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27日午前8時ごろ、北朝鮮が東海岸の咸興から日本海に向けて未詳の飛翔体を2発発射しました。韓国軍の観測によると水平距離190km・最大高度20kmと、短距離弾道ミサイルにしては短い距離で最大高度は非常に低く、飛び方は浅い角度のディプレスト軌道です。
なお咸興から190kmの位置には北朝鮮軍が何時も標的に使っている無人島があるので、今回もここを狙っている可能性が高いでしょう。
今回の飛翔体は距離が短く高度がかなり低いので、日本側からの観測では水平線の向こう側に隠れてしまい自衛隊はレーダーで探知できなかったようで、海上保安庁からは警報が出ていません。
韓国軍が観測した水平距離190km・最大高度20kmは、北朝鮮が過去に発射した飛翔体で一致した記録がありません。参考用にKN-09(300mm大型ロケット弾)、KN-25(600mm超大型ロケット弾)、KN-24(短距離弾道ミサイル)の発射試験で近い数字を比較して見てみましょう。
KN-09は全力発揮時の最大飛行性能です。KN-25は最大飛距離380km、KN-24は410kmを飛んだ記録があるので、それよりも飛距離を落とした時の記録です。
過去の発射記録で近そうな数字のものを集めてみましたが、水平距離190km・最大高度20kmに一致するものがありません。既存のミサイルの条件を変えて発射したのか、あるいは弾頭重量の変更を行った小改良型なのか、それとも未知の全く新しいミサイルの可能性も否定できません。
ただし新型ミサイルの可能性は低そうです。今回の発射は2発の上に標的用の無人島を狙っていることから考えると、既存の実戦配備済みのミサイルの通常訓練の可能性が高いのではないでしょうか? 1つの発射機に複数発を搭載しているタイプだと思われます。
過去の極超音速滑空ミサイル「火星8」の1回目の試験発射がやや近い数字ですが、1つの発射機に1発のみを搭載する火星8の発射なら1発ずつ発射する筈で、今回は2発を発射しているのでおそらく違うでしょう。
追記:北朝鮮が1月25日の巡航ミサイルと1月27日の弾道ミサイル試験発射成功と発表
1月27日発射の弾道ミサイルはイスカンデル型(KN-23)でした。最大で800km飛行した実績のあるミサイルなので、性能をかなり抑えて発射したのだと思われます。