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簡単にいろいろ遊べるのはこれ!
最近インスタントカメラの写真を見かけることがまた増えてきましたね。その市場を切り開いたチェキ、復活したポラロイドなどいろんなカメラが出てますが、その中でも使いやすくて、ちゃんと撮れて、楽しいのはどれなのか、米GizmodoのAdam Clark Estes記者がいろいろ使い比べています。以下、どうぞ!
デジカメの普及が進み、スマホ時代を迎えて、2000年代には死に絶えるかに見えたインスタントカメラ。でもインスタントカメラは進化してBluetooth搭載のハイテクモデルも登場、価格も前より手頃になっています。完ぺきな写真を撮るのは難しいですが、それもむしろ楽しさのひとつです。
長いことインスタントカメラの代名詞だったのはポラロイドですが、そのポラロイドも2008年に生産中止に追い込まれた後、2年ほど前に別会社から復活を遂げました。一方その間に存在感を高めてきたのは富士フイルムのインスタントカメラと、instax miniやinstax SQUAREといったフィルムフォーマット、そしてそのフォーマットを使う新たなインスタントカメラ群です。
そこでこの記事では、各フィルムフォーマットの中で人気のカメラを選んで比較してみます。ラインアップは、以下の5つです。
・Polaroid Originals OneStep + (160ドル、日本価格税込2万2680円)
・ライカ SOFORT(280ドル、日本価格税込3万6180円)
・ロモグラフィー Instant Automat Glass(190ドル、日本価格税込1万9900円)
・ロモグラフィー Lomo'Instant Square Glass(200ドル、日本価格2万1980円)
・富士フイルム instax SQUARE SQ6(130ドル、日本価格1万3000円前後)
それぞれフィルムフォーマットも価格帯も微妙に違いますが、どのカメラも機能的には似通っています。なのでこの記事では、操作性も含めたデザイン、屋内写真、屋外写真の3つのカテゴリで各カメラを比較し、最後に総合的にどれがいいのかを考えてみます。
普通のデジカメと違って、インスタントカメラはファッションアクセサリーになる場合があります。ただいくら可愛いカメラでも、それなりに写真が撮れないんだったら、首から文鎮をぶら下げてるのと同じです。なので、ここで言う「デザイン」とは、筐体の色味がどうとかいうことじゃなく、使いやすい作りであるかどうかに焦点を絞ります。つまり、撮りたいときにパッとオンにできるのか、シャッターは押しやすいか、撮りたいイメージを実現するための設定調整は簡単にできるか、といったことです。というかそもそも、そういう調整ができるかどうかもポイントになります。
インスタントカメラの中にはセレクトショップの雑貨コーナーで数千円で買えるようなのもありますが、この記事ではそれよりやや高めのものを選びました。というのも、値段の分だけいろいろ遊べる部分があるからです。たとえばPolaroid OriginalsのOneStep+は、スマホアプリからBluetooth経由で撮影の設定やフィルターの選択が可能です。ライカのSOFORTには便利な液晶画面が付いていて、撮影モードやタイマー、フラッシュのオプションが選べます。富士フイルムのinstax SQUARE SQ6にも同じようなモードがありますが、どのモードを選択中か表示するライトがシンプルでわかりやすく、こういうシンプルなのがむしろいいんじゃないかとも思えます。instax SQUARE SQ6はオンにするのも一番簡単で、オフの状態からさっと撮り始めることができました。
逆に立ち上げにくかったのが、ロモグラフィーのLomo'Instantシリーズです。見た目はたしかに興味をそそるんですが、操作性は直感的じゃありません。たとえば、最初に横向きに折り畳まれたレンズを開いて正面に持ってくる必要があるんですが、そのやり方がパッと見ではわかりませんでした。Lomo'Instant Automat Glassもオンオフの操作がわかりにくく、いろんな操作がレンズ周りのリングに隠されてるような感じでした。実際、ロモグラフィーのカメラはルックスと引き換えに使いやすさを犠牲にしているような気がしました。Polaroid OriginalsのOneStep+ も同じようにわかりにくく、撮っていて楽しいとか、簡単だという感じがしませんでした。
そんなわけでデザイン部門は最後、ライカと富士フイルムの接戦となりました。でもライカはたしかにカッコいいんですが、富士フイルムの使いやすさは捨てがたく、機能的にも高価なライカと同等でした。ということで…
デザイン部門:富士フイルム instax SQUARE SQ6の勝ち!
デザインの次は、実際撮れる写真を比較していきます。まずは屋外写真ですが、インスタントカメラを使うのは屋内のパーティがメインで、屋外で使うイメージはあまりないかもしれません。でも撮影条件が良ければ、街の風景とか自然とか、この手のカメラでもわりと面白い写真が撮れるんです。
ただし今回のレビューでは、「寒さ」が問題でした。僕らは冬のマンハッタンのダウンタウンを観光気分で歩き回りながら写真を撮っていて(それはそれで楽しかったんですが)、あるときインスタントカメラの制約に気が付きました。Polaroid Originalsのフィルムは温度に敏感なので、屋外で撮ってみた写真のほとんどが、ちゃんとフィルムに写ってなかったんです。なのでPolaroidはこのバトルから早々に脱落しました。一方instaxのフィルムはminiもSQUAREも、ある程度現像させてからポケットに入れないと、色がにじむ傾向がありました。そのにじみもエフェクトとして見ればなかなか良かったです。
ちゃんと撮れた写真に関しては、ロモグラフィーのカメラとライカ、富士フイルムの間で大きな差がありました。ロモグラフィーで撮れる写真はカラーパレットがちょっと変わってるのとつねにビネット効果(フチの方が暗くなる)が入ってるのとで、やや独特の印象です。リアルな写真にInstagramのフィルターがかかってるような感覚で、好きな人には良いかもしれませんし、そうじゃない人には「ちゃんと撮れない」という評価になるかもしれません。
ここでもライカと富士フイルムに安定感があり、我々の間では高評価でした。ライティングに明暗があっても、写真の仕上がりを勘に頼る必要がほとんどありませんでした。それに設定も簡単なので、フォーカスの調整もしやすかったです。
でも結局、安価な富士フイルムよりライカのほうが明らかに抜きん出ていました。SOFORTで使うフィルムはinstax miniサイズなので、instax SQUARE SQ6より小さいんですが、仕上がりはよりシャープで露出も良かったです。小さいinstax miniと大きめ正方形のinstax SQUARE、フォーマットの違いで買う買わないが決まることもありますが、純粋に屋外写真のベストという意味ではライカに軍配を上げたいと思います。
屋外写真部門:ライカ SOFORTの勝ち!
最後の比較は屋内です。ライティングが良く撮りやすい環境でどのカメラがうまく撮れるのか、はっきりしました。結局条件さえ良ければ、写真をダメにするのはカメラかカメラマンのどっちかということになりますが、今回はその両方のケースがありました。
まずここでも、Polaroid Originalsにはがっかりさせられてしまいました。フォーカスのコントロールがほとんどできず、フィルムがどう反応するかも読めず、ダメな写真がたくさん撮れてしまいました。あとはPolaroid Originalsのi-Typeフィルムは1枚2ドル(日本価格だと約300円)と、今回対象とした中では一番高価です。そして写真を撮ってから現像が完了するまでに10〜15分と、撮った後の時間も一番長いです。富士フイルムのinstax miniフィルムは1枚あたり60セント(日本価格だと約60円)、instax SQUAREはだいたい1ドル(日本価格だと約100円)です。なのでPolaroid Originalsで撮って失敗すると、失敗そのものもさることながら、ムダになったフィルム代もけっこうショックです。
ロモグラフィーのカメラは、屋外写真に出てきた色味やビネット効果といった特徴は変わらずですが、屋内の方がずっと良い感じに撮れました。ただ上にも書いたようなデザイン・操作性のおかげで、フォーカスとか構図の決め方がすごく難しくなっています。写真のクオリティもまちまちで悲しくなってしまい、ロモグラフィーのカメラは脱落となりました。
結果、最後に残ったのは前の二部門と同じく、ライカのSOFORTと富士フイルムのinstax SQUARE SQ6でした。この屋内写真部門では、普段屋外でレビューするときみたいにエンドレスに撮りまくったりはしなかったので、フォーカスの簡単さがすごく重要でした。ライカの方がより洗練されていて、レンズに付いているリングを回すと標準と接写、遠景を切り替えられます。フォーカスの選択肢は二択ですが、ピクチャーモードは6パターンあり、組み合わせるとさらにいろんな撮り方ができます。オプションが多くて一見わかりにくいほどですが、慣れてくると便利で、写真の仕上がりもすごく良かったです。
富士フイルムも相変わらず使いやすく、一貫して露出の良い写真を作ってくれました。こちらも選べる撮影モードが6つありますが、もうひとつ自動モードがあって、ただ押すだけでカメラが勝手に良いようにしてくれる、ことになっています。といっても毎回完ぺきとは限らなかったんですが、とにかく富士フイルムにはがっかりさせられることがありませんでした。写真がきれいなだけじゃなく、撮りやすいってことの評価が高かったです。というわけで…、
屋内写真部門:富士フイルム instax SQUARE SQ6の勝ち!
この記事は、どちらかというとインスタントカメラにそこまで入れ込んでない人向けに考えました。インスタントカメラマニアなら、400ドルするMiNT Instant Flexとか、オークションに埋もれたヴィンテージ品とかの方に興味があるんじゃないかと思います。この記事としては、そういう人よりもっと多くの人にとってのベストなインスタントカメラを見つけたかったんです。それはたとえば、セレクトショップで買ったチープなカメラからアップグレードしたい人とか、昔ポラロイドを持ってたけど久々にインスタントカメラを買おうかなって人かもしれません。それに、一番高いものがベストだとは限りません。
そういう意味でも、上の3部門の結果という意味でも、総合トップは富士フイルムのinstax SQUARE SQ6です。価格的にも今回の比較の中で一番安く、でもこの記事の3部門のうち2部門で勝者となりました。それに使っているフィルムは、Polaroidのよりは少し小さいながら、写真の縦横比は同じ正方形のinstax SQUAREです。instax miniフィルムが好きで、ちょっと奮発したい人は、ライカ SOFORTを検討してもいいと思います。こちらは280ドル(日本価格税込3万6180円)するだけあって、使っていて楽しかったです。
でも本当に、お手頃な富士フイルムのinstax SQUARE SQ6は検討の価値ありです。どのカメラを買ったとしても、フィルム代が別途かかりますしね。
総合トップ:富士フイルムのinstax SQUARE SQ6!