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【西川和久の不定期コラム】Snapdragonを搭載した14型Windowsモバイル!「レノボIdeaPad 4G」

最大21時間駆動で14型フルHD、Snapdragon 8c、8GB、SSD 256GBのWindows 10ノート

Arm版Windows搭載機は、初代「Surface」、「Surface 2」などが記憶に新しい(どちらも所有していたが、Windows 8)。Windows 10になってからHPやレノボなどから若干出ているものの、代表的な機種だとMicrosoftの「Surface Pro X」程度となるだろうか。

余談になるが、この辺りを調べようと「Windows 10 arm」と言ったキーワードで検索すると、出てくるのはM1 Mac上でParallels Desktopを使い、Arm版Windows 10 Insider Previewを動かす話ばかり(笑)。筆者も試したが、アクティベートできないInsider Preview版なので、実際は仕事などに使うことはできない。

ただ現時点でx64を試せるのはこのバージョンのみ。そう言った意味では(どの程度動くのか)使ってみる価値はある。問題はArm版Windows 10を一般売りするのかだろう。事実上、対象はM1 Mac with Parallels Desktopだけなので(VMware FusionやVirtualBoxも出るかも知れないが)、マーケットサイズ的に(もしくは戦略的に)厳しいのではと思われる。

話を戻すと、レノボはこれまで「YOGA C630」という機種を出していて、13.3フルHD/Snapdragon 850/4GB/128GB/SIMロックフリーといったスペックだったが、今回ご紹介するIdeaPad 4Gは、シリーズこそ違うものの後継機的な存在となる。「Arm版Windows 10はどうなの!?」的な話は後述するとして、主な仕様は以下の通り。

Lenovo「IdeaPad 4G」の仕様
プロセッサQualcomm Snapdragon 8c(8コア/最大2.45GHz)
メモリ8GB/LPDDR4X 1866
ストレージNVMe SSD 256GB
OSWindows 10 Home(64bit/Arm版)
ディスプレイ14型IPS式フルHD(1,920×1,080ドット)、非光沢、sRGB比100%
グラフィックスSoC内蔵Adreno 675、Type-C
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 5.1
インターフェイスUSB 3.0 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)×2、USB 3.0、HD720p/IRカメラ、音声入出力、nanoSIMスロット
対応バンド3G WCDMA:1,2,4,5,84G FDD-LTE:1,2,3,4,5,7,8,11,12,13,14,18,19,20,21,25,26,28,29,30,32,66,714G TDD-LTE:34,38,39,40,41,42,46,48
バッテリ/駆動時間4セル/約21.0時間
サイズ/重量約321.7×207×14.9mm(幅×奥行き×高さ)/約1.2kg
価格10万9,780円

SoCはQualcomm Snapdragon 8c。8コアで最大2.45GHz。2019年12月「Snapdragon Tech Summit 2019」で発表された(Snapdragon 865/765/765Gも発表)。従来、1,000ドル超えるArm版Windows 10搭載機ではプレミアムとしてSnapdragon 8cx、メインストリームにはSnapdragon 850を採用してきたが、後者と入れ替わる形となる。

詳細は「Qualcomm、Arm版Windows 10向けの廉価版Snapdragon 8c/7cを発表」をご覧いただきたいが、CPU:Kryo 490(Kryo 495)、GPU:Adreno 675(Adreno 680)、メモリバス幅: 4×16bit(8×16bit)といった特徴を持つ。カッコ内は8cxなのだが、結構差があるのがわかる。

メモリはLPDDR4X 1866 8GB。ストレージはNVMe SSD 256GB。OSは64bit/Arm版Windows 10 Home。Buildは2004。20H2が来ていたもののUpgradeせず、2004の範囲でWindows Updateを適用し評価した。

【西川和久の不定期コラム】Snapdragonを搭載した14型Windowsモバイル!「レノボIdeaPad 4G」

ディスプレイは14型IPS式のフルHD(1,920×1,080ドット)。非光沢でsRGB比100%。タッチには非対応。外部出力用にType-C(DisplayPort対応)を備えている。

ネットワークはIEEE 802.11ac、Bluetooth 5.1、nanoSIMスロット。対応バンドは表をご覧いただきたい。そのほかのインターフェイスは、USB 3.0 Type-C(USB PD、DisplayPort対応)×2、USB 3.0、HD720p/IRカメラ(Windows Hello対応)、音声入出力。

サイズ約321.7×207×14.9mm(幅×奥行き×高さ)、重量約1.2kg。4セルのバッテリを内蔵し、駆動時間は驚きの最大約21時間。Core i第11世代でも仕様上は長時間だったり(実際はそうでもない)、Arm版はバッテリ駆動時間が長いと言われているが、後半のベンチマークテストで検証してみたい。

価格は10万9,780円。価格comで調べると10万円を切るショップもあるようだ(税込で10万円を切ると、経理上消耗品扱いできる)。これまでSurface Pro Xなど結構高価なマシンは(若干)あったが、10万円程度で買えるArm版Windows 10搭載機は国内初。興味を持った方も多いのではないだろうか。

前面。パネル中央上にWebカメラ。フチは上下左右狭いが、その分、16:9(細長い)が目立つ斜め後ろから。シンプルなシルバー。バッテリは内蔵で着脱できない左。電源LED、Type-C×2、音声入出力。パネルは180度傾けることができる右。USB Type-A、電源ボタン、nanoSIMスロットキーボード。OFF+2段階のキーボードバックライト付き日本語配列。タッチパッドは一枚プレート式。両サイドにスピーカーキーピッチは実測で約19mm裏。手前に2つ、後ろに1本バーのゴム足。SIMスロット搭載なのでIMEIがある横から。Type-Cコネクタの高さから結構薄いのがわかる。キーボード面は気持ち手前に傾いている重量は実測で1,245gACアダプタのサイズ約94×40×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量198g、出力5V/2A、9V/2A、15V/3A、20V/2.25A(45W)

筐体はオールシルバーで質感も良く、なかなかカッコいい。重量は実測で1,245g。14型としては平均的なところだろうか。この程度ならカバンに入れて持ち歩いても苦にはならない。

前面は、パネル中央上にWebカメラ。フチは上下左右狭いが、その分、16:9(細長い)が目立つ格好となっている。パネルは180度傾けることが可能だ。左側面に電源LED、USB Type-C×2、音声入出力。右側面にUSB Type-A、電源ボタン、nanoSIMスロットを配置。裏は手前左右と後ろに一本バーのゴム足。気持ちキーボードが手前に傾くようになっている。

付属のACアダプタは、サイズ約94×40×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量198g、出力5V/2A、9V/2A、15V/3A、20V/2.25A(45W)手持ちのPD/65Wのアダプタでも問題なく充電できた。

14型のディスプレイは非光沢で見やすく、発色、明るさ、コントラスト、視野角全て十分。パッと見で色域が広いのがわかる。sRGB 100%なので、色を気にする作業もとりあえず問題ない。とりあえずと書いたのは、キャリブレーション用のi1 Profilerが動かないからだ(正確にはi1 Display Pro用のドライバが動かず測定できない)。ドライバが絡むのでArm対応を待つしかないものの、流石にこれは望み薄だろう(おそらく類似品も同じ状態になる)。

キーボードはOFF+2段階のバックライトを搭載した日本語配列。キーピッチは実測で約19mm。右側[Enter]キー周辺が少し狭くなっているが、目くじらを立てるほどでもない。打鍵感はストレークが深めでクリック感もあり、個人的には好みのタイプだ。タッチパッドは物理的ボタンのない1枚プレート式。パームレストも含め十分面積が確保され扱いやすい。

ノイズや振動は試用した範囲で特に気にならなかった。発熱はベンチマークテストなど負荷をかけると、キーボード上のスペースが若干暖かくなる程度。まったく問題ない。

サウンドは、キーボード左右にスピーカーがあり、音が直接耳に届く。音質はこのクラスとしてはなかなか良い。パワーも十分。音楽や動画を見ても特に不満になることはないだろう。

Webカメラは720pなので荒めだ。十分明るい場所であれば発色も含めそれなりに映るが、暗めの場所だとかなりノイジーとなる(ブロックノイズが目立つ)。

設定/携帯電話/詳細オプション設定/携帯電話/詳細オプション/APNの追加

nanoSIMは手持ちのOCN モバイル ONEで試したが、SIM挿入後、再起動など必要なく、APNを設定するだけで作動した。Wi-Fiがある時はWi-Fi側が優先されるため、接続しっぱなしでもパケットを消費することもなく、外出時、そのまま接続を維持しているため、かなり便利だ。スリープからの復帰も速い。加えて後述するがバッテリ駆動時間も長く、非常に快適なモバイルライフを実現する。

総じて14型ノートPCとしてはうまくまとまっており、特に欠点らしい欠点はない。加えてLTE搭載、長時間バッテリ駆動となれば、この価格帯でWindows 10のモバイル用途では無敵(言い過ぎか!?)な1台ではないだろうか。ただ最近パネルは16:10(もしくはこれ以上)が流行りつつあり、個人的には縦が少なくとも1,200ドットだったら購入していたかもしれないだけに、惜しい部分だ。