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Chromebookかんたん使いこなし術
第4回
「Google Chrome」の拡張機能4回にわたってChromebookとそのOS「Chrome OS」の使いこなしを解説する本特集。最終回となる今回は、Chromebookに拡張機能を入れて、Webブラウザーをより便利にする方法を紹介する。「Google Chrome」は単体でも十分に機能するが、それでもこまごまとした不満がないわけではない。「Chrome ウェブストア」から拡張機能をインストールする方法を覚えれば、ちょっとした不便を解消できる。何を使っていいのかわからないというユーザーのために、お勧めの拡張機能もいくつか挙げておくので、ぜひ役立ててほしい。
拡張機能(extensions)は、その名の通り「Chrome」の機能を拡張するための追加ソフトだ。実体はHTML、CSS、JavaScriptなど、通常のWebサイトで用いられている標準的な技術からなり、1つのファイルにパッケージングされて「Chrome ウェブストア」と呼ばれるライブラリサイトで配布されている。ユーザーは[Chrome に追加]ボタンを押すだけで手軽に拡張機能をインストール可能。この際、「Chrome」を再起動させる必要はない(Webページの再読み込みは必要となることがある)。
「Chrome ウェブストア」長々と説明するよりも、まずは見本を見せた方が分かりやすいだろう。本特集の第1回で「Chrome」には[左側のタブを閉じる]コマンドがないと紹介したが、これを解決する拡張機能を「Chrome ウェブストア」で探してみよう。
まず、トップページ左上の[ストアを検索]ボックスにキーワードを入力して検索を行う。今回は「左 タブ 閉じる」などでよいだろう。すると、その名もずばり「左側のタブを閉じる」という拡張機能が見つかった。
さっそく拡張機能の詳細ページに移動し、画面右上のある[Chrome に追加]ボタンからインストールしてみよう。ジグソーパズルのピースの形をしたアイコン(拡張機能ボタン)から、「左側のタブを閉じる」拡張機能が追加されたことを知らせるポップアップが出てくるはずだ。
画面右上のある[Chrome に追加]ボタンからインストール拡張機能が追加されたことを知らせるポップアップこの拡張機能は、ボタンを押すことで現在開いている(アクティブな)タブの左側にあるタブをすべて閉じることができるようだ。ツールバーに常に表示して、いつでもクリックできる方が便利だと思われるので、拡張機能ボタンを押してインストール済み拡張機能がリストアップされたポップアップにアクセスし、「左側のタブを閉じる」拡張機能を探してピンアイコンをクリックする。こうすると拡張機能が「ピン留め」され、ツールバーへ常に表示されるようになる。拡張機能によってはインストールするだけで効果を発揮するものや、めったにボタンを使わないものもある。そうした拡張機能はピン留めせず、ポップアップからアクセスするようにするとよいだろう。
拡張機能のピンアイコンをクリックツールバーへ常に表示されるようになるなお、ちゃんと腰を据えて拡張機能を管理したい場合は、メインメニュー(縦3つの点アイコン)から[その他のツール]-[拡張機能]画面(chrome://extensions)へアクセスする。拡張機能の有効・無効、削除だけでなく、キーボードショートカットの割り当ても可能なので、ぜひ活用したい。
[その他のツール]-[拡張機能]画面(chrome://extensions)拡張機能は大変便利なものだが、なかには悪意を持って作られたものもある。有名な拡張機能であってもハッキングの被害に遭い、攻撃コードが注入されることもあり、正直なところ素人に見分けることは難しいのが現状だ。拡張機能に関しては年々セキュリティが強化されており、悪意のあるものは減りつつあるが、実現している機能に比してインストール時に要求される権限が多過ぎる場合などは注意すべきだろう。また、あまり使わないものは無効化しておくようにしておいた方がよい。
インストール時に要求される権限さて、ここからは編集部がお勧めする拡張機能をいくつか紹介しよう。自分の用途に合うものがあれば、ぜひ試してみてほしい。
「Create Link」は閲覧ページのURLに加え、タイトルもクリップボードにコピーできるようにする拡張機能だ。「面白い記事を見つけたので、SNSやチャット経由で友達に教えてあげたい!」――そう思ってリンクを送るとき、URLだけでなくタイトルも一緒に送ってあげると、読み手側はわざわざリンクを開かなくても記事の内容を知ることができる。Webページのテキストを選択している場合は、その選択テキストとURLがクリップボードに格納されるので、読んでほしい部分を引用して送りたい場合にも役立つ。
リンクを共有するときに便利な「Create Link」さらに、本拡張機能は好みの書式でURLやタイトル、選択テキストをあらかじめ指定した書式に加工してクリップボードへコピーすることも可能。あらかじめHTMLのリンクタグや引用タグ、Markdown記法のリンクなどがプリセットされているので、HTMLソースを記述する場合や、ブログやWikiの記事を書く際に役立つ。自分でフォーマットを登録することもできるので、たとえば「はてな記法」のリンクを生成するようにしておけば、「はてなブログ」の記事を書くときに便利だ。
「Chrome OS」にはスクリーンショット機能が初めから備わっているが、これはあくまでもデスクトップ画面を撮影するものだ。残念ながら、縦に長いWebページをまるごと画像ファイルとして保存したりといった用途には利用できない。そこで便利なのが、スクリーンショット系の拡張機能だ。
このジャンルの拡張機能は充実しており、正直なところ、どれを紹介してよいか悩むところだ。多機能、高機能を売りにするものも多いが、今回はあえて「Webpage Capture and Paint」をお勧めしたい。
国産のスクリーンショット拡張機能「Webpage Capture and Paint」自動でスクロールしてWebページ全体をキャプチャー。、ちょっとした注釈をつけることもというのも、本拡張機能は作者が日本人ということもあり、海外製の拡張機能よりも扱いやすい。おまけでお絵かき機能も搭載されており、ちょっとした注釈をつけたいときにも役立つ。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で不要不急の外出自粛が迫られるなか、オンラインショッピングの需要はこれまで以上に増している。しかし、慣れないと買い占めで釣り上げられた価格に手を出してしまったり、あまり誠実でない出品者から商品を購入してトラブルになったりもする。
Amazonの商品の相場変動をグラフ表示する「Keepa」。急激に値上がりしていたら、買い占めかもしれないそんなときに活用してほしいのが、快適なオンラインショッピングを支援する拡張機能だ。なかでもAmazon.co.jpを利用する場合は、以下の2つの拡張機能をお勧めしておきたい。
少し脱線するが、確定申告をしているAmazon.co.jpユーザーは「アマゾン注文履歴フィルタ」拡張機能もおすすめ。Amazon.co.jpで購入した商品の領収書を一括で出力できる。
ChormebookはSNSにも向いている。なかでも、公式の「LINE」拡張機能が用意されているのは便利。「LINE」は端末ひとつにつき1アカウントの制限があるが、Google Chrome拡張機能(やデスクトップアプリ)はその制限に縛られない。スマホと同じアカウントで利用できるので、スマホを自室で充電していても、リビングでゴロゴロしながらメッセージのやり取りができる。
ログインはQRコードが簡単スマホの「LINE」アプリでカメラを起動Chromebookの「LINE」アプリに表示されるQRコードをスマホの「LINE」アプリで撮影するChromebookの「LINE」アプリに本人確認の番号が表示されるスマホの「LINE」アプリに本人の確認番号を入力する最近のWebアプリはかなり高機能で、ひと昔前ではローカルアプリでしか実現できていなかったことが、今ではオンラインで手軽に行える。フォトレタッチなどもそうしたジャンルの一つ。なかでも「Polarr」はかなり高機能で、たいていのことはこれで済ませることができる。
学校でChormebookが支給されたのに、家でやることはリビングに転がって動画を観るだけ。思わずため息をつきたくなる親御さんも少なくないのではないだろうか。口うるさく小言を言っても反感を招くだけ――ならば、動画を楽しみながら勉強もできる拡張機能はいかがだろうか。
「Subtitles for Language Learning(LL)」「Subtitles for Language Learning(LL)」は、Amazon Prime Video(プライム・ビデオ)の映画やドラマ、アニメを観ながら楽しく語学を学ぼうという異色の拡張機能だ。海外の人気作品を題材に、字幕と単語帳で外国語を学習することができる。動画の字幕や再生速度、明るさ、コントラスト、彩度を調整する機能する機能も備えるなど至れり尽くせりなので、ぜひ試してみてほしい。
Chromebookで動画を楽しむときに、ぜひ覚えておいてほしいのがタブのミュート機能だ。「Chrome」で動画を視聴していると、どのタブから音が出ているのかわからくなることがあるが、よく見ると音が出ているタブにはスピーカーアイコンが追加されているのがわかる。このタブを右クリックして[サイトをミュート]コマンドを実行すると、そのタブを無音(ミュート)にすることができる。
ツールバーのボタンをワンクリックするだけで一括でタブをミュートできる拡張機能「Mute Tab」とはいえ、突然の来客やいきなりオンラインミーティングなど、いざというときに音の出ているタブを特定してミュートにするのは難しい。ツールバーのボタンをワンクリックするだけで一括でタブをミュートできる拡張機能を入れておくとよい。
最後に、興味本位で買ってみたはいいものの、結局使わなくなってしまったChromebookを活用する方法の1つとして、「Distill Web Monitor」を紹介しよう。
「Distill Web Monitor」は、簡単に言えばWebページの更新をチェックする拡張機能だ。ポイントは、監視する箇所をXPathやCSSのセレクターで指定できるところ(GUIで監視部位を指定することもできる)。RSSフィードが配信されていない公式サイトの新着情報欄だけをチェックしたい、オンラインショッピングサイトの値段改定をいち早く知りたいといった場合に役立つだろう。
Webページの更新をチェックする拡張機能「Distill Web Monitor」たとえば「窓の杜ライブラリ」のダウンロードランキングだけを監視できるなお、Webサイトを24時間365日監視する場合は、スリープ機能を切っておくとよい。とはいえ、Chromebookはこうした運用を想定しているとは限らない。最悪、壊れてもよい場合だけにしておいた方が無難かもしれない。