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登山装備を軽量化するための方法は、順番にステップを踏んで行うことが大事です。頭と登山装備の整理を行なって不必要な装備を削り、時にはウルトラライトな装備を導入することも検討材料にすると良いでしょう。今回はステップごとに軽量化までの道のりを紹介していきます。
目次
まずはじめになぜ軽量化を行うかということを整理しておきましょう。軽量化を行うメリットは
などが挙げられます。軽量化によって今まで諦めていた登山に挑戦できるかもしれません。登山小屋泊からテント泊に移行する際の助けになるかもしれません。
軽量化を行うことでリスクヘッジにつながる可能性が高まります。ここで注意が必要なのは軽量という優先順位を上げすぎて、本来必要な機能が損なわれてしまい、結果リスクをとってしまうという点です。寒すぎて低体温症になりかけたとか、就寝が損なわれたとか、そうならないように正しいステップを踏んで、効果的な軽量化を行うことを心がけましょう。
大きく分けて5つのステップで、まずは頭と登山装備の整理を行います。こうすることで本当に必要な登山道具なのかを改めて考え直し、不必要なものを省き、必要なものを持ち歩く、これだけでも軽量化が行えます。
最後に必要なものに対してその道具が軽量なものなのかを考察し、より軽量化を行える場合はウルトラライトな道具に切り替えることを検討します。お金との相談にもなるので、軽量化インパクトの高いアイテムを買い換えましょう。
いつも登山で持ち歩いている装備を並べてみましょう。レインウェア、防寒着、テント泊装備、着替、山ごはん道具というようにカテゴリでまとめます。
並べた装備の中から、登山に持っていっているけれども全く使っていないものと、よく使うものを分けます。
上記に当てはまらないものとして、時々使うもの、使っていないけれども必要、というカテゴリーもあると分けやすいでしょう。
全部で4種類の分類で装備を分けることができたら、次によく使うもの以外のカテゴリーについて吟味をしていきます。
よく使うものはきっとあなたにとって登山で重要な装備なのだと思います。これ以外のカテゴリーの中からまずはじめに『使っていないけれども必要』から見ていきましょう。
ここにはレインウェアやファーストエイド、エマージェンシーキットなどがあるかもしれません。これらは時に命を守る重要な装備となるので持っていく装備カテゴリーに移動させます。
移動させた後に残った装備と、時々使う装備、全く使っていない装備に対して吟味します。
例えばこんな装備があれば削る対象です。
きっと登山をする際に不安がつきまとい『もしも』を考えすぎて、持ってたけど実際には他で用が済んだとか、そもそも心配し過ぎだったとか、そういった考えの装備が削る対象になります。
並べる・分ける・選ぶのステップで必須装備と決めたアイテムの重量を量ってみましょう。重量を測る際、テントペグやグランドシートなどもひとつひとつ丁寧にリストアップします。テントの総重量のうち意外とそれらも重量に起因していることが分かるはずです。
上の表はテント泊を想定した装備リストです。山小屋泊の場合はテント泊装備を無視すれば良いです。
重量を量ると重い荷物が一目瞭然で、重い荷物ほど次のステップ『装備を変える』の優先候補になります。
重い荷物を量ってから、改めて本当にこの荷物が必要なのかと考えることが重要です。装備を並べて分けて選んでも、まだなお心配が抜けずに不必要なものを選んでいる可能性があるので改めてここで考えなおしましょう。
ただしここで重要なのは重いから持ち歩いてはいけないということではありません。自分の登山スタイルにおける『楽しい』『快適』を犠牲にしてつまらない登山にしてはもってのほかです。
例えば、快適にテント生活を送るために持ち歩いていたサンダルがあるとします。トレイルランニングシューズを履いて登山をするなら、靴紐を緩めるだけで開放感を得ることができるのでサンダルが不必要になるかもしれません。
またレインウェアなどは重量があることで耐候性に優れているという側面もあるので、山行計画と一緒に考える必要があります。これは次の装備を変えるステップでお話しします。
ここからいよいよ装備を変えるステップです。装備を変えるといっても3つの手段が存在します。
装備の軽量化が初めての方は、買い換えるという手段が最も軽量化のインパクトが高いでしょう。既に軽量化を行ったことがある人は、『まとめる・交換(変更)する』や『部品を削る』手段を検討するのが良いかもしれません。
買い換える装備候補の優先順位を決めるために、装備重量一覧に買い換える装備名、価格、重量、買い換えることによって生じる重量の差を追加します。※以下の表にある『買い換え候補』は、現時点で知りうる限りの軽量化におすすめのアイテムです。※買い替え候補のあるアイテムだけをリストアップしています。
※横スクロールで表がスクロールできます。 ※横スクロールで表がスクロールできます。重量差が出たら重量を価格で割ることで1gあたりのコスト(上の表、一番右)が一目瞭然になります。このコストパフォーマンス順で買い換える優先順位をつけるとインパクトのある軽量化が行えます。
お金に余裕がある人は、装備の重量差だけで購入する商品の優先順位をつけると、より軽量化インパクトが高まります。
買い換える上で気を付けるべき点は、山行内容と装備を照らし合わせることです。2000m以上の縦走登山に出かけるならば強い雨風に当たることを想定すべきです。
風速1mで体感温度が1度下がるので、薄手のレインジャケットで縦走登山をするのは危険です。この場合は重量を優先順位にするのではなく耐候性を重視したレインウェアを持ち歩くべきです。
軽装備=危険、重装備=安全
装備という単位で見るとこれは健全でないと考えます。それは冒頭でも話したように軽量化におけるメリットを見ると理解できます。
装備というマクロではなく、カテゴリというミクロで見ていくと、レインウェアのように安全を重視したことで、重装備とまでは言わないまでも、ある程度の重量は容認することが必要なんだと理解できます。
まとめることによる軽量化方法はいくつか存在します。
まずはスタッフバッグです。細かくアイテムを分ける為にたくさんのスタッフバッグやポーチを使っている場合、それらをひとまとめにすることで軽量化が行えます。
この時に使用するスタッフバッグが防水性のものであれば、レインカバーを省くことができます。ザックが保水する生地で作られている場合は雨が降って重くなってしまうので、その場合はレインカバーは持ち歩きましょう。
次に枕です。テント泊装備で枕を持ち歩いていましたが、スタッフバッグと兼用になるアイテムを導入し一石二鳥になって軽量化が実現します。
次にウィンドブレーカーです。薄手で軽量なレインジャケットを手に入れてからはウィンドブレーカー兼用としています。レインジャケットとウィンドブレーカーを比較すると透湿性の良さはウィンドブレーカーなのですが、暑くなればジッパーを開けるなどすれば涼しいので、不快な思いはありません。
山旅山旅/キューベンリバーシブルスタッフバッグ ピロ- | 山旅 powered by BASEhttps://socal.official.ec/items/35504335/キューベンファイバーと止水ジップを組み合わせて防水性能を高めた山旅スタッフサック。縫製部分にもキューベンファイバーテープを施し、軽量性を保ちながら防水性能を高めています。リバーシブルになっていて、裏返すと枕として使用できます。バンジーコードが付属されておりマットに固定することができます。頭に当たる部分はポリエステル100%のニット地でふわっとした気持ちのよい素材でありながら軽量に作られています。ごわつかずコンパクトになるのが特徴です。帰りのお風呂セット(下着、靴下、Tシャツ、薄手のズボン、タオル...交換とは、例えばテントのガイラインを3mmのものから2mmに変えるなど、持ち歩く装備の見直しとなります。ガイラインを細くすることで自在もコンパクトにすることができます。
ガイラインに限らずザックに取り付けられているドローコードや、コードロックもみなすことで積み重ねによる軽量化が実現できます。ここで注意が必要なのはグローブをした状態で使用しやすいかという点です。特に寒い時期においてコードロックを小さくしたことでグローブを外さなければいけないということも念頭に置いておきましょう。
次にランタンです。ヘッドライトをランタン代わりに使用します。地面に置く場合は、ヘッドライトの上に水の入ったプラティパスを乗せればランタンになります。
またDCF(ダイニーマ・キューベンファイバー)製のクッカー収納袋にヘッドライトを入れるとランタンになるアイテムが山旅から出ていて、これがかなり使えます。テント内にぶら下げることもできるので様々なシーンで活用できます。
山旅山旅/キューベンランタンシェード(兼EVERNEW チタンカップ400用スタッフバック) ...https://socal.official.ec/items/44289528/半透明素材で、柔らかくヘッドライトと組み合わせることでランタンシェードになります。別途ランタンが必要なくなるので、軽量化アイテムとしてご活用頂けます。EVERNEW チタンカップ400用のスタッフバッグとして仕上げた、0.4Lほどの大きさのスタッフサックです。キューベンファイバーで作成しておりますので、非常に軽量です。●中身の出し入れがしやすいように、開口部は底に比べて広めに作っています。●コードΦ1.5ミリ●サイズ:底Φ10センチ×高さ11センチ×開口部Φ17.5センチ●重量:4グラム※ご要望のサイズのスタッフサックの制作も承...最後に燃料です。山ごはんのスタイルに関わってきますが、手料理を楽しみたい場合はガスストーブが便利ですが、お湯を使って山ごはんを準備するのならば、燃料を固形燃料に変えることができます。
お湯を使う山ごはんにするというだけでクッカーもコンパクトかつシンプルなものに交換できるので軽量化のインパクトはかなり大きいです。
最後に削る手段です。テントマットの多くがレギュラー180cmで身体全体を支えるサイズです。サイズを Sサイズ120cmに削り足元はザックを敷きます。これが意外と寝心地を妨げません。
次にバックパックの雨蓋です。雨蓋があるバックパックを使用している場合は、確実に雨が降らない日帰りの登山の場合は取り外すことで軽量化を行います。レインカバーがあるのならば雨蓋を省いても支障をきたすことは少ないと思います。
ステップごとに軽量化までの道のりを紹介してきました。今回は食料については触れていませんが、軽量化を行うのに食料の考察もまた非常に重要です。
実際に軽量化を行った縦走登山の記事。実際の装備リストと山ごはんの食材リストの記事を紹介します。
山旅旅装備の軽量化方法 テント泊装備総重量を7キロ以内にhttps://yamatabitabi.com/archives/101934装備の軽量化について考えてみたいと思います。今回考えるのはテント泊における装備で、水を含めて7キロ以内に収めることを目標にしたいと思います。登山装備の軽量化とは登山装備を軽量化しようという心がけで、装備の見直し、改善につながります。実は不必要なものを持ち歩いていたり、オーバースペックな装備によって重量が嵩んでいたりと、見直すべきポイントがわかり、改善を行うことで、軽量化ができ快適に登山を楽しめるようになります。軽いことが正義というのは誤りですが、軽くすることで快適になる装備があると思いますので...山旅旅軽量化で楽しむ南アルプス縦走登山 装備編https://yamatabitabi.com/archives/28843毎年お盆休みは長期縦走登山を楽しむイベント性の高い期間となる。今年挑戦するのは南アルプス核心部をつく縦走登山。鳥倉(豊口山)登山口から赤石岳に向かい、聖岳、茶臼岳、光岳を巡り、最終畑薙第一ダムへ下山するという4泊5日の縦走登山だ。スタートは 鳥倉(豊口山)登山口 。左上のオレンジのSというアイコンが地点。 畑薙第一ダムが今回の縦走のゴール。右下の青いGというアイコンが地点。南アルプスの核心部は山深く、アクセスが大変なことでも有名だ。行きは高速バスとタクシーを乗り継いで登山口まで向かい、帰りは静岡行き...山旅旅軽量化で楽しむ南アルプス縦走登山 食料編https://yamatabitabi.com/archives/288634泊5日の南アルプス縦走を楽しむための装備編を前回お送りした。今回は食料編を紹介したいと思う。縦走時の食事プランは以下の通り。ちなみに以下は7キロに装備を抑える,まとめ記事となっているので、装備の軽量化を検討している方は是非読んでもらいたい。おすすめポイント基本はお湯で作れる食事をメイン山小屋にも食事のお世話になるパッケージはとりサランラップなどに変更する袋の中にある乾燥剤やスプーンは事前に取っておく乾燥野菜を取り入れる4泊5日の食事プラン縦走1日目朝 コンビニおにぎり昼 小屋飯(小河内岳避難小屋)夜...山旅旅登山で使える固形燃料-エスビット・ダイソー・ニイタカ(ニチネン)https://yamatabitabi.com/archives/108856固形燃料には様々なものがあり代表的な固形燃料にはエスビット、ニイタカ(ニチネン)、ダイソーの固形燃料があります。それぞれに特徴があるので固形燃料を選ぶ際のヒントになればと思います。比較する固形燃料固形燃料の比較の方法には重量、大きさ、燃焼時間、コストパフォーマンスなどで判断することになります。今回比較するのはひとつの固形燃料でお湯を沸かすことができるサイズの固形燃料という縛りで4種類の固形燃料をピックアップしました。ダイソー固形燃料ニイタカ(ニチネン)固形燃料25g(10~40gまで5g刻みで種類がある...