル・ラマニ氏は、トルコはウクライナの領土保全を支援することで、NATOの総意への連帯を示そうとしている、と考えている。

「トルコは2010年以来、ウクライナを重要なパートナーと見なしてきました。ウクライナがトルコの黒海地域の大国としての地位を高め、特に軍需品やドローンといった分野で有益な商取引を提供してくれるからです」とラマニ氏はアラブニュースに語った。

同氏はまた、次のように付け加えた。「今回の危機においてトルコは、フランスが行っていることを補完して、協議の場としての役割を果たすことにより、NATOに対して自らの価値を示そうとしました。しかし(トルコでの)会談はこれまで行われておらず、アメリカはトルコの役割に懐疑的な見方をしています」

ラマニ氏によれば、トルコはシリア、リビア、南コーカサスなど他のいくつかの地域に関してロシア政府と協力する必要があるため、依然として外交的解決を支持し、ロシアへの制裁には反対し続けるだろうとのことだ。

「しかし、トルコはモントルー条約に基づく地位を利用して、黒海の安全保障に貢献する国としてのイメージを強化し、要請があればウクライナにドローンを販売することもできるのです」とラマニ氏は指摘した。