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米空軍などに配備されている無人機MQ9(米ジェネラル・アトミクス社のパンフレットから)
日米両政府が米軍の無人機「MQ9」7、8機を海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿屋市)に一時展開する方向で検討していることが24日、関係者への取材で分かった。南西諸島周辺で軍事活動を活発化させる中国軍の監視強化が目的で、自衛隊基地への米無人機の配備は初めて。早ければ春ごろから1年程度、運用や整備を担う米兵百人超の駐留を見込む。今後本格化させ、地元自治体に協力を求めるとみられる。【写真】【地図】海自鹿屋基地と南西諸島の自衛隊配備
鹿屋基地では在日米軍再編に伴い、2019年9月から米軍岩国基地(山口県岩国市)所属のKC130空中給油機の訓練を受け入れている。新たな負担増に反発する声も予想される。 今月7日の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、南西諸島を含む米軍や自衛隊施設の共同使用促進を確認した。鹿屋基地での展開を検討する無人機部隊の規模、駐留期間は国内最大級となる見通し。一部米兵をホテルなど民間施設に滞在させる案もある。米側が早期配備をかねて要望していた。 MQ9は全長約11メートル、主翼幅約20メートル。パイロットが搭乗せず、地上から遠隔操作する。民間機より高い上空1万5000メートルを飛行でき、高精度の画像撮影など監視能力が高い。攻撃型と偵察型があり、鹿屋基地への配備は偵察型とみられる。 国内では14年5月、米軍三沢基地(青森県)に北朝鮮などへの警戒監視のため、空軍の「グローバルホーク」が初めて配備された。17年5月には米軍横田基地(東京都福生市など)にも展開。両基地ではその後、2~6機に米兵40~110人が年間2~5カ月ほどの期間で定期的に駐留する。
防衛省幹部は「中国を見るには東日本側に拠点を置くよりも、年中無休で南西諸島などを監視している鹿屋の方が合理的だ。敷地も比較的広い」と話した。 米軍機の鹿屋基地利用は、日米物品役務相互提供協定(ACSA)に基づく燃料提供などが例年数十件ある。KC130空中給油機が19年から訓練を開始。20年10月の日米共同統合演習と21年5月の日米仏共同訓練では輸送機オスプレイが飛来した。 【「MQ9」とは】米ジェネラル・アトミクス社製の無人機。流線型の機体に長い主翼、Y字型の尾翼を持つ。上空1万5000メートルの「高高度」から高精度で撮影し、センサーを使い悪天候でも目標物を確認できる。時速約330キロで約30時間の飛行が可能。イラク戦争や東京電力福島原発事故後に使われた米無人偵察機グローバルホークより1回り小さい。海上保安庁は海上監視に特化したMQ9Bの飛行実証を始め、導入を目指している。