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[ロンドン発]イランによる東京の海運会社「国華産業」が運航するタンカーなど6隻への攻撃や米無人偵察機(ドローン)RQ-4グローバルホーク撃墜を受け、米国とイランの緊張が高まっています。
ドナルド・トランプ米大統領は3カ所への報復攻撃を承認しましたが、150人の犠牲が出ると聞いて土壇場で撤回しました。22日のツイッターではこう宣言しました。
「イランが核兵器を保有することは絶対に許容できない。(バラク・)オバマ(前米大統領)のひどい計画では、ほんの数年のうちにイランは核兵器を製造できるようになるだろう」
「現在の検証方法は受け入れられない。月曜日(24日)に大規模な追加制裁を発動する。制裁が解除され、イランが生産的で豊かな国になるのを見たい。早ければ早いほど良い結果がもたらされる」
2016年4月3日、英国とイランの二重国籍を有するナザニン・ザガリ=ラトクリフさん(40)は1歳10カ月になった娘のガブリエラちゃんと一緒に実家でノウルーズ(イラン暦の元日)を過ごした後、エマーム・ホメイニー国際空港で英国に帰国する便に乗ろうとしていました。
ロイター通信のチャリティー団体トムソン・ロイター財団でプロジェクト・マネージャーをしていたナザニンさんは理由も告げられず、突然、イラン革命防衛隊に逮捕されます。独房に放り込まれ、国家転覆を企てたとして禁錮5年の刑で投獄されました。
ナザニンさんはホリデーでイランの実家に戻っただけなのに、なぜイランを国家安全保障上の危機に陥れた国家転覆罪に問われるのか、思い当たるところは全くありませんでした。
それから6月24日で1178日が経ちました。
ナザニンさんの釈放について英国のマリソン閣外相と協議したイランのアラーグチー外務次官は「イランは脅しには屈しない。諜報活動に問われた者は刑期を全うしなければならない」と伝えたそうです。
ナザニンさんはイランの刑務所で、夫のリチャードさん(44)はロンドンにあるイラン大使館前で、釈放を求めてハンガーストライキを行っています。24日で9日目に突入しました。リチャードさんは筆者の取材にこう答えました。
リチャードさん「ナザニンは月曜日と水曜日、土曜日に電話をかけてきます。1回8分です。彼女はハンガーストライキで弱っており、刑務所の医務室で診断を受けています。血圧は低いそうです。ガブリエラはテヘランの祖父母の家で元気に暮らしており、スカイプで話しています」
「ナザニンは政治犯として独房にずっと入れられています。パニックアタックに見舞われるなどメンタルヘルスに苦しんでおり、非常に不安定です。がんではないものの、乳房のしこりが大きくなっています」
「彼女はどれだけ世間の関心が集まっているのか気にしています。私の体調も気遣ってくれています」
「テントで寝泊まりしており、脈拍が速くなっています。ナザニンと一緒にハンガーストライキをすることにしました。継続するのを決めるのも、いつ止めるかを決めるのも彼女です。私は彼女の判断に従います」
「米国の政治も、英国の政治も、イランの政治も非常に複雑です。私たちの問題は古く、現在の米国とイランの緊張とは異なりますが、状況を難しくするでしょう」
「イラン大使館は私たちを遮るフェンスを設置しました。私たちの問題はシンプルです。ナザニンは無実なので釈放して下さいということです」
「イラン革命防衛隊は多くの外国人を拘束しています。彼らは取引材料に使っているのです。外国人を捕まえてから理由をデッチ上げて外交上の人質にしています。国際社会はこうしたことを止めるよう声を上げる必要があります」
「もし国家に対して責任を取りたいのなら、まず自分の犯した過ちについて責任を取るべきです。その過ちについて問題を解決すべきです。彼の発言によってナザニンの問題はさらに複雑になりました」
ジョンソン氏は外相時代、ナザニンさんについて「(休暇ではなく)ジャーナリストを訓練していた」と発言、反体制ジャーナリストを養成して国家転覆を企てたとするイラン側に投獄を正当化する口実を与えてしまいました。
そのジョンソン氏は21日未明、同居しているガールフレンドのキャリー・シモンズさん(31)と大喧嘩をして近所の人に警察を呼ばれる騒ぎを引き起こしたばかりです。自分の私生活さえ満足にコントロールできない「政界のピエロ」に国民の暮らしと安全が守れるのでしょうか。
(おわり)