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『ちょっと思い出しただけ』で3度目のタッグ!松居大悟とクリープハイプが築き上げた10年来の関係性

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『ちょっと思い出しただけ』で3度目のタッグ!松居大悟とクリープハイプが築き上げた10年来の関係性

3回目の映画タッグを組んだ松居大悟とクリープハイプの10年来の絆

池松壮亮と伊藤沙莉が初共演を果たした松居大悟監督最新作『ちょっと思い出しただけ』(公開中)。恋人たちの甘くもほろ苦い6年間を描きだしていく本作を、包み込んでいるのがクリープハイプが歌う主題歌「ナイトオンザプラネット」だ。実は松居監督とクリープハイプ、劇場映画では今回が3回目のタッグという深いつながりを持っている。その関係性をここで振り返っていきたい。【写真を見る】松居大悟監督とクリープハイプの関係性を振り返る!■注目を集めたMVやショートフィルムもともとクリープハイプに一方的に惚れ込んでいたという松居監督。2011年、松居が主宰する劇団ゴジゲンの舞台「極めてやわらかい道」の際に、クリープハイプのボーカルを務める尾崎世界観にアプローチをしたことをきっかけに知り合い、両者の関係はスタートしていく。2012年に、松居がクリープハイプのミュージックビデオを手掛けるようになり、メジャーデビューアルバムに収録された「オレンジ」から、2014年の「百八円の恋」まで、約2年間で9作品のMV監督を連続で担当。それぞれの登場人物が、作品をまたいで交差していく群像劇的なアプローチを図ったり、そこから派生したショートフィルムバージョンを制作したりと、MVの枠組みを超えたユニークな試みで注目を集めた。その短編映画『イノチミジカシコイセヨオトメ』、『あたしの窓』、『おやすみ泣き声、さよなら歌姫』に、池松が主演を務めた『傷つける』を加えた4作品で構成された『自分の事ばかりで情けなくなるよ』は、2013年に劇場用映画として公開。うまくいかない日々に怒りや涙を爆発させるものたちの人間模様が描かれた。一方で、クリープハイプも劇団ゴジゲンが2012年に上演した舞台「リリオム」(こちらも池松が出演)のテーマ曲「傷つける」を作品のために書き下ろすなど、精力的なコラボレーションで互いを刺激し合い、信頼関係を築き上げていった。■映画内の題材としてクリープハイプが登場そんな彼らが再び手を取り合った劇場映画が、2015年の『私たちのハァハァ』だ。本作は、福岡県北九州市で暮らす女子高生4人組が、大好きなバンドのライブを観に行くため、自転車で遠路はるばる東京を目指す青春ロードムービー。主人公たちが憧れるバンドがクリープハイプであり、主題歌「わすれもの」を手掛け、音楽として作品に参加している。片田舎に住む女子高生4人組は、若手ロックバンド“クリープハイプ”の大ファン。彼女たちは、福岡のライブを観に行って出待ちした時に、「東京のライブにもぜひ」と言われた言葉を真に受けて、東京に行くことを決意。高校3年生最後の夏休み、クリープハイプに報告するために自分たちでカメラを回しながら自転車をこぐが、タイヤが早々にパンクし、金欠になり、終いには4人の仲にも亀裂が走り…。クリープハイプの楽曲ありきの映画となった前作と異なり、作品の題材として登場させるというアプローチで、2組の関係性の深さを感じさせた本作(なお池松もヒッチハイクする彼女たちを乗せるドライバーとして登場)。もちろん「わすれもの」のMVは松居が手掛け、4人の女子高生のサイドストーリー的なものとなった。さらに映画と同日に公開された楽曲「クリープ」のMVは、女子高生4人組の1人、チエとその母の由美子との親子愛を描いたもので、映画で家出したチエが、母の元に帰ってくる後日談となっているなど、広がりを持たせた作品となった。■楽曲から産声を上げた『ちょっと思い出しただけ』2016年を最後に長らくタッグを組んでいなかった松居とクリープハイプが、三度手を取り合った『ちょっと思い出しただけ』。本作は、ジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91)にインスパイアされたクリープハイプの楽曲「ナイトオンザプラネット」を基にしたラブストーリーだ。ケガでダンサーの道を諦めた照生(池松)とタクシー運転手として働く葉(伊藤)。男と女の“終わりから始まり”の6年間を、別れたあとの日常から、別れの瞬間、付き合っているさなかの幸せな時間、そして出会い…と1年ずつ同じ日をさかのぼりながら綴っていく。2020年4月頃に「松居くんと作りたいものができた」という言葉と共に尾崎から送られてきた曲を聴いた松居監督の「MVや短編ではなく長編として作り上げたい」との想いからスタートした本企画。尾崎は主題歌と音楽を担当しただけでなく、ミュージシャンの男役として出演し、2人の思い出のなか、随所で存在感を発揮している。出演オファーを受けた際、尾崎は「こんなにすばらしい台本なのに自分が出ることで嘘の世界を作りたくないから、クリープハイプとしては出演できない」と一度は断ったとか。しかし「ジャームッシュ映画に時々登場するトム・ウェイツ的な感じで出るのはどう?」と打診され、「じゃあひげ生やしていい?」と条件付きで出演が決定したのだそう。フィールドは違えど、共に切磋琢磨し、影響を与え合ってきた松居大悟監督とクリープハイプ。知り合って約10年のタイミングで手掛けた本作は、彼らの一つの到達点と言えるに違いない。文/サンクレイオ翼

最終更新:MOVIE WALKER PRESS