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#徳島ニューノーマル映画祭㊦ TikTokと連携して製作 徳島在住の長竹寿人さんが監督を務めた縦型映画

5、6両日に徳島市の県文化の森総合公園で開かれる「#徳島ニューノーマル映画祭2022」(県主催)で、阿南市在住の映像クリエーター長竹寿人さん(43)=沖縄県出身=が監督を務めた映画「TUNNEL VISION(トンネル・ビジョン)」(30分)が上映される。県と動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」が連携して製作し、縦画面の映像だけで構成した作品。通常の横画面とは違う「縦型映画」に初挑戦した長竹監督に、撮影時の舞台裏や、作品へのこだわりなどを聞いた。

映画「TUNNEL VISION」

作品の舞台は徳島県の山奥にある架空の村。古い風習をきっかけに関係に距離ができた父娘が、村の外にある互いの夢に挑戦するために協力し、再び心を通わせていくストーリーだ。

長竹監督は初めての縦型映画の製作について「縦画面になると、人物の周辺に盛り込める情報量が極端に減る。最初はどうしたら狭い画角を生かせるのか絵作りに悩んだ」と振り返る。

その上で「画角は狭いけど、絵面に迫力が出るし、横から急に何かが出てくるとホラーっぽくもなる。画面に入れられる情報が少ないことを逆手に取って、物語にホラー的な要素も入れていった」と話す。

 #徳島ニューノーマル映画祭㊦ TikTokと連携して製作 徳島在住の長竹寿人さんが監督を務めた縦型映画

撮影期間は4日間。勝浦町の坂本八幡神社や坂本隧道(ずいどう)(旧坂本トンネル)などで行ったロケは戸惑いの連続だった。「構図がいつもと違うので、毎回衣装は足元までちゃんと準備する必要があるし、音声さんもマイクをどこから入れようか悩んでいた」

そんな中でも演出や撮影に工夫を凝らしたという長竹監督は「演者の視線を急にカメラ目線にしてドキッとさせたり、はやりのダンスや歌をシーンに入れたり、実際にスマホでティックトックを見ているような演出もあるので楽しんでもらえれば」と話している。

作中のシーンで使用するCG制作に取り組む長竹寿人監督=徳島市中洲町

長竹監督は沖縄県で生まれ、東京で育った。高校から米国で過ごし、現地の専門学校でVFX(視覚効果)やCG制作を学んだ後、02年に東京のVFX制作会社に入社。多くの映画やCM、ゲームなどのCG制作に携わる中、12年に徳島に移住した。

長竹監督は「父親が先に移住していて『阿波踊りを一回見に来いよ』と誘われて行ったら、すぐに徳島が好きになった」。19年に徳島市の広告制作会社に入り、現在は県や自治体、地元企業のPR映像の企画や演出などを手掛ける。

今回の作品でも登場人物の心の中のトラウマを表現する手段として、CG演出を効果的に取り入れており、長竹監督の持ち味が存分に生かされている。

作品は6日午後7時から、県立21世紀館エントランスに設けた縦型の大型スクリーンで上映。ティックトックの映画祭公式アカウントでもライブ配信する。

長竹監督は「ティックトックならではの面白くて楽しい仕掛けをストーリーに盛り込んだ。予算や時間が少ないながらも、知り合いのクリエーターにも手伝ってもらい、エンタメの王道を行く『ザ・映画』というような作品になっている」とアピールしている。