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(CNN) 米軍は2019年にシリアで行った空爆で、女性や子どもを含む民間人を殺害していたことを初めて認めた。空爆を行ったのは、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」を制圧する数日前。その事実はこれまで公表していなかった。
空爆の事実は、米紙ニューヨーク・タイムズが13日に掲載した調査報道で明るみに出た。
米中央軍のビル・アーバン報道官の声明によると、19年3月18日、米軍が支援するシリア民主軍(SDF)からISISの攻撃を受けているとして応援要請があり、米軍と有志連合軍がシリアのバグズでISISの拠点を包囲した。しかし数日間に及んだ戦闘の終盤、ISIS側が小火器やロケット弾、自爆攻撃などを使って反撃に出た。
この時、現場で空爆が実行できる機体はF15戦闘機のみだった。唯一利用できる無人機は標準画質の映像しか撮影できず、鮮明な映像を高画質で記録できる航空機や無人機は、戦闘開始の数時間後に現場を離れていた。
SDFの戦闘員や上空を偵察した無人機から同地に民間人はいないとの報告が入ったことを受け、F15は500ポンドの精密誘導爆弾1発と、2000ポンドの精密誘導爆弾2発を投下。この空爆で数十人を殺害した可能性があった。
空爆を許可した米特殊部隊は、高画質の映像を記録できる有志連合の別の無人機がこの地域で運用されていることを知らなかったとされる。
空爆の数時間後、無人機の操縦者が、爆弾投下地点で民間人が死亡した可能性があると伝えてきた。
米軍に対しては、民間人の死傷者に対する対応をめぐって非難の声が強まっている。今年8月にはアフガニスタンで無人機による攻撃を行い、子ども7人を含む民間人10人を殺害していた。
国防総省のジョン・カービー報道官は15日の記者会見で、ロイド・オースティン国防長官が中央軍のフランク・マッケンジー司令官に対し、19年3月に米軍がシリアで実施した空爆について説明を求めていたことを明らかにした。
米軍の調査では、SDF応援のための「正当な自衛攻撃」によって、「少なくとも」16人のISIS戦闘員を殺害したと断定。ほかに「少なくとも」民間人4人を殺害、8人を負傷させたとする一方で、この空爆で殺害した残る60人については「立場を決定的に特徴づけることができなかった」と述べ、民間人の犠牲者がもっと多かった可能性を残した。
アーバン報道官は「武装した人員と非武装の人員がどれだけ混在していたのかは、正確には判断できなかった」と述べ、映像では「武装した女性複数と、武装した子ども少なくとも1人」を観測していたと説明。「この2回の空爆でさらに多くの民間人が殺害された可能性が極めて大きい」ことを認めた。
調査が行われ、民間人の死亡が確認されていたにもかかわらず、ニューヨーク・タイムズ紙が報道するまで米軍が空爆の事実を公表していなかったことから、この攻撃の正当性を疑問視する声が米当局者からも出ている。
19年の民間人の死傷者に関する国防総省の年次報告書では、民間人を殺害した同年3月18日のシリア空爆には言及していなかった。